事件と裁判 追悼

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生命のメッセージ展と千尋

酒酔い、無免許で車を暴走させるという悪質運転者によって19歳の息子さんを奪われた鈴木共子さんが仲間と実行委員会を作って始めたメッセージ展です。私の娘(千尋)も「132命」となったの人型オブジェに加わり全国を回り「犯罪のない社会を」と訴えています

※中央が千尋 2007/7/21~22
(東京丸の内マイプラザ)

 

★2008年6月6日~6月8日
札幌で2回目のメッセージ展は無事終了しました

札幌エルプラザ、男女共同参画センター3階:「生命のメッセージ展」のロゴ入りハート型風船が目を惹きます。
閉会後、「いのちが大切にされる社会を」という願いを込め、天空に羽ばたかせました。

道新2008年6月7日の記事
道新2008年6月4日の紹介記事

生命のメッセージ展in札幌
「生命のメッセージ展」のホームページへ

映画「0(ゼロ)からの風」のこと

奪われた、かけがえのない生命の尊さを伝えてゆきたい。
生命のメッセージ展の代表鈴木共子さんをモデルにした映画が作られました。
この映画は寄付・協賛のみで制作され、映画の純益は全て「生命のメッセージ展」 の運営・活動に寄付されます。

(以下は私の応援メール)
娘(前田千尋)が生命のメッセージ展に参加できたことで、遺された親である私も、共に生きているという一体感を持って日々「命の尊厳を」と社会に訴えることが出来ています。この映画を通してより多くの人たちが人間と未来への希望を語り合って欲しいと願っています。メッセンジャーの仲間たちと制作スタッフの皆さんにお礼と感謝を込めて。
(2006/12)

オブジェのメッセージ

前田千尋(maeda chiro)
1978年5月12日生まれ

1995年10月25日17時50分、長女千尋は学校帰りの歩行中、後ろから来た前方不注視のワゴン車に5メートルあまりはねとばされ、頚椎骨折、頭蓋内出血により即死させられました。17歳5か月、3週間後の修学旅行を心待ちにしていた高校2年生でした。
加害者(35歳女性)は手数料のかからない6時までに銀行に着きたいと、ことさら急ぎ、時刻を知るためのカーラジオ操作で前方不注視のままクルマを暴走。赤い傘をさした長女を、ブレーキも踏まずにはねました。

(左)2001/7/7初参加の浜松市でのメッセージ展(正面左が千尋)
(右) 等身大オブジェに貼られた写真

通勤通学者が多い道路であることを熟知しながら、前を見ないで運転するという「未必の故意」に対し、札幌地裁は執行猶予付きの禁錮1年というあまりに軽い判決。公道上で、何のいわれもない人に、何の落ち度もないのに命を奪われる、まさに「通り魔殺人」的被害であるのに、裁判官は「数秒間のほんのちょっとした不注意であり、酒酔いとか、スピード違反とかでなく、往々にありそうな事である」と、娘の命の尊厳を踏みにじる発言。
千尋は、交通犯罪に寛容で、クルマの便宜のみを優先する、人命軽視、人権無視の「クルマ優先社会」の犠牲になりました。

《千尋へ》

あなたのことを思わない時はありません。
家族4人が揃っていた、きらめくような幸せの日々を悔しさと怒りとともに思い浮かべます。
かけがえのない「宝」を理不尽に奪われた「遺された親」は世をはかなみ、あなたの無念を思っては胸が張り裂けそうになりながら天国のあなたを悲しませたくないという一心で、精一杯生きています。
いつもあなたの遺影から「私は、なぜこんな目に遭わなくてはならなかったの?」
「私がその全てを失ったこの犠牲は、今の社会で報われているの?」という声が聞こえます。
全国を回って生命の大切さを訴え続けるあなたたちメッセンジャーに励まされながら、私たちも、犠牲を無にしないため、「クルマ優先社会」を告発し、交通犯罪を生まない社会づくりにとりくんでいます。
天国で報告し合える日まで待っていて下さい。

追伸
あなたが名付け親で、可愛がっていた「サム」は少し年をとりましたが、今も元気にわが家の癒し犬です。安心して下さい 。
2005年3月、父母より
「いのち・未来へ~理不尽に命を奪われた人たちからのメッセージ~」
(日本エディターズ 「生命のメッセージ展」実行委員会編、所収)

