QアンドA31
日本語・韓国朝鮮語・シンハラ語


NHKのアンニョン・ハシムニカを見ていても日本語と韓国語はなにか近いような気がするんです。チェンバレンの日本語朝鮮語同根説も,やはり正しかったのかしらと考えてしまいます。朝鮮半島は日本のとなりですからこの節も頷けるのですが、スリランカのシンハラ語は日本から遠すぎますよ。  


No-31 2003-11-05


 韓国語・朝鮮語は、日本語と似ている部分があります。
 例えば奈良は韓国語のナラ(都市のこと)が語源。いや、語源じゃない、とする向きもありますが、このことを日本ではばかりなく印刷本で言ったのは観光ガイド本のブルーガイド・シリーズだったかと記憶しています。もう反省ぐらい前ですけど。日本は朝鮮半島からたくさんの文化を輸入しましたから日本語となった朝鮮半島の文化語がたくさんあるのです。でも、こうした文化を表す名詞ではなくて、韓国語は日本語とある部分でよく似ています。
 それは、私がシンハラ語を考えるときに特に重視している助詞です。
 韓国語で「ウリナラ・ガ」と言えば「わが国-が」ということですし、「シジョン・ヘ」と言えば「市場-へ」のことです。「が」「へ」といった助詞が韓国語と日本語ではこのように一致します。また、断定の「だ」や、勧誘の「せよ」はいかにも日本語のように聞こえます。膠着語的に単語をつなげて文を作る日本語は、同じ要素を持つ朝鮮半島の言葉とこうした点で繋がります。
 シンハラ語にも日本語の助詞があります。対応する助詞は韓国朝鮮語より多いでしょう。目的語や所有・所属を表す助詞は、ほとんどぴったり日本語とシンハラ語で対応関係が成り立ちます。でも、シンハラ語には日本語と韓国朝鮮語にある主語を表す「が」に当たる助詞はありません。
 打消しの表し方ですが韓国朝鮮語と日本語では一致しませんね。「行きません」を韓国朝鮮語では「アン・カムニダ」と言って、打ち消しの副詞「アン」が打消しの対象となる用言「カムニダ」の前に置かれます。これは「ない・行く」と言っているようなものです。日本語の打消し語「ない」は打消しの対象語の後に置かれます。でも、動詞語幹の語尾にチをつけてここへ補助用言のant'aを付け「カジ・アヌムニダ」と打消し語の後に来る言い方もある。これだと「行かぁぬムニダ」と言ってる感じでしょうか。
 これがシンハラ語の場合ではどうなるか。それが日本語と完全に同じ。「なぇ」という言葉を打ち消しの対象語のすぐ後に置くのです。もっとも、文語ではナやノという接辞を打ち消す単語の前につけて書くという方法を取ることができます。口語では絶対使わないのですが。