スリランカ・和平への足跡
スリランカ国会議員選挙の後に2010

No.146
2010-Jun-31

戦後に待ち受ける国連人権委員会との戦い


スリランカ国連大使パリッタ・コホナは孤軍奮闘を強いられている。スリランカは内戦時における少数民族タミルへの人権侵害で批判を受けているのだ。パリッタ・コホナは声を高めて言う。
 われわれはすでにスリランカ国会に先の内戦における人権侵害の関する調査委員会を設置している。いまさらに国連の人権調査査察団を受け入れる必要は無い。戦争犯罪の調査団を新たに設置するなんて混乱を大きくするばかりだ。
 しかし、国連と世界の人権NGOはスリランカ政府にこう要求する。
 第三者機関による戦時における政府軍とタミル軍双方の人権侵害に対する調査が必要だ。
 国連とスリランカ政府の主張は対立したまま平行線をたどる。

 スリランカ内戦における人権侵害のクレームはICG(インターナショナル・クライシス・グループ)とHRW(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)から出されている。3万人に及ぶ市民が殺害、または行方不明となり、それをはるかに越える人々が負傷し、強制収用され、医療保護を拒絶されたと言う。コホナ国連大使はそうしたクレームを「証拠が無い」として否定し続けている。

 アムネスティ・インターナショナルは2010年の年次報告で国連人権委員会の査察がスリランカに対して手ぬるいことを指摘している。人権の問題は第一の優先課題とするべきであるにもかかわらずスリランカでは人権がおろそかにされている。

 6月1日、BBCはスリランカ外務大臣G・L・ピーリスが国連人権調査委員会会長ナヴィ・ピレイを名指しで非難し、国連調査団の入獄は断固拒否する、と述べたことを伝えた。それと前後して、キリノッチでのガネーシャプラムで身元の特定できない5人の遺体が無残な姿で発見されたことが報じられた。5人の遺体はそれらがシンハラ人か、タミル人か、不明だ。
 いくつもの戦争犯罪が埋もれている。この国に訪れた平和が踏みつけようとしているのは戦後に残された地雷ばかりでなはい。