魂となったかけがえのない生命たちが今、あなたに語りかける
見果てぬ夢と生命への慈しみを

人が暴力的に生命を奪われることなく、せいいっぱい生きることができる社会を夢見ています。
戦争はない、殺戮はない、犯罪はない、被害者は生まれない世界。人は自然の摂理で生まれ、老い、自然に死んでいく。こんな当たり前のことを『夢』と語るのが悲しくもあります。
しかし現実には、多くの生命が犯罪や社会の不条理のもとに生命を断ち切られています。ひとつとして忘れることのできる命は在りません。私たちは、彼らの生きた証をたどり、大いに泣き、笑い、語りませんか。過去にしがみつくのとは違います。亡くなった生命が教えてくれることを探すのです。思い出をたどれば、心の傷に触れるでしょう。しかし、私たちは、逃げることなく現実と対峙しようと決心しました。

メインの展示は、ひとりひとりの等身大の人型と彼らの遺品の『靴』。靴は彼らの足跡=生きた証の象徴です。人型にはひとりひとりの素顔やメッセージを添えます。多くの人々が現実を知り、生命の重さを考えてもらうために、日本全国~世界各地へと拡げていきたいと願っています。

「生命のメッセージ展」は、暴力的に生命を断ち切られた彼らへのレクイエムであり、私たちの反省であり、夢への道しるべです。彼らはひと足先にもうひとつの『夢の世界』の門をくぐり穏やかに遊んでいることでしょう。私たちは「生命のメッセージ展」の空間に、そんなイメージを込めています。
「生命のメッセージ展」実行委員会

会場風景


(左)2006/10/6~8 宮崎市民プラザの千尋と仲間たち
(右)2006/8/18~20 栃木県宇都宮会場の千尋

2004/6/11~13 青森会場の千尋のオブジェとキュービックパネル↓

札幌会場(2008/6/6~8)で寄せられた「天国の手紙」より

前田千尋さんへ
初めてお便り差し上げます。
千尋さんの事故の事や、その後、千尋さんのお父様が苦しい思いを抱えながらも交通事故“ゼロ”を目指して一生懸命活動されている事を新聞で知り、切り抜き、何度も読んでおります。
私の妹もちひろといいます。(漢字は千裕と書きます)私も運転をする機会があります。ただただ安全運転に努めるだけです。
今、私は病気で仕事を退職しました。その事で気落ちしていたのですが千尋さんのお写真を初めてカラーで拝見させて頂き大切に大切に育った千尋さんなんだという事がより伝わりました。千尋さんの分も生きていきメッセージを伝えていかなくてはならないのだと思いました。
妹の千裕の名を呼ぶとき私の心には千尋さんのことも、千尋さんのお父さまの事も浮かびます。
交通事故がゼロになるように、私も何かできる事があればご協力したく思います。生命のメッセージ展、ありがとうございました。
2008.6.8. T.S.
in札幌、集合写真(右)

T.S.さん、心のこもったお手紙、ありがとうございます。
何度も何度も読み、その度に感謝し、そして勇気づけられています。何より、千尋が喜んでいると思います。北海道のメッセンジャー「11命」の家族と力を合わせて、2回目の「生命のメッセージ展in札幌」を開催しましたが、このメッセージ展を通して、大変多くの出会いと再会がありました。開催して本当に良かったと思っています(敏)。

前田ちひろちゃんへ
札幌は2002年の時と、今回と2回来させてもらいました。今回はお父様に大変お世話になりました。ちひろちゃんもしってるよさこいソーランも見せてもらいましたし・・・娘、真理子が12歳の時、家族5人で北海道旅行をした時のこと思い出します。今はちひろちゃんと真理子はお友達になっているかもしれませんね。9月にはちひろさんが出雲に来て下さるのを待っています。
島根県 江角由利子

江角様、メッセージありがとうございます。札幌開催ではこちらこそお世話になりました。メッセンジャーの家族どうし、大きな家族のように感じさせていただきました。真理子さんと千尋は同級生なのですね。天国できっと仲の良い友達になっていると思います。出雲開催よろしくおねがいします。(敏)

