懲りずにうどん屋探訪

 何度も繰り返すようだが、香川県のうどんはおいしい、ただそれは700軒のうち100軒程度にすぎない。これがきつい評価だとしても200軒程度はどうしようもないうどん屋である。私なんか行ったことのない店はまずい店で(もちろんおいしい店も宝くじに当たるくらいの確率でならある)、まるでまずいうどん屋を探すために食べ歩いているみたいになった。
 まずい店の見つけ方を具体例を挙げて説明すればいいのだが諸般の事情で、そういう店に当たらないためにはどうしたらいいか、不幸にして当たったらどうしたらよいかについて研究してみたい。これはあくまでも確率論である、何事にも例外はある。

いま何時?

 いま何時、もう2時か、うどんを食べるのはあきらめて欲しい。うどんは朝から昼にかけて食べるものである、遅くても午後1時までには店に入っていて欲しい。それでも食べたいという方は今から湯がき、時間がかかる釜上げ、醤油、ざるがいい。またどうしても夜しかないという方は次のような店へどうぞ。

| 五右衛門 | 讃岐家 | 鶴丸 |

観光で香川県へ来たなら

 観光で香川県にきて名物讃岐うどんを食べようと思ったとき、まずあなたはどの道を走っているか考えて欲しい。国道沿い、それもバイパス沿いだったら目に付く駐車場を備えたうどん屋に入るのはやめた方がいい、その店は観光うどんである。一つ道を変えてみて欲しい、11号バイパスから道をそれると次の地図のようなうどん屋が現れる。
 また高松市内はうどん屋の数は多いが、おいしいうどん屋の数は少ない、当然ながらまずいうどん屋に当たる確率は高くなる。(私は高松市内のうどん屋が嫌いなわけでない努力を放棄したうどん屋が嫌いである)

セルフの看板を見つけたら

 よく目に付くセルフの店であるが、本来生活者のうどんではあるがかなりファミリーレストランに近くなっている。注意すべきは「本手打ちさぬきうどん讃岐亭」なんて仰々しい名前の店は避け平凡な名前の店に入ること。大事なことはセルフの店に関しては車が多く止まっているからおいしい店とは限らない。
 セルフの店には湯煎で自分で温める店と店の人が温めて渡してくれるのとがある。自分で温める場合、丼に死んだような玉が入っているとき、少し高いがざるとかにすると新鮮な麺が食べられる。店の人が古そうな麺を温めているとき、そのままに熱い出汁と言えば新しい玉を取ってくれることが多い。

一般店に入るには

 一般店についてもかっこいい名前の店は避けて平凡な名前の店に入ること。きたない感じの店にきたない車がたくさん止まっていればいい。
 中に入って山盛りの天ぷらがあったり、メニューに釜上げがあったらとりあえずは安心していい。いくら探してもこの手のものがなければ、ざるか冷やし、それもなければぬるめを頼もう。何故なら麺は水で鍛えたほど=冷たいほどおいしく感じるからだ、冷ための麺ならまずくても少しはおいしく感じる。月見うどんもいいかもしれない、もしもの時、卵で味をごまかせる。
 早いは必ずしもいいことでない、麺が切れて時間がかかりますけどと言われたときは喜んで待とう、湯がきたての麺がやってくる、反対に釜上げを頼んですぐ出てきたら湯だめでごまかされたおそれがある、湯が濁っている(当然釜上げが濁っている)ことは最低確かめよう。

製麺所に入るのには

 幸運にも製麺所に出会った、大きな新しい看板に、ひねった屋号、きれいな造り、残念だが次の店を探そう。普通外からそれとわかる製麺所はあやしい。ないか小さく見落とすくらいなら合格、軽トラが止まっていてどう見ても納屋か民家にしか見えなければ針の穴場の可能性もある入ってよい。ただ製麺所は麺を作っているときが旬、煙突や釜から煙や湯気が出ていなければまたの機会にしよう。

それでもまずかったら

 こうして頼んだものが期待に反してまずかったときは七味をかけよう七味の七つの味の一つさんしょは舌を麻痺させてくれる、その間に一気に食べてしまおう。(おいしい店ではショウガか一味をかけるように)
 ここでもう一度うどん屋探訪で紹介した針の穴場探索の格言を復唱しよう。