イ エ ス と い う 男

―逆説的反抗者の生と死―

田川建三 (三一書房、1980年)

 

20世紀最高の名著。イエスについて書かれた万巻の書物は、この一冊を除いてすべて無用。紀元1世紀のガリラヤに生きたイエスという男、「逆説的反抗者」(本書の副題)としてのその生き方から、われわれは何を学ぶべきか。いや、イエスの生き方から何かを「学ぶ」という姿勢が、これまでいかに多くの誤ったイエス像を生み出してきたことか。著者の議論の出発点はしたがって、「イエスはいかに生きたか」ではなく、「イエスはなぜ殺されたのか」です。

著者は新約聖書学者ですが、「神学者」ではありません。独特の文体ながらも文章はきわめて平明で、神学書にありがちな観念論・抽象論は一切なし。しかし、キリスト教・聖書・イエス(キリスト)について、高校の教科書程度の知識しかおもちでない方は、度肝を抜かれるような内容です。著者の名を知る人はそれほど多くないと思いますが、著書を読んだ人は必ずといってよいほど、大きな影響を受けているはずです。

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