山田 功:工学のための関数解析 |
作成日:2015-07-02 最終更新日: |
工学の立場からみた関数解析の教科書。
工学の立場からの関数解析の本としての特色として、思い切って線型作用素のスペクトル理論を省いたことだろう。 一方で、工学でよく出てくる非線形の問題に対して、凸最適化理論を紹介している。また、図が多いのもありがたい。
著者は関数解析のコーナーストーンとして、次の4種類の定理を挙げている。
4種類の定理のうち、最初の3定理と最後のハーン・バナッハの定理とは毛色が違う。 最初の3定理は空間に完備性が仮定されている必要があるが、ハーン・バナッハの定理は必ずしも完備性がなくとも成立する。 この本では、一般のノルム空間ではなく、計量の入った内積空間(プレヒルベルト空間)に限定して証明している。 これは初学者にとってありがたいことだ。
同書では実数列 `(a_n)_(n=1)^oo` のように丸括弧を使って書かれているが、他の書籍では `{a_n}_(n=1)^oo` のように波括弧を使うことがある。
著者は「正体」ということばが好きなのだろう。いくつか探してみた。
私がもっているのは第 2 刷である。私が見つけた誤植は下記だけである。
p.239 [14] の著者が D. G. Luenburger となっているが、正しくは D. G. Luenberger である。
同書のサポートページ(www.saiensu.co.jp) がある。
数式記述は ASCIIMathML を、 数式表現はMathJax を用いている。
書 名 | 工学のための関数解析 |
著 者 | 山田 功 |
発行日 | 2012 年 4 月 10 日 初版第 2 刷発行 |
発行元 | 数理工学社 |
定 価 | 2550 円(税別) |
サイズ | |
ISBN | 978-4-901783-62-3 |
NDC |
まりんきょ学問所 > 関数解析 > 山田 功:工学のための関数解析