注:連載当時、「小説家になろう」の活動報告に掲載したことをほぼそのまま転載しています。
(2017年 07月22日 (土) 16:46 の活動報告より)
やっとトイレ事情が書ける!
といことで、王都と城外街のトイレ事情ですが、どちらも汲み取り式です。あれ、終わっちゃった。
……トイレだけで書くとそうなのです。ですが、汲み取り式というのは、汲み取って初めて機能します。今回はそんな話です。
本編やこぼれ話でほんの少しだけ出てきた救貧院という施設があります。基本的には失業者に住居と食事を与える施設なのですが、まあ、王都の暗い部分が凝縮しているような施設です。
具体的に何をやっているかと言うと、とりあえずは以下な感じです。
・魔弾の材料となる血液の収集
・廃棄物(排泄物)の収集並びに処理
・身元不明な死体の処理
等々……
まあ、救貧院にお世話になった人というのは、はっきり言ってしまえば、被差別階級です。
別に、一度お世話になったからと言って囚われる訳ではありません。が、多分一生抜け出せないでしょう。周りの人はもう、汚れ仕事をしてた人としか見ませんから。
……話を戻します。
王都がまだそこまで発展していない頃は、王都の中にも農場がありました。で、汲み取られた汚物はそこで肥料として利用されていました。余剰分やそれ以外の廃棄物は城壁の外の廃棄場に捨てられます。近くの林とかです。その運搬を救貧院の人たちが行っていた訳です。
ですが、王都の発展と共に、商業が発展し、城内の農場が減っていきます。食料は他から購入する形になっていった訳です。自然、王城の外に廃棄される量が増えていきます。
……が、城外街の発展と共に、事情が変わってきます。今度は城外街が肥料を求めるようになります。が、城外街の人間はとても逞しくてですね。この人たち、商人気質にあふれています。肥料として引き取らず、廃棄物を全て請け負うという形で、王都の外に出される廃棄物を「手数料を取って」引き取りを始めます。
王都の中の人間にとっては、廃棄物も排泄物も等しく「ゴミ」です。外に廃棄するゴミを肥料として再利用することは考えていません。安定供給とか、発酵乾燥とか、肥料利用に必要な措置をしてくれません。ですが、城外街が求めているのは肥料です。そして、城外街のトイレも汲み取り式です。こちらからも肥料は得られます。
なので、王都の廃棄物は、扱いを容易にするため、廃棄物と一緒に燃やして焼成肥料にします。
拙作の魔法設定、水分があれば加熱、燃焼が可能です。で、排泄物は基本的に水分が豊富です(足りなくても王都は水が豊富です)。元々城外街では、薪の消費を抑えるために、魔弾を要しない魔法杖が一般化しています。なので、基本的に人手さえあれば、燃料無しで焼成肥料を作れます。
結果として城外街は、抱える人口以上の肥料を低コストで入手できる条件が整います。王都という食料消費地も直ぐそこにあります。どれだけ農地を広げても損が無いという、大規模農場にはうってつけの環境ですね。
前の設定で、城外街城北区は灌漑を進め、農場として整備していると語りましたが、豊富な肥料はここに投入されていきます。作中時間だと、城北区は開発を進めている段階です。王城で発生した難民は基本的にここに行く事が多くなります。城外街で最後に整備された場所で人を受け入れやすいとか、そういった事情です。
作中、王都で発生した難民をあっさり吸収できたのは、この辺りが理由です。
なお、城外街の汚物回収等は自治団や自警団から副職として斡旋されます。基本的にその地域で理解され易い仕事が回されます。例えば、汚物回収等は農業の盛んな城北区だと受け入れられ易いです。肥料の元ですから。そういった所から多く回されます。
……これ、住民感情とかだけの話じゃなかったりします。単純にね、理解され易い場所で人を集めた方が、安く済むという思惑もあります。城外街はね、色んなところに商人的発想が見え隠れする場所なのです。
物語の終わりでは、王都は城外街と一体化し、中央区とよばれてラミリーさん統治になっていますからね。救貧院も政治的課題として上がっています。同時に、いきなり無くせば良いとか、そういった方向にも進みません。
救貧院の問題は一旦没落したら二度と這い上がれないこと。でも、都市の維持には必要な仕事だというジレンマがあります。
多分、長い目で取り組んでいく課題になるかなぁ、なんて思います。
……命を盾に嫌な作業を住居と食事だけという、タダ働き同然で従事させる王都と、需要供給に従ってしたたかさを交えた職業斡旋をする城外街、どっちが賢いですかね。気質としては城外街の方が好ましいとは思いますが。
(2017年 08月05日 (土) 12:15 の活動報告より)
長々と続いたこの設定、最後は王城です。
……実はここだけ、トイレ用の下水があったりします。理由としては、「汚物処理をする救貧院の人間を王城内に入れないため」、たったそれだけだったりします。
地下に落として、その先は救貧院の人間に処理させるとかいう、差別意識の産物としての下水です。
この王城内のトイレ、一般のトイレは近くに水の入ったバケツ?が置いてあって、使った人が流します。が、王族用トイレはタンク式だったりします。
……但し、そのタンクに水を入れるのは人ですが。
まあ、一般のトイレも水を運ぶのは下男、下女(作中では下女中)の仕事ですので似たようなものかも知れませんが。
……拙作のメディーナさん、孤児時代は王都内で下女中として働き、王城内で下女中、バード君の側付きとなり、一時的に城外街でラミリーさんの秘書的立場、ビオス・フィアに逃亡後、そこの孤児院で働くという、結構な職歴を持っています。
つまり、彼女は全ての場所の下水、トイレ事情を知っている、極めて珍しい人だったりします。そんな彼女の見た下水、トイレ事情を時系列に並べると……
1.死んだような目で働く救貧院の人間を目の当たりにして育ち、
2.王城内で水洗便所という「清潔なトイレ」の存在を知る。
3.バード君の側付きになって、ひもを引くだけで流れるトイレの存在に驚き、
4.城外街で、汚物が売買されてることに驚く。
5.ビオス・フィアで、タンク給水まで自動化されたトイレになお驚く。
こんな感じかなぁと。身近な上に、結構意識されられる施設かなぁと思うのです、トイレって。
まあ、この妄想までたどり着きたくて、今まで長々と設定を書いていたのですが(爆)
ちなみに、ビオス・フィアのトイレ、本来は現代よりも進んだウォシュレットです。壊れて普通の水洗便所になっていますが。
本来であれば腸内菌の死骸を分解する成分を活用することで、より清潔に拭ける機能とかが付いています。
つまり、○○○を分解する機能のついたウォシュレットです。
……その内、現実にもできないかな、なんて思ったりしつつ、以上です。