松田 稔:バナッハ空間とラドン・ニコディム性 |
作成日:2017-11-19 最終更新日: |
著者曰く、
これは関数解析学書ではあるが,従来のわが国でのそれらと同様ではなく,
バナッハ空間論を重視した一書物である.
まず、ラドン = ニコディムの定理を述べる。ここで、・ではなく = を使っているのは、ラドン氏とニコディム氏が別々の人物であることによる。 ラドン氏はオーストリアの数学者。ラドン変換で名前を知られる。ラドン変換は医療・産業で使われる CT (Computed Tomography) の基礎となっている。 ニコディム氏はポーランドの数学者。
ラドン = ニコディムの定理は、測度論における定理である。以下は、吉田洋一の「ルベグ積分入門」に負う。 1 変数の関数の不定積分は絶対連続であり、かつ逆も成り立つ(絶対連続の定義は省略)。 抽象的な測度空間でも、さきに述べたことと類似の結果が成り立つことが知られている。これがラドン = ニコディムの定理である。
同書では、ラドン = ニコディムの定理を、有限測度空間 `(S, Sigma, mu)` が与えられたとき,`mu - `絶対連続な有界変動(任意符号)測度 `nu` は, 必ず `mu - `積分可能な密度関数を持つ、という事実であるとしている。著者は探求の目標を、<この状況を、 「バナッハ空間 `X` に値をとる測度 `nu` の場合にも同様に成り立つ」であろうか>ということに置いている。
数式表現は ASCIIMathML を、数式表現はMathJax を用いている。
書 名 | バナッハ空間とラドン・ニコディム性 |
著 者 | 松田 稔 |
発行日 | 2014 年 9 月 10 日(改訂第 8 刷) |
発行元 | サイエンス社 |
定 価 | 1800 円 |
サイズ | 4-7819-0742-3 |
ISBN | |
NDC |
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