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強制連行福岡訴訟第二陣 福岡高裁 判決に対する弁護団声明

1本日,福岡高等裁判所第2民事部は,「中国人強制連行・強制労働事件福岡第二陣訴訟」控訴審判決を言い渡した。

2本件は,第2次大戦中,大日本帝国政府と日本企業が共同して,中国人4万名弱を日本国内各地に強制連行し,重労働を強制して,多数を死傷させたという犯罪行為について,福岡県内の炭坑(三井,三菱)に強制連行された被害者のうち45名が,国・三井鉱山・三菱マテリアルに対して謝罪と賠償を求めている事件である。

一審福岡地裁は,2006年3月29日,原告らの請求を棄却する判決を言い渡したが,これに対し,中国人被害者らが控訴し,本日の判決を迎えた。

3本日の判決は,一審判決に続いて,強制連行・強制労働の被害事実を詳細に認定し,これを国と企業の「共同不法行為」であると認めた。
しかし,国に対しては国家無答責を理由に,企業に対しては除斥期間の経過を理由に,それぞれ請求を棄却した。
また,企業の「安全配慮義務違反」を認めながら,時効の成立を理由に請求を棄却した。国の「安全配慮義務違反」については,これを認めなかった。
その上で,同種事件の最高裁判決(2007年4月27日最高裁西松判決)の判断に沿って,中国人被害者らの戦時賠償請求権は日中共同声明に基づいて放棄された,として請求を棄却した。
極めて不当な判決であると言わざるを得ない。

4しかし,本日の判決においても,強制連行・強制労働の被害事実は,上記のように詳細に認定されている。
そして,福岡高裁は,本件の審理過程において,上記の事実認定をも踏まえて,2008年4月21日,「(1)本件強制連行・強制労働は,国策として遂行された。(2)企業は労働力の利用自体によって相応の利益を受けた上,補償金まで取得している。 (3)被害者らの被った精神的・肉体的苦痛は言語に絶するほど大きなもので
あった。 (4)被害者らの請求権が裁判上訴求する権能を失ったことについては,当然ながら被害者らの意向が反映しているものとは認められない。との事情にかんがみ,国及び関係企業(被控訴人ら)に対し,和解による解決への前向きの配慮を求める。」とする和解所見を示した。

また,和解に向けて,積極的に期日を確保し,裁判所として努力を尽くした。
これらは,裁判所が本件の解決の必要性を認識し,裁判所の職責を果たそうとの姿勢を示したものである。われわれは,この点を前向きに評価する。
最高裁も,上記西松判決において,「被害者らの被害の救済に向けた努力をすることが期待される。」と述べている。
われわれは,国・企業に対し,引き続き,本件の全面解決に応じるよう求めるものである。

5本件は重大な戦争被害である。そして,本件の被害者らはすでに高齢化し,死亡した者も多い。本件は,全面的な解決が必要不可欠であって,しかもその一刻も早い解決が必要である。

われわれは,すでに,本件の全面解決のために,国・企業の資金拠出によって基金を創設し,被害者への賠償と日中の平和友好事業を実施するという構想を発表している。

本件の全面解決は,日中両国の今後の友好関係の発展にとって,礎となるべき重要性を持つ。
日本にとっては,戦時加害行為について謝罪し,賠償をなすことこそ,平和主義を掲げる国家として進むべき道である。
われわれは,今後とも,日中両国,そして全世界の心ある人々と手を携え,本件の全面解決に向けて闘いを進める決意である。

2009年3月9日
中国人強制連行・強制労働事件福岡第二陣訴訟原告団・弁護団
 

 

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