収束列の極限値どおしの演算に関する公式

6.収束列の商の極限

・「どの項も0にならない数列{an}が実数α≠0に収束
 かつ 
 「数列{bn}が収束列
 ならば
 それらの商の数列{bn/an}も収束列

・どの項も0にならない「数列{an}が実数α≠0に収束
 かつ
 「数列{bn}が実数βに収束ならば
 それらの商の数列{ bn/an}は、実数β/αに収束する。

 記号を用いて表現すると、
 




    「『nN (an≠0)』 かつanα (n→∞)』かつ『α≠0』かつbnβ (n→∞)』」   「bn/an→β/α (n→∞)
    ないし
  (nN) (an≠0) かつ 


lim an
n→∞
=α≠0    
lim
n→∞
bn β
lim bn
n→∞


an α
lim an
n→∞

 ※なぜ?→証明


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証明:「収束列の商の極限」
 

lim an
n→∞
 =α、
lim bn
n→∞
 =β、nN (an≠0), α≠0 とする。
 

lim
n→∞
bn
an
 = 
lim bn
n→∞
1
an
  

 = 
lim bn
n→∞
lim
n→∞
1
an
 ∵収束列の積の極限

          = β・(1/α)     ∵収束列の逆数の極限  
          = β/α    
         
 




[文献]
 ・黒田『微分積分学』§2.5.3定理2.8(pp.47-8):証明詳。商の証明は逆数。
 ・杉浦『解析入門I』定理2.5(3)(p.14):証明付
 ・松坂『解析入門1』2.1-E-定理3(b)(p.63):証明付
 ・小平『解析入門I』1.19(2) (p.33):証明付
 ・笠原『微分積分学』1.2命題1.8(iii)(p.11):証明付
 ・吹田・新保『理工系の微分積分学』定理2(4)(pp.8-9):証明付
 ・『高等学校 微分・積分』p.9. 証明なし
 ・赤『実数論講義』§5.3定理5.3.1(iv)(p.123)証明付
 ・高木『解析概論』定理5(4)(p.7):証明付
 ・青本『微分と積分1』命題1.16(p.13):証明は数列の具体例についてのみ。
 ・永倉・宮岡『解析演習ハンドブッ ク[1変数関数編]』3.1.7(p.91):証明略。
 ・斎藤『数学の基礎:集合・数・位相』2.5.3命題3(p.53):証明略。順序体一般において。
 ・岡田『経済学・経営学のための数学』定理1.2(p.6)和差積商。証明付。商の証明は逆数。
 ・細井『はじめて学ぶイプシロン・デルタ』演習問題2-3(p.18):和差積商。



 
 










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