QアンドA39
シンハラ語の文字のルーツは丸文字?


 シンハラ語の文字は他のインド系文字と違って角張ったところがありません。まるで丸文字。何かルーツが違うのですか。


No-39 **


  現在のシンハラ文字は丸まっていますが、古代のシンハラ文字は角張っていました。いえ、シンハラ語が独自の文字を持っていなかったというほうが正確かもしれません。
 「シンハラ文字の変革」というウェブサイトに紀元前300年のシンハラ文字が紹介されています。これはブラーフミー文字と呼ばれるもので、シーギリの岩山にはシンハラ王族が仏教僧に与えた瞑想の洞窟の入り口に掘られています。案内板も立っていますから気づかれた方もおられるでしょう。

左の線刻文字は西暦1世紀以前のものと思われるもので、シーギリの岩山にある瞑想の洞窟(下の写真)に掘られたものです。
 ブラーフミー文字は頭文字だけで表記されます。写真の左から2番目の文字は母音のA音を表しています。  
 今のA音を表す文字と較べると古代シンハラ文字のAは角張っただけで現代シンハラ文字のAに特徴的な曲線のあでやかさがありません。シンハラ文字が曲線を多用して柔らかくなるのは5、6世紀のことで、それがシンハラ文字のステイタスとなりました。
 文字のルーツは他のインド系文字と違わないのですが、民族の歴史が他の民族とは一線を画すような方向を選んできたと思われます。この独自性を好む民族の性格は今もはっきりと受け継がれているようです。