My mountaineering record
トップ 山あるき 山の花 山の用具 雑記帳

No.153 東天狗岳
このところ恒例となった雪の北八へ、今年も出かけました。今年は渋の湯から入って黒百合ヒュッテに泊り、翌日東天狗岳に登った後中山峠を下って佐久側の稲子湯に泊りました。昨年、一昨年と違って今年は、比較的天気に恵まれ、あまりプレッシャーを感じずに歩くことができました。

日時 2012年(平成24年)2月9日(木)〜10日(金)
天候 2月9日  曇
    2月10日 晴一時曇
同行 なし

所要時間
2月9日
渋の湯(11.25) ←30分→ (12.00)高見石分岐(12.05) ←45分→ (12.45)八 方台分岐で昼食(13.10) ←35分→ (13.30)唐沢鉱泉分岐(13.45) ←1時間10分→ (14.55)黒百合ヒュッテ
2月10日
黒百合ヒュッテ(7.00) ←1時間30分→ (8.30)天狗の奥庭分岐(8.30) ←35分→ (9.05)東天狗岳(9.25) ←1時間→ (10.25)黒百合ヒュッテ(11.10) ←1時間25分→ (12.35)しらびそ小屋(13.25) ←55分→ (14.20)こまどり沢(14.20) ←35分→ (14.55)白駒林道(14.55) ←25分→ (15.20)みどり池入口バス停 (15.25) ←15分→ (14.40)稲子湯

山行概要

2月9日
黒百合ヒュッテ前の景観
黒百合ヒュッテ前の雪景色
いつものように八王子8時34分発のスーパーあずさ5号で茅野へ向かいました。天気予報では全国的に寒波が押し寄せて来ているとのことですが、茅野駅に降りてみると思ったほど寒くはありません。寒波といってもたいしたことは無いのかなと思ってバスに乗り込みました。
この日は、バスの車中でいつも見かける学生が見当たりません。バスに乗ったのは、登山目的と思われる乗客が私も含めて3名です。この3名がそのまま終点の渋の湯まで乗車しました。渋の湯でバスを降りてビックリです。冷たく強い風が吹いており、寒さに震え上がりました。先ほどの茅野駅の暖かさがウソのようです。大急ぎで簡易アイゼンを付け、歩き始めました。バス停の先で沢を渡り、登山道へ入ります。雪は例年より少なく、道は融けた雪が凍っており、簡易アイゼンが良く効きます。キュッキュッという音を楽しむような感じで歩きました。
高見石分岐を過ぎ八方台分岐に着いたところで昼食にしました。カップ入りのポタージュスープに魔法瓶の湯を注いで作ったスープとサンドイッチが今日の昼食です。一息ついたところでザックにつけた温度計を見てみると−10℃より少し下を示しており、天気予報の寒波を改めて実感しました。昼食が終わって歩き始めましたが、手袋をつけている両方の手の指先が寒さで痛くなり、痛み以外の感覚がなくなります。ストックを左右の手で交互に持ち替え、空いた手をズボンのポケットに入れて、暖めながら唐沢鉱泉分岐まで歩きました。ここでミトンをザックから取り出しましたが、予定外だったため、ミトンを取り出すのに結構時間がかかりました
手袋の上に取り出したミトンをつけて歩き始めましたが、今までのことがウソのように指先の痛さがなくなり、指先の感覚が戻りました。私のミトンは、羽毛などの断熱材が入っていませんが、あらためてミトンの威力を実感しました。雪が深くなった道を1時間ほど歩いて、今日の宿の黒百合ヒュッテに着きました。入口にかけてある温度計は丁度−20℃を指しており、これまで使用していた、一般の街着用の手袋だけでは、歯の立たない温度であることを知りました。
小屋に入ると先客が5人(2人と3人の2パーティ)おり、ストーブの周りに店を広げて、酒盛りを始めていました。この日の泊り客は、私が最後で、食事つきは私だけとのことです。受付を済ませるとすぐに、小屋番が食事をする炬燵の方へ私を案内してくれました。物理的にも、雰囲気的にもストーブの周りへは近づける状態ではなかったので、これは助かりました。このあと、炬燵にあたって、持参したラジオを聴いて8時半の消灯近くまで炬燵で過ごしたあと、2階に上がって眠りにつきました。