2008/06/05, 北海道新聞夕刊コラム<まど>より
「生命」
「もうだいぶ落ち着きましたか」。
交通事故被害者の遺族らでつくる「北海道交通事故被害者の会」の前田敏章代表(58)=札幌市西区=は、こう尋ねられると、今でも胸が締め付けられる。
長女千尋さんが前方不注意のワゴン車にはねられ、十七歳で亡くなったのは十三年前。周囲が気遣ってくれているのは分かるし、確かに時間は流れた。それでも、「娘を失った悲しみは癒えることはないんです」。
車は便利な機械だが、運転手の一瞬の不注意で人の命を奪う凶器になる。
「遺族にとって交通事故は通り魔殺人と同じ。交通犯罪と言いたい」
定時制高校教諭の仕事の合間を縫って、高校生や交通違反者に遺族の思いを訴え続ける。
六年前から加害者の厳罰化などを国や道に求めているのは「運転手の不注意を許さない、『交通死ゼロ』の社会にしなければならない」と考えるからだ。
六日からは実行委員長として、札幌市内で事故や犯罪犠牲者の悲しみを伝える「生命(いのち)のメッセージ展」を開く。
千尋さんの靴や写真も展示し、事故撲滅への理解を深めてもらう。
「千尋の死を無駄にはしないよ」。今朝も、笑顔の遺影に誓った。
(五十嵐俊介)

座間の下宿屋からメッセンジャーの仲間たちが贈るバースデーカードより

前田千尋さんへ
2007年5月12日千尋さん29歳おめでとう
陽だまりの綿毛のようなほんわかした千尋さんが29歳だって、メッセンジャーの仲間たちはシンジラレナーイって言い合っています。だって笑顔がとっても可愛くていつまでも少女って感じなんだもの。でも本当はしっかりお姉さん ワカッテル!メッセンジャーの皆は千尋さんの周りになんとなく集まってしまいます。千尋さんはそんな雰囲気の持ち主なんです

バースデーカードを贈っていただいた群馬の山田大助くんのお母様へ
お誕生日カードが届きました。本当に嬉しかったです。
生前の優しかった娘のことを知っているかのような、娘にぴったりの言葉がたくさん綴られていました。山田大助君のお母さんに心からお礼を述べます。改めて、千尋は125命の家族のような仲間とともに、「千の風になって」あらゆる場所に、そして多くの人の心の中に吹きわたっているのだと思いました。皆さんのおかげです。
長女が迎えられなかった5月12日の誕生日の日は、北海道交通事故被害者の会の総会・交流会の日でした。生きていれば29歳、今年もケーキに無念のローソクをたて、家族で無言の決意を固め合い、私は準備もあり早々に会場へと向かいました。総会・交流会には36名が、そして夜の懇親会には23名が全道から集まりました。7年半の、これまでの会の歩みを、確かな前進面ととともに振り返り、現状の課題を見つめ、経験と知恵、そして元気と勇気を互いに分かち合った半日でした。
誕生日の日の報告をさせていただきました。
悪夢のような事件から12年目を迎えますが、これからも、心の中の娘とともに、いのちが大切にされる社会の実現に向け「たたかっていきたい」と思います。
2007年5月14日(敏)

メッセージ展会場で寄せられた「天国の手紙」より

前田千尋さんへ
17歳5か月。青春の日々のなか突然命を断ち切られたあなたも周りの人たちも信じられない思いでいっぱいだったと思います。
「交通事故は犯罪」
そのことに気が付かない人たちがどれだけいることか。でも、会場に来た人たちは、必ずそのことを知る。あなたの死から。
オブジェからあなたのいのちを感じます。あなたの死を決して無駄にしないようにと。
野谷 容子

野谷様。
メッセージを本当にありがとうございます。
大知君と千尋はきっと天国で出会って私たちを見守ってくれていると思います。これからもよろしくお願いします(敏)

三重会場(05/3/26~27)で寄せられた「天国の手紙」より

前田千尋さんへ
千尋さんは、僕と同じ17才の若さでなくなってしまった。なにも悪いことをしていな千尋さんが。どうして交通事故にあわなければならないのか。どうして17才という若者が事故にあわなければならないのか。
僕は車が好きなので将来車に乗る時に人を死なせてしまうと、どれだけ多くの人が悲しむか考えなければならない。
桑名工業高校2年  伊藤達也

前田さんへ
命のメッセージ展でおあいできてうれしいです。また、どこかでおあいできることを楽しみにしています。
みんなのちからですてきなメッセージ展。みなさんの心がすてきです。ありがとうございました。
津市 喜多田 有紀子・大

伊藤様、喜多田様
心のこもったメッセージありがとうございます。メッセージは娘の仏前に供えました。全国を旅する千尋への何よりの励ましです(敏)

