施設の老朽化が進行

低かった維持管理予算
 "悪循環"生み出す

 千里ニュータウンでは40年、佐井寺、山田、千里丘などの比較的新しい開発が行われた地域でも25〜30年、旧市内の古いところでは50年を経過する学校施設が大きな比重を占める吹田の教育環境は、長期にわたって適切な維持管理の投資を行わなかったために、現在深刻な老朽化が進行しています。
 学校建物の維持管理費用は、60年と言われる耐用年数の間に建設費を上回ります。下のグラフは、豊中市政研究所のライフサイクルコスト研究の研究成果ですが、中間時点での大規模改造工事では3億円以上の必要予算規模が示されています。吹田市がこれまでに使った大規模改造工事は、1校当たり1億円程度でしたから、費用のレベルでは良好な維持管理は到底出来なかったことが分かります。

 

 必要な時期に適切な規模の改修工事を実施しなかったツケが、老朽化の深刻さとなりその対応に追われるために予算と人員を割かざるを得なくなり、結果として10年、20年といったより長期の見通しと計画性を持てないまま施設整備を進めるという悪循環を生み出しています。
  私たち校務員は、このような吹田の学校施設の現実の中で働きながら、1987年から1992年の6年間に実施された32校での大規模改修工事の実態を目の前にして改修工事の結果が、自分たちの日常業務の軽減になっていないことに不思議さと不安を強めていました。
 2001年の外壁崩落事故を受けて、目視による安全点検が業務の一部に組み込まれ、コンクリートの無数のひび割れを目の当たりにし、最近問題になっている南海地震・東南海地震の同時発生の危険性が年々高くなる中、吹田市の耐震診断と校舎の耐震補強工事実施率の低さが大きな不安となっています。

 

急減した
 吹田の校務員数

吹田・豊中・枚方の三市における施設整備の在り方が大きく異なるように、校務員の配置数も大きく異なります。
 市立の小学校・中学校の総数は、三市ともかなり近いにもかかわらず、配置された校務員数の差は、驚くほどです。
 三市の財政状況の比較では、吹田市が一番良好ですが、施設整備費も、校務員の人件費も吹田市が残念なことに一番低いという結果になっています。
 僅か10年前までは、吹田市の校務員数は豊中市をやや下回る水準でしたが、吹田市は、校務員の配置基準を基本的に一名としたためにこのように急激に減少すると言う結果になりました。
  教育委員会の施設整備費の低い水準は、当然学校現場での営繕や維持管理・環境整備など現場管理作業を進める上で大きな負担が校務員の肩にかかる事態になっています。
 吹田の学校現場での教育環境が荒廃する原因が、このような点にあると私たちは考えます。

 

少なすぎる吹田の校務員数

本当になんでも屋ですよ

 

校務員は、学校において幅広い業務を果たすことを期待される職務です。

少し数えただけでも
 こんな仕事をやっているので
一言で説明できないのが悩みです


草刈り機を使った除草作業
剪定作業
サッシの部品交換、修理
水道関係部品交換
トイレドアの修理・製作
蛍光灯の交換
割れた窓ガラス等の除去
机の天板交換
撒水等樹木管理
カンバンなどの製作
各種塗装作業
屋上、法面等危険個所での清掃
トイレ、手洗い場等排水詰まり貫通
床タイル等の貼り替え修理
その他緊急時の対応
多様な業務をこなすことは能率的ではありませんが
全体として見るならすごく効率的な職務です

 

計量 化できない
  現場の多様な修理作業

学校現場で道具や工具を持ち働いているのは、学校校務員しかいません。
 左に挙げたような業務もほんの一部でしかありません。教室の中だけに限っても、カーテン、戸棚、黒板、掃除用具入れ、掲示板と言った設備の具合が悪いと先ず、校務員の所に修理が回ってきます。一つひとつの仕事は一見してボリュームが無くても、部品一つでも違いますし、壊れ方も一様ではありません。修理の方法も違いますし、掛かる時間もまちまちです。
 ひとつの仕事がこれだけの作業量になると計量化できないのが、現場で何にでも対応する業務の特性だと思います。
 一日の仕事の流れを見ても、こんなに異質で多様な業務をこなすことは、能率的では ないと言えます。しかし、学校で現場に存在し、緊急に対応しなければならない児童・生徒の安全に直結した職務の性格を考えると最も効率的なものであると、私たちは考えています。
  こんな仕事を下請けにすることは、どれだけの業種のサポートを必要にするのか分かってもらえないため、吹田市は、私たちの人員削減を提案しています。
 もし、いつも一人で仕事をしなければならなくなると、広い学校の中で老朽化が進むばかりですから、どんな事態が発生するか分からない危険が、強くなっています。事故にあったときの心配もありますが、一人で対応できないことも増えてきますし、今なら気軽に応じている 児童・生徒が遊んでいてボールを屋根の上に上げてしまった時など、二連梯子を使ってそれを下ろすことなど、やり辛くなります。

一つの学校で
 蛍光灯 1000本

 教室、階段、廊下の蛍光灯だけでも、一つの学校で1000本を超えます。器具が古くなると管の寿命は短くなりますし、開放廊下の所ではさらに短くなります。
 教室の天井高さは、3m以上となっていますから、常に脚立を使った作業となります。

 

 樹木を適時に管理剪定

 学校には多くの種類の樹木が教育目的と環境作りのために植えられています。樹木は、種類によって剪定の適した時期があります。
 季節が来れば花が学校内のあちこちで咲きますが、その前後には細やかな管理剪定作業を現場に常駐する校務員が行います。まさに、年間を通した選定などの作業がおこなわれています。


 

 草刈り作業

 花壇のような場所以外の除草作業は、エンジン刈り払い機で行います
 エンジンの騒音と小石や砂、泥が飛散するため、児童・生徒が近づかないよう、授業の邪魔にならないよう神経を使います

 

掲示板クロス貼り

 古くなった掲示板のクロスの張り替え作業は校務員の作業になります。
 学校では、掲示板の利用頻度が高く、クロスなどの貼り替えは欠かすことが出来ません。

老朽化する危険個所の点検

 吹田の学校施設の老朽化に伴い安全点検作業が重要になっています。2002年度より、研修を受けながら現場で出来る安全点検を校務員が行っています。

   


低層棟の多いニュータウン
屋上の落ち葉掃除も大切です

 子ども達が掃除できないところは、私たちの掃除範囲になりますが、以外と知られていないのが校舎や体育館屋根、屋上の清掃です。放置すると雨漏りの原因になります。


   





 

剪定作業をする校務員

   

   
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