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カンタータ「脱出」 全18章・目次

楽譜

1.まえおき
2.減る一方の歌
3.〈うさぎ狩り〉とその表むきの呼び名の歌
4.時間のきざみめが変ってしまう歌
5.引き裂かれた愛の歌(1)
6.引き裂かれた愛の歌(2)
7.むりじいしごとと侵略思想のよりどころの歌
8.つのる思いの歌
9.脱出行の歌
10.じぶんの影だけのときの歌
11.雪と風と海との歌
12.まだ見ぬ子をおもう歌
13.はるかに愛するひとへの歌
14.十四年目の日本語のひびきの歌
15.日本は変ったかの歌
16.デマかデマでないかの歌
17.裁きがつづき時効は無効の歌
18.果しない波を渡るための歌

一ツ橋書房 カンタータ「脱出」より

1.まえおき

スピーカー 「……(言葉なく、ひびき)……」
ナレーター 何ノ歌ダ? 誰ノ声ダ?
スピーカー 「目には目を、歯には歯を、ではない。ただしかし、忘れない、忘れることはありえない。」
ナレーター 何ヲ? 何ヲ忘レナイノダ?
スピーカー 「きみたちがしたことを。どうして忘れられようか、きみたちの父が、きみたちの伯父がしたことを。」
ナレーター 何ヲシタノダ? 何ガ起ッテイタノダ?
スピーカー 「きくがいい、チャンや、ワンや、リューの身の上に起ったことを。
      三十五年まえのことだ。
      すでに許した。許しはした。
      だが忘れてしまったと、思ってくれては困る。
      こまる。忘れることなど、ありえないのだ。」
ナレーター 何ガ、イッタイ何ガ、起ッテイタノダ?
      三十五年前ダッテ?

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2.減る一方の歌

コーラス
一銭五厘で アカガミで
 いのちは一度きりなのに
はたちになれば 男たち
 いのちは一度きりなのに
はたち前から 男たち
 いのちは一度きりなのに
「いってきまあす」と男たち
 いのちは一度きりなのに

ナレーター
いくさにつぐ、いくさで、大日本帝国は、ひろがりにひろがっていた。
小さな島から、攻めに攻め、信じられないほど、大きい地域で、大日本帝国は、ふんぞりかえっていた。

コーラス
「論語」のくにに攻め込んで
 いくさに吸いこまれて男たち
「史記」のくにに攻め込んで
 ひろさに吸いこまれる男たち
諸葛孔明たちにとりまかれ
 ねばりに取りかこまれる男たち

ナレーター
光りかがやく雲のうえに祭られる兵隊たち。
いくさで死ねば、まぶしくて目がくらむカミサマにされるというしくみだった。
ときどき、兵隊にいった兄貴が、おやじが、息子が、キラキラする勲章にかわってかえってきた。
勲章よりも本人にかえってきてもらいたいと、こっそりみんなそう思っていたんだが……。

コーラス
いくさは見せるためではない
いくさは聞かせるためではない
殺しに殺し 殺される
いくさは 戦争ごっこじゃない
死んでも 死んでも 死にきれない
いくさは 戦争ごっこじゃない
働く人手は 減る一方
働く人手は 減る一方
子どもの腹は 減る一方

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3.〈うさぎ狩り〉とその表むきの呼び名の歌

ナレーター
飛行機工場に女学生が動員された。
石炭を掘る炭鉱に、鉄鉱石を掘る鉱山に、地下の仕事に、荷物はこびに、人手は全く足りなかった。
そこでおえらがたは、「何とかしなくちゃ」と考えた。
「大陸にちからのある労務者が、いっぱいいるではないか」
一九四二年、そう思いついたおえらがたは、「集めてこい」と命令した。

「しかし どうして チャンや
ワンや リューを 集めるんでありますか?」
あいつは言った。

男声ソロ
「うさぎ狩りのやりかたさ」

コーラス
大きく まあるく とりかこむ
銃でもって とりかこむ
つつさき 突きつけて とりかこむ
「撃て!」
ダダダーン
追われるひと ひと ひと
どっちへいっても
逃げみちはない
逃げみちはない

逃げみちは たったひとつ
ふさがれた 檻のなか
奴隷にされる 網のなか
<うさぎ狩り>は くりかえされた
<人間狩り>は くりかえされた

男声ソロ
<募集>といえば 聞こえがいいが
逃げみち ふさがれた 奴隷狩り

<指紋>をむりやりとられたら
それが<契約>ということさ

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4.時間のきざみめが変ってしまう歌

ナレーター
集められた百姓たちは、みんなじゅずつなぎに縛られて、みんなカーキ色の服を着せられた。
こうして「兵隊」に、「捕虜」に、したてられ、逃げようとするものはみなごろし、飢え死に、凍え死にも数多かった。
日本の港に運びこまれたもの三万八千九百三十五名、北海道から九州へ百三十五の事業所に追い立てられ、飢えと監視のなかの重労働が始まった。

