プロローグ「化学の IT 革命」pp.1-2 から引用する。
化学は自然科学の中で最も実験を重視する学問である。
少なくとも 10 年前までは,私もそう思っていた。(中略)
しかし,最近は状況が大きく変化しつつある。
分子の構造や性質を調べたいときには,まずは,いそいそとキーボードに向かう。そして,量子化学計算に必要な条件を入力する。 あとはコンピューターが計算し終わって,果報が出るのを寝て待つだけである。
以前には夢と思われていた話が現実になっている。
私は量子化学がわからなかった人間である。大学1年生の冬学期に必修の量子化学の授業があり、単位は取れたがまったく量子化学が全くわからないままだった。 そこで、少しは量子化学を理解したいと思い本書を借りてきた。
第1章は「なんのための量子論?」という表題で、黒体放射、コンプトン効果、ボーアモデル、ドブロイ波、シュレーディンガーの波動方程式について、それぞれの1節を割いて論じられている。 コンプトン効果、ボーアモデル、ドブロイ波は高校の物理でやったと思う。黒体放射は高校のころ履修した覚えはないが、光電効果は高校で習ったような気がする。 これらは、高校のころは理解できていたと思う。とくにボーアモデルについては、何回も式を導出した覚えがある。いくつかの仮設から実験結果に合う結果が得られることに感動したからだと思う。 もっとも本書では、「ボーアモデルは嘘っぱち」とか「ドブロイ波も嘘っぱち?」とか、挑発的な文があちこち出てきているので、あのときの高校生時代の勉強は何だったのかと思って少し後悔している。 しかし、これは著者の挑発に過ぎない。実際のところの解釈は本書に書かれているので、これを信用すればいい。 シュレーディンガー方程式についての感想といえば、立派な方程式ではあるが、結局は「そういうようにすればうまくいく」ということに尽きる。このように観念してからは、あまり怖がらなくなった。
書名 | なっとくする量子化学 |
著者 | 中田宗隆 |
発行日 | 2001 年 11 月 14 日 第 1 刷発行 |
発行元 | 講談社 |
定価 | 2700 円(本体) |
サイズ | A5 判 254 ページ |
ISBN | 4-06-154530-2 |
備考 | 越谷市立図書館で借りて読む |
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