2月10日
朝3時頃、隣の起きる起きないのガサガサ音で目がさめましたが、そのまましばらくウトウトして5時30分に布団から起き出しました。階下へ降りて、小屋の外へ出てみると星が出ています。昨晩の天気予報も晴れだったので、この時点で東天狗岳に登ることを決めました。昨日は東天狗に登るか否か決めていなかったので、朝6時の朝食のあと、サブザックに防寒衣やツエルト、食料などつめて、出発の支度をしました。2人組と3人組のパーティーは、私が出発の支度をしている間に相次いで出かけて行きましたので、私が最後になりました。
小屋の外へ出て、温度計を見ると今朝はマイナス23℃です。この辺りへはここ5〜6年、積雪期に通っていますが、これまで最も低かったのがマイナス20℃ですから、今日が最低の寒さです。今日は最初から防寒、防風対策をして歩き始めました。完全装備のせいか、いつも感じる、鼻先のつんとした痛さや指先の痛さは感じません。歩き始めるとすぐに先発した2パーティーのうちの3人組のパーティーが下ってくるのとすれ違い、更に中山峠の少し先でもう一つの2人組のパーティとすれ違いました。結局彼らは中山峠の少し先で引き返したようです。事実、2人組とすれ違って少し歩いたところで新しいトレースはなくなりました。
中山峠を過ぎ、比較的大きなアップダウンの少ない道を進むと、森林限界を過ぎ、目の前に東天狗岳へ登る斜面へ続く壁が現れました。ここからは、天狗岳の頂上まで吹きさらしの中を歩きます。衣服を再点検し、ストックをピッケルに持ち替えて、再び歩き始めました。雪面には古いトレースがかすかに残っています。例年より雪は少ないのですが、雪が締まっておらず、時折雪を踏み抜いて、膝ぐらいまで足がもぐります。もがくようにして、この雪の壁を越えると、斜面が緩くなると共に前方が開けます。雪も締まってくるのでアイゼンが気持ちよく効くようになりました。ただし、風でトレースが消されてしまっているので、コースを外さないようにして歩かなければなりません。所々に僅かに残るトレースの痕跡とこれも所々で雪面に露出しているコースロープを頼りにして斜面の佐久側の端を歩き、天狗の奥庭分岐に着きました。
ここは風の通り道で、この日も強い風が吹いていましたが、地吹雪のように雪を巻き上げていませんでしたので、この季節としては比較的弱い方ではないかと思われました。ここから天狗の鼻まで、私は下りすぎてしまうことが多いので、この日は極力上を歩くようにしました。何回か行き止まりに突き当たりましたが、これというトラブル無しに天狗の鼻の下に着きました。ここから天狗の鼻の急斜面を登って、天狗の鼻を越えると目の前に東天狗岳の頂上が現れました。
頂上に着いた時、辺りはガスの中で見晴しは得られません。出がけにヒュッテで魔法瓶に詰めてもらった白湯を飲んでしばらくガスが晴れるのを待ちましたが、時折根石岳がぼんやり見えるぐらいで、その先は見えません。吹きさらしの頂上にあまり長くいると体が冷えてきます。いい加減のところで下ることにしました。黒百合ヒュッテに着いて見ると明日からの連休を目当てに登ってきたと思われるパーティーのテントの設営が始まっています。今夜からヒュッテは一杯になると小屋番が言っていましたので、かなりの賑わいになるのでしょう。
黒百合ヒュッテで荷物を整理して中山峠に向かいました。中山峠の佐久側への降り口にトレースはありませんでしたが、急斜面を下ったところで、はっきりしたトレースが残っていました。このあとは、このトレースを辿り、稲子岳を眺め、ダケカンバの林の景観を楽しみ、しらびそ小屋までのんびり下りました。しらびそ小屋でラーメンとカルピスを頼んで1時間ほど小屋の主と雑談をして過ごしました。しらびそ小屋のホームページにあった、登山道が変わったことを確認し、今日の目的地の稲子湯にルートマップ向かいました。一昨年と同じように、しらびそ小屋の荷揚げ道をスノーシューで歩きました。数日前に降った雨で表面がクラストしており、スノーシューをつけていても、体重を乗せるとこれが破れ、時には20〜30cm程もぐり、もぐったスノーシューを滑らせようと思ってもクラストに引っかかって滑らせることができず、ワカンのような歩き方になり、歩き難いことこの上ありません。こまどり沢まで少々大げさですが悪戦苦闘しました。
こまどり沢に着いてみるとこれまで使っていた登山道へは進入禁止のテープが張ってあり、ここを流れる沢の右岸側に道が開けています。これまで、しらびそ小屋が荷揚げに使っていた道です。導標に従ってこの道を下りましたが、緩やかな歩きやすい道が白駒林道まで続いていました。みどり池入口の駐車スペースでスノーシューをぬぎ、今日の宿の稲子湯に向かいました。