コーラス
銃の脅しで さらわれて
それから ひにちが 同じでない
いちにち いちにち 同じでない
いちびょう いちびょう 同じでない

ふねの 穴ぐら押しこめられ
それから ひにちが 同じでない
いちにち いちにち 区切れない
いちびょう いちびょう 区切れない

むりやり 仕事 あてがわれ
それから 時間が きざめない
まいにち まいにち ひとのもの
まいびょう まいびょう ひとのもの

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5.引き裂かれた愛の歌(1)

ナレーター
ひろい中国大陸から、山東省から、おびただしい労務者をかきあつめた奇襲作戦。
身ごもった妻から、別れもつげずに引きはなされたひともいた。

コーラス
だれがこの二人を
引き裂いたのか
その二人を引き裂いたのか
あの二人を引き裂いたのか
大砲が その発砲が
銃剣が その血しぶきが
リュウさんを チュウさんを
ニェさんを
とつぜん愛するひとから追いたてた
だれが 銃剣を使ったのか
だれが 使えと命令したのか
どこから その命令はくだされたのか

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6.引き裂かれた愛の歌(2)

女声ソロ
男と女の別れには
たちきりがたいものがある
たとえ同意して別れても
ときに思い出が蘇える

男声ソロ
男と女の別れには
たちきりがたいものがある
病いがどちらかを倒しても
ときに思い出が蘇える

コーラス
ましてや生きたまま不意うちに
あいだを刃が切り裂けば
こころの結びめは固くなり
魂をたがいに握りあう

男声ソロ女声ソロ
遠くはなればなれ行くえ知れず
あいだを運命がひきさけば
緊張の絆はりつめて
魂をたがいに握りあう

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7.むりじいしごとと侵略思想のよりどころの歌

ナレーター
食べものがないなかで、取りしまりの規則ばかりは、いっぱいあった。
ひとつ、日本語は数字・作業用語いがい教えてはいけない。
ひとつ、新聞・雑誌・ラジオなどは利用させてはならない。
ひとつ、外出は一切みとめられない。
ひとつ、入浴の設備はその必要がない。
ひとつ、現金は一切もたせない。
ひとつ、マッチ・火薬などの危険物はもたせてはならない。

コーラス
苦しい くるしい仕事は まかせろ
すめろぎを敬わぬものらに まかせろ
汚い きたない仕事は やらせろ
かしわで打たぬものらに やらせろ
危ない あぶない仕事は おしつけろ
やまとことば使えぬものらに おしつけろ
つらい 疲れる仕事は おしかぶせろ
みそぎをしないものらに おしかぶせろ
汚れる どだいづくりは
そいつらの仕事
と あいつは言った

男声ソロ女声ソロ
だれかを奴隷にするときにゃ
にんげんを奴隷にするときにゃ
許しをえなくっちゃいられない
救いをえなくっちゃいられない
あいつら 下等と のたまわる
あいつら 下の下と のたまわる
天からの み声が 欲しくなる
おすみつきが 欲しくなる

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8.つのる思いの歌

ナレーター
畜生以下だ
犬以下だ
犬が あなたを見はっている
その手で掴めないくだものを
とおい山の木々が実らせている
だが あなたは完全に閉ざされている
そして秋から冬へと
季節は確実にめぐっている

けものさながら
のけものにされて
あなたの仲間は ばたばたと殺された
その足は 自由にむかい
むなしく突きだされたまま硬直した
鳥が頭のうえで飛びまわる
その姿があなたを果てしもなく愛撫する
夢に耳もとで翼がはためくたびに
あなたはいつも飛びでていこうとする
だが 目の前には有刺鉄線と銃口の目
犬があなたを見はっている
犬以下だ
畜生以下だ

その胸に抱けない愛するひとが
はるか山々のかなたから見つめているにちがいない
だが あなたは厳重に閉じこめられている
そして 冬から春へと
季節は確実にめぐっている

コーラス
殺すか
殺されるか
それが 戦争

逃げだすか
うちこわすか
それが 奴隷の思い

ひっぱたかれ
ののしられ
蹴っとばされ
追いやられ
働きに 働きに
働かされつづければ
奴隷の思いは つのる
つのりに つのる
うちこわすか
逃げだすかへ

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9.脱出行の歌

ナレーター
監視の目をぬすんで、ひとりが逃げ出した。
雪は足跡を辿られやすい。
掴まえられて、ひどいリンチだ。
それでもまた、もうひとりが逃げだした。

銃が足跡を追っていく。
掴まえられて、殴りころされる。
しかし、つのる思いは、押し殺せない。
ひとり、また、ひとり、脱出はつづく。
あなたも、そのなかのひとりだった。

