フォーレのフルート曲:ヴァイオリンとチェロの小品

1998-07-15

小品の数々

フォーレには有名な小品も、また知られていない小品も多くある。 この場でいくつか紹介する。


チェロ編

1.シシリアーノ

リンク先を参照してください。

2. エレジー

エレジー(Élégie , Op.24)はもともとはチェロとピアノのための曲として作られた。 チェロの代わりに独奏がヴァイオリンになっている版もある。 エレジーは、日本語では「悲歌」または「哀歌」と訳される。

本曲は典型的な三部形式である。ゆっくりとしたハ短調のピアノ伴奏の和音の連打で始まり、 チェロは最初力強く、叙情的な節を歌う。


そして同じ節を今度はチェロは静かに再度歌う。メロディーは徐徐に変化しつつピアノ伴奏の連打と変化とともに盛り上がっていき、 中間部は変イ長調に転調する。 控えめなメロディーがピアノに、ついでチェロに出て徐々にクライマックスを迎える。 主題に返るとピアノが大波のようなアルペジョでチェロのメロディーを支え、 そのあと力尽きるかのように音も弱くなりテンポも遅くなって終わる。

この曲のほかにもゆっくりとした和音の連打で始まる曲がフォーレには多くある。 歌曲では、有名な 「夢のあとに」や、「牢獄」、 「墓地で」、がある。 チェロの曲では、チェロソナタ第1番の第2楽章や、 第2番の第2楽章などである。 フォーレの得意な作り方であり、傑作となっているのも当然といえる。

3. 蝶々

蝶々(Papillon)はチェロの小品(Op.77)である。 フォーレが標題音楽を書くこと自体が珍しいが、本来の表題は「チェロのための小品(Pièce for Violoncelle)」であるという。フォーレはこの題で出版したいと希望したが、 出版社は最初に「とんぼ」を主張し、両者が譲らぬうち出版社が「蝶々」ではどうかといったという。フォーレはこの表題にも承服しなかったが、 結局出版社が「蝶々」で出してしまったというのが史実であるらしい。

フォーレにしては技巧性の勝った作品であるが、もっともこのような無窮動のような作品は他にも即興曲第5番、 五重奏曲第2番第2楽章の例もある。 せわしく動く両端の部分は、やや型にはまっているような気がする。 中間部の夢見るような雰囲気が聞き所だろう。

4. セレナード

チェロの小品(Op.98)。少し異国のにおいがする。 トリルをはじめとする装飾音が多くちりばめられていて、少し泥臭い感じがする。 異国の雰囲気を出すのはドビュッシーやラヴェルにはかなわない、といったところだろうか。

5. 2つのチェロのためのアレグレット・モデラート

ピアノ伴奏のない2つのチェロの小品。フォーレにしては珍しい編成である。 ピチカートのとぼけた(愛らしい)伴奏がほほえましく感じられる。

6. ロマンス イ長調

チェロの小品(Op. 69)。 上品な甘さが漂うこの曲はフォーレのイメージ通りだ。版が2種類あり、初版はオルガン伴奏で、 「アンダンテ」と名付けられている。
なお、ヴァイオリンの小品にも同名の「ロマンス Op.27」がある。

7. お詫び

なお、以前は「糸を紡ぐ女 Op.81」について次のように紹介していた。

管弦楽組曲「ペレアスとメリザンド」(op.80)の同名の第2曲を、 チェロとピアノのために編曲したものである。オーケストラの弦の細かな動きを、 そのままチェロで置き換えている。チェロでは細かな動きが苦しそうに聞こえるので、 同じ編曲でもヴァイオリンとピアノの編曲をお勧めする。

しかし、この Op.81 のオリジナルはピアノ独奏曲であるらしい、そのため上記紹介は撤回する。

なお、「夢のあとに」についてはリンク先を参照してほしい。 このページで扱わないのは、単にチェロとピアノという編成がフォーレのオリジナルではない、というだけのことである。


ヴァイオリン編

1.子守歌

ヴァイオリンとピアノのための曲(Op.16)。6/8拍子の、同じリズムの穏やかな節がたんたんと歌われる。 なんでもヴァイオリンの名手がこれを弾くと「石をも泣かす」といわれた。 まあこの比喩はともかく、 ヴァイオリンの魅力をやさしい技法で生かしたこの曲はフォーレ入門の曲として最適だと思う。 (1998-07-15)

遅ればせながら、冒頭の譜面と音源を付け加えた(2026-02-26)

その後、IMSLP でこの曲の弦楽合奏版を見つけて、仲間で合わせてみた。弾き終わってヴィオラがヴァイオリンに向かってこういった。 「聞こえてくる音を聞くと、音そのものより難しそうに聞こえるけれど」
ヴァイオリンは賛同も否定もしていなかったが、私は「そうかもしれない」と肯定した。 聴いている側からすれば心地よい音の流れなのだが、ヴァイオリンからするとくねくねしていてとらえどころがないのかもしれない(2019-07-01)

2.初見試奏曲 (1903年)

ヴァイオリンのごく短い曲。 技巧を出す曲ではなく、ヴァイオリンをよく歌わせることに重点をおいている。 高音の伸びが美しく、ヴァイオリンの特徴をうまく生かしている。 私はこの曲が好きで、よく思い出す。

3. アンダンテ 変ロ長調 Op.75

ヴァイオリンの三部形式の小品。シンコペーションのリズムにのって、 フォーレ特有の旋法の香り溢れるメロディーが歌われる。中間部は 多少細かな動きが伴奏に現れるが、それも予定調和のうちに進められる。

4. ロマンス 変ロ長調 Op.28

ヴァイオリンによる細かなメリスマ(というのでしたか)があちこちで登場するため、 あまりフォーレらしくは聞こえない。 私はまだこの繊細な音の運びを理解するだけの感受性がないので、 出直す。 (2001-10-22)

楽譜と音源を付け加えたのでご確認あれ(2026-02-26)

最後に

まだ聴いていない作品がいくつかある。聴ける日は来るのだろうか。