「はじめに」から引用する。
本書は平易で具体的な問題を通じて、 「行列・ベクトル」に徹底的に慣れていただくための読みもの的問題集である。
p.201 の問題 81 を引用する。ここで `bbbK` とは実数全体 `RR` または複素数全体 `CC` を表している。
`A = ((1,0),(0,2))` とする。写像 `f:M_2(bbbK) -> M_2(bbbK)` を `f(X) = AX - XA` で定義する。このとき、
[1] `f` は線型写像であることを示せ。
[2] Ker `f` と Im `f` を求めよ。
この場合の線型の対象は `f` という写像だ。私は相変わらず線型空間というと数ベクトル空間しか頭に残らないので、 このような問題は簡単かもしれないが貴重だ。次のページに親切な答がある。[1] については、 `X, Y in M_2(bbbK) ` と `k in bbbK` に対して、 `f(X + Y) = f(X) + f(Y)` と `f(kX) = kf(X)` であることをいう。[2] については `X` を成分で表し、 `AX - XA` を表せば答に到達する。答をいうと、Im `f = {((0,s),(t,0)) | s, t in bbbK}` 、Ker `f = {((x,0),(0,y))|x, y in bbbK}` である。
書名 | なっとくする演習・行列 ベクトル |
著者 | 牛瀧文宏 |
発行日 | 2004 年 7 月 20 日 第 3 刷発行 |
発行元 | 講談社 |
定価 | 2300 円(本体) |
サイズ | A5 判 270 ページ |
ISBN | 4-06-154527-2 |
備考 | 川口市立図書館で借りて読む |
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