コーラス
ここは敵のくに
人殺したちのくに
糞だめを くぐりぬけ
どぶねずみのように
糞まみれ 泥まみれになりながら
逃げだした奴隷鉱山

五人のなかまが
三人にへり
三人のなかまが
ひとりになった
ひるま
ひっそり 身をひそめ
暗闇のなかで
大きな木のみきに
肌でさわると
苔むしているのが わかる
そっちが南だ まちがいない
あなたは 夜になると
北へ 北へと すすんでいった
ふるさとのシャントンめざして
すすんでいった

いきのいい なまのニラが
いちばん やさしい命のつなぎのくさ
あやしいキノコは おいしそう
だが いちばん あぶない食べものだ

あなたは 百姓家から
鉄びん一箇借りうけた

畑から
すこしずつ すこしずつ
ジャガイモを 掘ってきた
とりすぎると 気づかれてしまう
ここは 敵のくに
人殺したちのくに
あなたは けっして
ジャガイモを 掘りすぎたりはしなかった

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10.じぶんの影だけのときの歌

男声ソロ
たよれるもの 何もなく
ほら穴から ほら穴へ
ひとりっきりで 歩きつづけ
星をあいてに つぶやいた

たよれるもの 何もなく
ほら穴から ほら穴へ
ひとりっきりで 生きつづけ
草の根あいてに かみしめた

たよれるもの 何もなく
ほら穴から ほら穴へ
ひとりっきりで にらみつづけ
闇のこだまに おののいた

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11.雪と風と海との歌

ナレーター
真冬の原野にひとりぐらししてみるがいい

コーラス
蔽いかぶさり
眠らせようとする
雪は 魔神だ
魔神だ 雪は
つらら光らせ
綿かと思わせる
その雪が
魔神だ 魔神だ 狂わせる

ナレーター
真冬の原野にひとりあるきしてみるがいい

コーラス
吹きつけてくる
するどい刃先
風は ナイフだ
ナイフだ 風は

花を実らせ
香りを運ぶ
その風が
ナイフだ ナイフだ 切りつける

ナレーター
真冬の原野を遠出しようとしてみるがいい

コーラス
渡りきれない
さえぎる行手
海は 地獄だ
地獄だ 海は

さかな秘そませ
波うちよせる
その海が
地獄だ 地獄だ うずをまく

ナレーター
こうして あなたは
内部のたたかいに打ちかった
飢えと寒さに打ちかった
たったひとりきりで 雪のほら穴のなかで
軍国日本に打ちかっていた

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12.まだ見ぬ子をおもう歌

ナレーター

闇にまたたく星をみて
あなたが
別れた妻を
一度も見ない 愛のかたみを
子どもの伸びる はねる うごめきを
思わないわけはない

男声ソロ
笹の葉が
うごく
わが子か?
リスだ
すばしっこい
その子は
ゆめだ
遠くに
見かける
子ども
生きていれば
わが子も
同じ
年ごろ
ゆめだ

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13.はるかに愛するひとへの

ナレーター
目を大きく転じてみよう。
中国大陸では、山東省では、あなたの妻が、ずうっとあなたを思いながら待ちわびていた。
日本軍の威力は、点と線になり、点だけになり、いくさに敗けて引きあげていった。
そのあいだ、ずうっとあなたを思いつづけるひとがいた。

女声ソロ
くやみごとに招かれて
あなたは帰ってこなかった
くやみごとに招かれた
あなたは消えてしまった

おなかの子どもは大きくなり
月が満ちたりて生まれたわ
けれど 知らせひとつなく
あなたは消えてしまった

あなたは 百姓のくらしを
百姓の手で建てなおそうと
八路軍に入っていったのか
それなら何か言いのこすはず

いくさが終り ちらほらと
連れ去られた村びとたちも
テンノーのくにから帰ったわ
けれど あなたは消えたまま

子どもはしだいに大きくなり
くにのしくみも変ったわ
けれど 知らせひとつなく
あなたはやはり消えたまま

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14.十四年目の日本語のひびきの歌

コーラス
何ひとつ言葉のわからない
ひとびとの山々を
さまよい うろつき
身をかがめ
ひそかに 辿っていった 道ひとすじ

くにのひとと 分かちあえぬ 時の重なり
ひとりだけの歩み 闇の足どり
見せることのできない 時のほら穴
消えていて 消せない時間が
しるしていった 道ひとすじ
さらわれてから 十四年目のことだった
いくさに敗けた日本で
こごえた足で
雪のなかで
たったひとり
あなたは見つかった

