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定理:k次関数の微分 [kが整数である場合]

 任意の整数kにたいして、( x k ) ' = kxk-1 

  kが実数全体の場合は、x>0でのみ定義される。
    k
が分数(1/q)の場合、xq乗根を考えなければならなくなることを、想起せよ。 [基礎解析p.43]  

【文献】

 ・吹田・新保『理工系の微分積分学p.37.
 ・高橋『経済学とファイナンスのための数学p.50
 ・『微分積分』pp.49-68;55

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証明1 : 数学的帰納法による証明

   [文献]『微分積分』pp.49-68;55  

( x k ) ' = kxk-1 …@  の成り立つことを数学的帰納法で証明する。

  (1) kが正の整数のとき
      (i) k =1のとき、 @の左辺=( x) ' =1 ←要証明

             @の右辺=1。 ゆえに、@は成立。

      (ii) k = n のときに、@が成り立つと仮定すると、 (x n ) ' = n xn-1 …A 


    (iii) k = nのときに@が成り立つと仮定すると、 
        
(x n1 ) ' =( x n x ) ' =( x n ) ' xxn ( x ) '    ∵関数の積の微分   
            = n x n-1xxn1    ∵A(k =nのときに@が成立との仮定より)
            = n xnxn
            =(n1) xn         
       ゆえに、k = nのときに、@が成り立つと仮定すれば、
       k = n+1のときも、@が成り立つ。
    以上から、@は全ての正の整数kに対して成り立つ。

  (2)kが負の整数のとき 
    k=−l とおく。このとき、lは正の整数。   
    (x k ) ' =(xl ) ' = (1xl ) '     
             ∵関数の商の微分  
              ∵lは正の整数なので( x l ) ' に対して (1)の検討の結果を使える。  
       = lxl1     
       
= k x k1     
     よって、kが負の整数でも@は成り立つ。  
  (3)k=0のとき 
    @の左辺=(x ) '() '=0 ∵定数の微分  
    @の右辺=0・ x -1 =0   
    ゆえに、k=0のときも、@は成立する。
  よって、任意の整数kに対して@は成立する。 


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(証明2:二項定理を用いた証明) 

       [吹田・新保『理工系の微分積分学』p.37.高橋『経済学とファイナンスのための数学』p.50]
    f(x) = x k  とおく。     
    
f ' (x)          ∵微分係数の定義   
          
             ∵二項定理  
              
            ∵ nC0=1
        
          
        kC1 xk-1kC2 xk-2h+…+kCk xk-khk-1 
       
= kC1 xk-1   
       = k xk-1  
 

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