青森会場(04/6/11~13)で寄せられた「天国の手紙」より

ようこそ青森へ
こんな形で青森へ来ていただく事になろうとは残念でなりません。ちひろちゃんと会ったのはひまわり畑の写真の頃が最後ですね。弘前へ家族で来てくれたのはもう少し前でしょうか。岩木山、記憶にありますか?
美しくやさしい娘になった千尋ちゃんが青森に来てくれた事、忘れません。
弘前市 神田富恵

神田さんご夫妻の青森会場での心からのご支援に深く感謝しています。札幌会場以来2年ぶりに夫婦で参加しましたが千尋が小学校3年のとき、家族で弘前へ花見に行き、泊めてもらうなどお世話になったことを思い出し胸が一杯になりました。これからもよろしくお願いします(敏)

熊本会場(03/8/1~3)で寄せられた「天国の手紙」より

天国の千尋さんへ
人は二度死ぬと言われています。理不尽に奪われてしまった千尋さんの命、お父さんお母さんや友人のみなさんはきっと忘れないと思います。千尋さんの命、もう一度奪われることがないように、会ったこともない私ですが、千尋さんのことを胸にとどめておこうと思います。
熊本市 松崎広太郎(16歳)

松崎さん、遠く熊本会場からのメッセージありがとうございます。犠牲を無にしないという若い人の言葉ほど力づけられることはありません。これからもよろしくお願いします(敏)

03/5/12 長崎会場への誕生日カード

天国の千尋へ
お誕生日おめでとう。いつも心の中の千尋と一緒に理不尽な「クルマ優先社会」を問う活動をすすめています。千尋も、全国で「命の重み」を訴え続けてください。
03/5/10 あなたの無念を思っては涙している父と母。

高知会場(03/3/11~16)で寄せられた「天国の手紙」より

天国の千尋さんへ
千尋Chan
メールでお世話になったりしています。HPとかでも。野口ゆうかです。
私の弟、温史がメッセ参加となりました。どうかよろしくお願いします。
03/3/ 徳島市 野口有香

野口さん、メッセージありがとうございます。千尋は温史さんとも天国で出会っていると思います。有香さんの、兄弟の会の活動など若い人のとりくみに励まされています。これからもよろしくお願いします(敏)

札幌会場(02/5/17~19)で寄せられた「天国の手紙」より

チーちゃん 5月12日 お誕生日おめでとう
24歳になったんだよね
どんなにかステキな女性になっていただろうかと想像するのが少し悲しいです。チーちゃん 天国から今日の日を見ていますか?これからもメッセージ展を通してチーちゃんも生き続けていって下さい。
02/5/19 札幌市 亀田美紀子(叔母)

月命日には欠かさず花をもってお参りに来ていただくなど生前と変わらぬ厚意に深く感謝しています。これからも見守ってくださいね(敏)

初めて千尋さんのお靴を拝見しました
細めのきれいな靴
千尋さんを知る手がかりが、また一つ増えて何だかうれしかったです。千尋さんのお父さま大活躍でした。北海道に来られて本当に良かったです。皆さんの心配りがありがたくて、気持ちよく過ごせた3日間でした。またそれぞれの生活に戻り、大変なことが多くあるかと思いますが。千尋さんをはじめとした天国のファミリーが私たちを見守ってくれていることと思います。
また千尋さんに川崎で、静岡で宇都宮でそして地元千葉でお会いできるのを楽しみにしています。どうもありがとうございました。
02/5/19 千葉市 井上郁美

井上様、暖かいメッセージありがとうございます。札幌でのご夫妻のご講演をしっかり活かして交通犯罪のない北海道をつくるために奮闘します(敏)

札幌開催の様子を伝える「被害者の会」会報9号

札幌から千尋の靴が加わりました

札幌会場
2002/5/17~19

山口県防府会場で寄せられた、「天国への手紙」より

千尋さん、この犬の名前は何というのですか?
この世では23歳と数えられるのかな。この世でできなかったこと、天国で全部楽しんでください。私の一人娘知子(21歳大学生)も、飲酒運転の犠牲となりました。
どうして どうして・・・
千尋さんとは同い年かな。もうそちらで会って話しているかしら。良い友達になってやってください。
2002年2月 島根県 大谷浩子

大谷さん、本当にありがとうございます。知子さんと天国で出会い、仲良くしていると思います。抱いている犬は「サム」、名づけ親も千尋です。(敏)

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