おどろき
あきれる日本人に
あなたが言った言葉
おぼえていた日本語
それはたったひとつ

鋭い つきさす そのひびき
「イタイ!」

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15.日本は変ったかの歌

ナレーター
あなたは
日本人が変ったと
信じられなかった

あなたを
病院にはこび
看護しようとすると

あいつらは言った
「スパイかもしれん
上役に 聞いてみなくちゃ……」

あいつらは言った
「不法入国かもしれん
上役に 聞いてみなくちゃ……」
あなたの
身分つきとめ
つぐないをしろというと

あいつらは言った
「契約で来た労務者で
勝手に逃げかくれしていたものに
むにゃむにゃむにゃでありまして
お帰りねがうほかありません
古いむずかしいことですから
上役に 聞いてみなくちゃ……」

あなたは
日本人が変ったと
信じられなかった

十四年まえあなたを あなたたちを
奴隷狩りするのを決めたとき
内閣にいたキレモノが
そのころまた 上役の上役の上役
総理になっていたのだから
このくにの
どこが変ったのか
どこがほんとうに変ったのか
あなたは
いや あなたでなくても
アジアでいったい だれが信じたものだろうか
どこをほんとに変えたらいいのだ
どこをほんとに どう変えたらいいのだ
だれがだ?

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16.デマかデマでないかの歌

ナレーター
「アメリカと戦争をすれば、きっと東京にも大阪にも、火の雨が降るぞ」
「不安をばらまく奴だ、逮捕しろ!」
「天皇陛下も人間であることに変りないのに、どうして拝んだりするんだ?」
「不敬罪だ! つかまえろ!」
「ビルマや、インドや、マレーシアを独立させるんなら、おれたちの朝鮮も独立させて当然じゃないか」
「治安維持法違反だ! 言論出版臨時取締法違反! ただちに検挙!」

コーラス
デマか デマでないか
後から 誰にもわかる
地震だ 地震だ 地震だってったって
地面が ゆれなけりゃ
そりゃ デマだったのさ

デマか デマでないか
後から 誰にもわかる
ニッポン敗け ニッポン敗けって言ったてんで
ぶちこまれたって
そりゃ ほんとだったのさ

デマか デマでないか
後から 誰にもわかる
チョーセン独立 チョーセン独立って言ったため
ひっぱたかれたって
そりゃ ほんとだったのさ

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17.裁きがつづき時効は無効の歌

ナレーター
どんなに金持になっても、過去を買いもどすことはできない。
かくしても、かくしても、かくしきれないもの――
それは、本人の、当事者の記憶にきざまれている――
歴史の山々の、歴史の谷間に、埋めこまれている――

コーラス
にんげん扱いしなかった
裁きを受ける日は近い
そこでうやむやごまかしに
わいろを使って口ふうじ

にんげん扱いしなかった
裁きを受ける日は近い
そこで煙幕はりめぐらし
何きかれてものらりくらり

にんげん扱いしなかった
裁きを受ける日は近い
そこで記憶を切りきざみ
燃やして灰にしてしまう

ナレーター
しかししかし……
しかし逃げおおせると思っても
かくそうとしているその姿が
たましい裁かれている姿なのだ

地球の裏側の犯罪が、宇宙中継でその日のうちに知らさせるようになった。
だが、日本人がじぶんで戦争犯罪を、虐待を、法律にもとづいて裁こうとしたことはなかった。
万事ひとまかせのうちに歳月がすぎてきた。
賢いひとが言っている、悪い奴ほど、愛想がいい、と。
愛想がよければ、時効が早くやってくる、と。

ジコウ? ジコウ?
そう、時がたてば、いろいろな犯罪、――三億円のぬすみも、婦女暴行も、殺人さえも、裁きにかけられなくなる、時効だ。しかし一九六六年国連総会は、時効をあてはめない条約を採択した。時効は無効、時効は無効と決めたのだ。

ナンニダ? ナンニダ?

「戦争犯罪と人道に反する罪にたいして」だ。
しかし、日本政府は、これをみとめようとしない。この条約に、署名もしなければ、また、批准をしようともしていない。時効を無効にしたくないのだ。

ドウシテ? ドウシテダ?

ほんとうに、どうしてだ。どうしてなのだ。
海のむこうから、心の奥底から、同じ問いかけが溢れてくるではないか。

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18.果しない波を渡るための歌

コーラス
雪どけの谷間 水の流れは美しい
だが どうして水は流れてゆくか
流れる水のしたに岩があり
流れる思いを動かす出来事がある

溶けた雪のした 泥のなか
たしかにあなたの足は踏みしめたのだ
その岩を あの出来事で

果しない波をわたりつくして兄弟がある

ものの溢れる底に何があるか
時の壁をつらぬきとおし
歌のひかりで映してみよう
あなたの足が踏みしめた跡を

ビル立ちならぶ底に何があるか
忘れてならぬ出来事つたえ
歌のちからで憶えていこう
あなたの足どりを 波また波をわたるため

果しない波をわたりつくして兄弟がある

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