アスベストの輸入量推移
 

 最盛期 年35万トンも

危険に曝される

いのちと健康

 アスベストは、近代工業と共に日本で本格的に利用されるようになりました。第二次世界大戦以前は、日本の輸入量は、年間数万トン程度でしたが、戦争中の中断を経て1949年から輸入が再開され、経済成長と共に輸入量は急拡大して年間輸入量が20万トンを超えたのは25年間にも及びました。最盛期の1974年には35万トンにも達していました。1949年から2004年の55年間の総輸入量は、950万トンにもなります。
 アスベストの害が問題化し始めた1980年初頭から一時的な減少期がありながら、先進国での使用禁止がスタートした1990年頃からだけでも250万トン以上の輸入が 行われています。国も認めた各省庁の対応の遅れが招いた結果は、除去にかかる費用と健康障害による医療費だけをとっても経済的に大きな損失を生み出そうとしていることです。
 この巨大な使用量だけをみても、国民の生命と健康が深刻な危険に曝されていることを感じることが出来ます。

 公害と同じ「人災」

 国の責任 大きく

 高度経済成長がもたらした大気汚染と水質汚染を中心にした公害問題は、企業が都市部への集積による利益を享受しながら、汚染物質の除去費用を使わずに企業成長を追求した結果、大都市の多くの住民の健康を蝕んだ結果として医療費の支出をもたらし、社会的存在すら問われました。
 そうした観点からアスベスト問題をとらえると、1970年代に国際的には有害性が問題になり、自らも部分的には不十分な対策をとった物質の危険性を軽視し、産業界の主張した「利便性」と「経済性」、「耐久性」の誘惑に負け使用を許可したり、容認してきた行政の責任は大きく、それだけに明解で断固とした対策を緊急に実施することが求められています。

世界と日本 アスベスト規制のあゆみ

 

1971年 特定化学物質等障害予防規則の制定、
      有機溶剤、 石綿などの物質の取り扱いを規制
1972年 国際がん研究機関(WHO付属機関)、石綿の発がん性指摘
      国際労働機関専門家会議で石綿の職業がん発生指摘

     アスベスト工場労働者の発ガンについて山原議員国会質問
1974年 アメリカで産業衛生専門家会議が石綿の職業がん発生を指摘
1975年 日本、吹き付けを作業を原則禁止
1976年 旧労働省・労働局長通達で、危険性指摘
1988年 労働安全衛生法施行規則・作業場所での飛散量を規制する管理濃度の策定
1989年 国際保健機構が青石綿と茶石綿の使用禁止勧告
1989年 米環境保護局、石綿の生産・輸入を段階的規制
1993年 EUが青石綿と茶石綿の使用禁止
1995年 日本、青石綿と茶石綿の製造・使用を禁止
1996年 フランスが一部を除いて使用禁止
1999年 イギリスが一部を除いて使用禁止
2004年 石綿の使用禁止
2005年 建築物の解体や改修作業、使用建築物での対策を定めた石綿障害予防規則の制定

 微少でも危険な

 閉鎖された空間

吹きつけ材としての使用を禁止し、その除去と囲い込みを行えば大きな危険はないとする意見が大勢として形成されているいることは危険です。
 他の素材に混ぜて使用されている製品が、他の素材の劣化によりアスベストが微細な単位で剥離する場合、屋内などの閉鎖された空間で長い時間暴露を受けることを考えなければなりません。
 労働安全衛生法の「特化則」で規制対象にしながら有効な労働安全政策がおざなりであったため建築現場などでは、アスベストを含んだ建材が丸ノコで切断され粉じんが舞い上がり、作業員と周辺住民を襲っていました。
 国民の立場からみて 建材としてあらゆるところで使用されてきたものを判別することは不可能であるため、不用意にあつかっている危険性があります。
 私たち学校現場で、古いスチールサッシのガラス枠に使われているパテはアスベストを含んでいますが、ガラスの入れ替え作業の時は劣化しているためパラパラになっており容易に周辺を汚染します。吹田市の学校だけでも年間1千枚以上のガラスの入れ替えが行われて軽視できない量です。
 また、荒れた中学校では、廊下や教室の天井が生徒によって破損され校務員が修理にあっていますが、その作業は生徒が身近に存在する中でも行われてきました。床の化学タイル補修も同様です。
 作業主任者の講習を受講しようと考えている業者も実際にどう適用するのか、厳密にすれば仕事にならないと困り果てているのが実態です。

 

 

 各省庁からは、情報が小出しに提供されています。詳細な情報は国民の手に届きにくく、実際国民はどうしたらいいのか判断できません。

 

 

 

 

朝日新聞2005年9月19日朝刊

 
 アスベスト含む製品の一部です

驚く広がり 

アスベスト使用製品

 防音壁、接着剤、アスファルト床タイル、吹きつけ断熱材

ブリーチング断熱、コーキング・パテ、天井タイル、はめ込みタイル、セメント管、側壁、壁板、黒板、床タイル貼り付けよう建築接着剤、じゅうたん、冷却塔、装飾用漆喰、ダクト、可とう繊維製継ぎ手、電線絶縁体、電気布、カーテン及びドア、耐火材、床裏材、加熱及び電気ダクト、高熱ガスケット、HVACダクト断熱材、継ぎ手コンパウンド、実験室用手袋、フード及びテーブルトップ、パッキン材、パイプ保温材、屋根フェルト材及びシングル材、スパックル・コンパウンド、散布断熱材、耐熱テープ、織物ペイント及びコーティング、感熱紙製品、バーミキュライト断熱材、ビニル床タイル、ビニルシート床材、ビニル壁材

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