フォーレ:シシリエンヌ(シシリアーナ)

作成日: 2012-06-03
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1. 作曲の背景

フランス語ではシシリエンヌ(Sicilienne)、 またイタリア語でシチリアーナ(siciliana) とは、 17-18世紀、イタリアのシチリア島起源の舞曲である。 シチリアーノ、またシシリアーノ、シシリアーナなとど呼ばれることもある。 6/8 拍子 (あるいは12/8拍子)で、付点リズムが特徴である。 古くはバッハ、ヘンデルが、またフォーレと同時代の作曲家ではレスピーギが同名の曲を遺している。 なお、シシリエンヌに特徴的な和声としてナポリの六度が挙げられることがあるが、 これについてはリンク先を参照していただきたい。

このシシリアーノ(Op.78)は、 もともとはフォーレがチェロとピアノのために書いた作品である。 作曲年は1897年で、その年のうちに出版されている。 翌年には組曲「 ぺレアスとメリザンド」 Op.80の一部として管弦楽曲に編曲されてもいる。 シシリアーノは劇中で、 主人公二人が噴水のもとで愛を語り合うときの伴奏音楽として使われている。

2. 演奏形態

上で記したようにもとはチェロとピアノのための作品である。 美しいメロディーとアルペジオを生かして、 フルートとピアノ、バイオリンとピアノ、 あるいはピアノ独奏でもたびたび演奏される。

3. ディスコグラフィー

オーケストラ版では「組曲 ぺレアスとメリザンド」に入っている。 7種類くらい出ている。

チェロとピアノでは、ジャン・フィリップ・コラールがピアノを弾いている全集 にある。CDになってから分売もされている。 また単独の版では、藤原真理さんのチェロの版がある。フルートによるものも複数出ている。

ピアノ独奏版の演奏は私の知る限り出ていない。 これは推測だが、ヒーリングの音楽のうちに入っているかもしれない。

私がもっているのは、フォーレ管弦楽全集(プレートル指揮)のものと、 ジャン・フィリップ・コラールのピアノ、フレデリック・ロデオンのチェロのものだ。 プレートル指揮のものは、出だしフルートとオーケストラがずれていて、問題がある。 他のオーケストラでは、そのような問題はないと思う。

4. 楽譜

全音楽譜出版社から、 小型スコアとして、チェロとピアノの版とピアノ独奏版が出ている(原博解説)。 これがもっとも入手が容易だろう。 その外、ピアノ独奏では高木東六さんの編曲があり、全音楽譜出版社から「フォーレ ピアノ小品集」に収められている。 なお、大輪公壱さんのピアノ独奏編曲もあるが、楽譜が出版されているかは不明。

5. 感想

フォーレのどの曲にもいえることだが、 押し付けがましくないのに好きにならずにはいられない、そんな魅力に溢れている。 私自身チェロを少し弾くのでたまに練習している。聞いてさわやか、 なのに弾いて難しく、なかなか奥が深い曲だ。 私の好みは、フルートとピアノの組み合わせである。 フルートとハープというのもいけるかもしれない。

まりんきょ学問所フォーレの部屋ヴァイオリンとチェロの小品 > シシリアーノ(シチリエンヌ)


MARUYAMA Satosi