プラモデル・ラジコンショー2003

 

 ゾイドが初めて模型関係のショーに登場したのは2001年のプラモデル・ラジコンショーであった。組立式のキットでありながら、おもちゃとして取り扱われてきたゾイドは、模型として扱われていなかったためである。その後、2002年の静岡ホビーショー2003年の静岡ホビーショーと出展されてきた。いずれも、トミーテックのブースの一部を用いての出展であったが、2003年からは、趣が異なっていた。静岡ホビーショーでは、トミーテックのブースの他、ウェーブのブースに出展されていた。

 

 まずは、トミーテックのブースによるが、ここでは2002年に続いてゾイド本体の出展は行われていなかった。そのままウェーブのブースに向かうと、そこには、高荷義之氏によるボックスアートが掲げられていた。

 既にゴーレムが発売済のパンツァーティーアシリーズは、24ゾイドをトミーとウェーブのコラボレーションによって、当初のデザイナーである横山宏氏の世界観をより濃く繁栄させ、設定スケールを1/20に変更し、おもちゃコンセプトからホビーコンセプトへの転換を図って発売されたシリーズである。ゾイド復活という下地があり、ゼブルシリーズでの反省から、練りに練った上でコラボレーションという形での復活となったのであろう。

 この高荷義之氏によるボックスアート、もともとは、1992年発売のゼブルシリーズのザーガムのボックスアートである。ザーガムの装甲の色は赤であったが、今回横山宏氏のデジタルリペイントによって、白い装甲に直されている。また、デスピオンの特徴の一つであるコクピット直前のパイプ部分は、密閉製という設定を強調するため、完全にふさがれる形となった。最大の変更点は、なんと言っても、バトルローバーの消去である。画像のボックスアート、「砂塵、」と言う文字と「PANZER TIER」という文字の部分には、バトルローバー(ゼブル名・ランドギャロップ)が描かれていたが、これを単なる砂の壁にしてしまっている事である。もともとの対象物を考えてのデスピオンの配置であったが、展示用のボックスアートは、文字をかぶせているのでまだ違和感を感じないが、実際の発売時には、少々が間が空きすぎてしまって、ボックスアートとしての訴える力が弱まってはしまわないか、気になるところである。

 

 まずは、既に発売済のゴーレム。

 ゴーレムについては、パッケージ側面に紹介されている標準仕様となる作例と、カラーバリエーションとなる作例の機体が2体展示されていた。

 

 標準仕様の機体は、完全な艶消し塗装。

この状態で、せめてコクピットが光っていたらなおよしであったのに・・・。ちなみにコクピットの下向き三角形に格子状の目は、アルファロメオのトレードマークとなっているラジエーターの部分をデザインのモチーフにしたとのこと。更にちなみに言うと、デザイン画の段階では、この目はデスピオンと同じまん丸であり、規格(シリーズとして)の統一がなされていた。

 新たに作り起こされた1/20のフィギュアとともにある、森林戦仕様のゴーレム。

 ロードスキッパーは、1体のみの展示。ロードスキッパー用に新たに作り起こされた1/20フィギュアは、コクピットに収まるように、座った状態で作られている。(商品発売後、浅いコクピットに納めるため、膝から上だけが作られていたことが判明。)

もっともらしい角度。ゾイド24の宣伝の中にもこんな角度での写真があったはずです。

 第3弾として2003年11月下旬に発売されるのが、ショットウォーカー。

 ここではやはり新たに作り起こされた1/20のフィギュアがコクピットでハンドルを握っている状態で展示されていた。5月の静岡ホビーショーの時点では、ロードスキッパーとショットウォーカーについては、旧ゾイド24の機体がそのまま展示されていたが、ここでは、しっかりと塗装された作例での展示となっており、発売の準備がしっかりと整いつつあることが見て取れる。

 また、前述のゴーレムとロードスキッパーと異なり、ショットウォーカーは、ゼブルシリーズのラインナップから漏れた機体である。このため、高荷義之氏のボックスアートが存在しないため、どんなパッケージで発売されるのか興味のわくところである。

 

 このプラモデルラジコンショーにおけるパンツァーティーアシリーズの強力アイテムはデスピオンである。

 24ゾイドと言えばデスピオン。と言うように、24ゾイドシリーズの第一弾アイテムであり、最も人気のある機体である。パンツァーティーアシリーズになったことで、デスピオンには、ノーマルタイプの他、装甲強化型に組み上げることのコンバーチブルキットとなって登場することになる。

 装甲強化型を実現するために、新たに1枚のランナーパーツが起こされ、コクピット装甲と、コクピット側面の燃料タンクとおぼしき部分を防御するパーツが追加されることになった。これにより、デスピオンは、設定通りの密閉式コクピットが、より説得力のある形になったことになる。あわせて、前述したボックスアートも、デジタルリペイントにより装甲強化型のデスピオンにされている。

 デスピオンに付属する1/20のパイロットフィギュアは、他のパンツァーティーアシリーズと比較して、オリジナルの1/24フィギュアと大きく異なるデザインとなっている。この点をウェーブの方に聞いてみると、「もともとのデスピオンに付属していたデスピオン戦士のフィギュアは、横山氏のデザインではなく、トミーでのデザインだったそうである。今回パンツァーティーアシリーズとしてデスピオンを出すことになったので、全く新たにデザインを起こしたため、オリジナルのフィギュアとは異なるデザインのパイロットフィギュアが出来上がったそうである。」しかし、顔面全面のバイザーなど、オリジナルのデスピオン戦士のイメージをどこと無く残しながらデザインされていることにも注意してみる必要もあるであろう。

 

 さて、ラインナップも充実するパンツァーティーアシリーズであるが、ゾイドの視点からするとライバルの共和国側の24ゾイドが加わってほしいのであるがこの点はどうであろうか? このことをウェーブのスタッフの方にきいてみると。やはり、ゾイドファンの声として、パンツァーティーアシリーズに共和国側の24ゾイドを出して欲しいと言う声は多く寄せられているという事だそうである。しかし、ウェーブとしては、横山先生つながりでしか商品をラインナップ出来ない(するつもりはない)ために、横山先生のデザインしていないゾイドはパンツァーティーアシリーズには加わってこないそうである。この話しによると、24ゾイドのパンツァーティーアシリーズへの焼き直しは、早いうちに終了を迎えることは予想に難くない事で、ゾイドファンには物足りなさを覚えてしまう。ただ、ウェーブとしてもそれなりに売れる商品であることから、何らかの形で続けていきたいという意志は持っているそうで、横山先生に新たなデザインを起こしてもらう事なども検討しているそうである。新たに起こしてもらうデザインは、既存商品の動力とギミックパーツを流用して、装甲パーツのためのランナーだけをそっくり入れ換えて、外見上異なるデザインとした商品と出来るようなものが出来ないかなどが、検討の対象となっているそうである。

(2003/10)

 

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