中村城 なかむらじょう

天神林の丘にあった中村館を、1611年に相馬利胤が近世城郭に大改築して居城とした城で、幕末まで中村藩の藩庁となった。現在は中心部が相馬神社が鎮座する「馬陵公園」となり、三の丸の一部と桜の馬場は市街地になっている。

▼遺構や見所

■ 本丸 ■

丘の上にはかつて本丸御殿があり、南西隅に天守閣、北に二重櫓が建っていた。現在は相馬神社の境内となって礎石だけが残る。


■ 赤橋(袋橋) 【模擬】 ■

本丸と丸土張(馬出に近い構造の曲輪)の間には堀切が設けられており、そこには赤橋が架けられている。当時のこの場所には袋橋と呼ばれる廊下橋が架けられており、橋を渡った先には本丸大手門があった。


■ 黒橋 【模擬】 ■

本丸から西館方面へと降りる場所には垂直に岩を削った竪堀と、そこを跨いで架かる黒橋がある。戦があった時に橋を落として渡れなくする構造だったと思うが、今はコンクリート製の丈夫な橋が架かっている。なお、こちらは本丸の搦手で、坂の上には当時は後門(搦手門)があった。


■ 本丸石垣 ■

中村城の本丸は岩盤の丘の上にあるため、岩を削って切岸としているが、それを鉢巻石垣や腰巻石垣で補強して曲輪を形成している。


■ 内堀 ■

本丸の丘は周囲を内堀で囲って守られており、西側と北側に水堀が残っている。南側は一部が公園の池になって残っているが大半が埋められてしまっている。


■ 南二の丸(長友曲輪) ■

桜の馬場を除けば城内で最も大きな曲輪で、当時は藩の重臣の屋敷が立ち並んでいた。今はグラウンドになっており、行事の会場などに利用されている。


■ 妙見曲輪 ■

相馬氏が守護神として信仰する妙見社を祀っていた曲輪で、現在も妙見社の流れをくむ相馬中村神社が鎮座している。境内社には北野天満宮が祀られているが、これは本丸に城が築かれる前に祀られていた天神社を遷宮したもの。


■ 妙見曲輪裏の空堀 ■

堀というよりは西二の丸から西三の丸に抜けるための通路だろうか?なお、今は西二の丸は厩舎と馬場、西三の丸は雑木林になっている。


■ 大手一ノ門 【現存】 ■

城内に残る唯一の建造物で、大手口の桝形の外側の城門である。1649年に相馬義胤が川越城の城門を模して造らせたと伝わる。


■ 中堀 ■

平野部にある二の丸、三の丸の外側には水堀が設けてあり、市民会館や住宅地となって失われた部分もあるが大半がよく残っている。堀沿いに桜の木が多いため、春には綺麗な景色になる。


■ 蓮池 ■

北二の丸と北三の丸の間にある城内最大幅の水堀で、文字通り蓮の咲く池だったと思われるが、現状は蓮が咲いているようには見えない。


■ 北外堀 ■

東三の丸の外側には桜の馬場があり、その外側には外堀が設けられていた。その外堀のうちの北側の堀が現存しており、周囲が市街地化している中でも良く残っている。

▼歴史

▼詳細情報

最終訪城日 2017年4月16日
別名 馬陵城
前身 中村館
普請開始 1611年7月
築城完了 1611年12月2日
築城者 (設計者) 相馬利胤
分類 近世平山城
規模 東西650m×南北600m
標高 標高:23m、比高:約15m
文化財指定 県指定史跡、中村神社社殿は国指定重要文化財、移築城門の2つは市指定有形文化財
現存建造物 大手一ノ門、相馬中村神社(妙見社)社殿
復元建造物 -
模擬・復興建造物 赤橋、黒橋
遺構 郭跡、石垣、土塁、水堀、空堀、堀切
標柱・説明板 大手門付近と本丸に標柱・説明板あり、中門付近と本丸搦手付近に城址碑あり
現状 馬陵公園(相馬神社、相馬中村神社)、市街地
イベント 桜祭り(4月)、相馬野馬追(7月)
注意事項 -
場所 福島県相馬市中村字北町

▼アクセス

 相馬駅から徒歩で

JR常磐線「相馬駅」から徒歩15分で「馬陵公園」。

 相馬駅からバスで

JR常磐線「相馬駅」駅前の福島交通相馬営業所から「玉野学校」行き又は「桜ヶ丘」行きのバスに乗り、「市役所前」で下車。そこから徒歩1分で「馬陵公園」。 ※注意:土日祝日はほとんどバスが走っていない。

 駐車場

「馬陵公園」に駐車場あり(150台/無料)
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