2月9日 渋の湯〜黒百合ヒュッテ
渋の湯登山道入口 登山道入口
渋の湯のバス停を降りて、目の前の沢沿いに歩くと、ここに着く
ここには、登山カード提出用のポストがある
沢にかけられた小さな橋を渡ると山道になる
橋を渡って直進すると黒百合平、左へ進むと高見石
高見石分岐 高見石分岐
渋の湯から私の足で30分近く歩くとここに着く
ここから、八方台分岐までしばらくの間、渋の湯〜黒百合ヒュッテで最もきつい登りが続く
八方台への登り 渋の湯〜黒百合ヒュッテの登り
今年は例年より雪が少なく、登山道沿いの岩が点々と頭を出している
八方台分岐 八方台分岐
日が射すと明るくて気持ちの良い広場だが、この日は生憎曇だった
ここで昼食にしたが、最近は殆どここで昼食をとっている
唐沢鉱泉分岐 唐沢鉱泉分岐
ここまで来るとあたりの雪は深くなり、いかにも冬山らしくなる
雪道 唐沢鉱泉分岐からの登り
例年と同じように、唐沢鉱泉分岐を過ぎると雪が深くなった
メルヘンチックな雪景色を楽しめる
金網の桟道 桟道
黒百合ヒュッテの手前の小さな流れにかけられている鉄製の桟道が露出していた
今年は雪が少ない
黒百合ヒュッテ 黒百合ヒュッテ
例年見られる小屋の周りの雪の壁がなかった
ヒュッテの入口の温度計を見てビックリ、−20℃だった

2月10日 黒百合ヒュッテ〜東天狗岳〜黒百合ヒュッテ〜中山峠〜稲子湯
朝の中山峠 中山峠
樹林に朝日が射し込み、あたりがピンクに染まっていた
東天狗岳 東天狗岳
中山峠を過ぎてすぐ、一度視界が開けて正面に天狗岳が見えるが、雲がかかりだしていた
天狗岳への斜面 東天狗岳へ続く斜面
樹林帯はここで終り、吹きさらしの大きな斜面を登る
この斜面の取っ掛かりに雪の壁があり、この壁は雪が柔らかくて急なため、トレースが無いと登るのに一苦労する
ここを越えると斜面は緩やかになり雪も締まるので歩きやすくなる
例年に比べ雪は少ない
天狗の奥庭分岐から見た天狗の鼻 天狗の奥庭分岐
ここまで来ると東天狗岳の頂上まではあと僅か
間近に見える天狗の鼻(写真中央のピーク)の向うが頂上
風の強いところで、この日も強い風が諏訪側から佐久側へ吹いていた
東天狗岳 東天狗岳
昨年に続き今年もガスの中で視界は殆ど得られなかった
根石岳へ向かう稜線 東天狗岳頂上から
時折根石岳へ向かう稜線がぼんやり見えた
昨年はガスの中でここをかなり緊張して登って来た
天狗の奥庭付近からの眺め 天狗の奥庭分岐付近
東天狗岳を下ってくるとこの辺りで日が射すようになった

中山峠からの降り口 中山峠の佐久側への降り口
右側が切れ落ちている急斜面を下る
今年は雪が少なく最上部の固定鎖の一部がまだ雪に埋もれていなかった
ここは、風の吹き溜まりのようで、トレースはすぐ風に飛ばされて消えてしまう
樹林帯付近 樹林帯入口付近
中山峠の急坂を下ると樹林帯に入る
今年はこの少し先からトレースが残っていた
ここから樹林の中へ入るが、樹林の中はトレースというより、夏道がはっきり見分けられた
樹林帯の中の道 樹林帯の中の道
このような樹林の中の急坂がしばらく続く
一昨年付けたテープがまだ残っていたが、今年は夏道の跡がはっきりしていたのでテープに頼る必要はなかった
稲子岳 稲子岳
中山峠〜しらびそ小屋の間で1箇所だけ写真のように稲子岳が良く見える場所がある
ここから見える稲子岳は立派である
一般のガイドブックには記載されていないが、しらびそ小屋〜中山峠の登山道の途中から山頂に出るルートとニュウの近くから向かうルートがある
ダケカンバの林 ダケカンバの林
ここまで来ると、しらびそ小屋まで、道は殆ど平坦になる
トレースがなくてもここから先は夏道がはっきり分かるので、迷うことは無い
いつもここまで来ると気持ちが緩む
本沢温泉への分岐 本沢温泉分岐
写真向こう側がしらびそ小屋、手前側が中山峠、右方向が本沢温泉
ここからしらびそ小屋は目と鼻の先
本沢温泉へ向かう道ににもトレースがあった
しらびそ小屋 しらびそ小屋
この日も薪ストーブが暖かく燃えていた
2匹の犬はまだ健在だったが、小さいほうは20歳になったとのことで足がふらついていた
ここの犬を見ると我家の飼犬を思い出す
みどり池と東天狗岳 みどり池と東天狗岳
写真のように東天狗岳の頂上は頭を出していたが、雪が舞っているようで、もやっていた
雲の動きが早く強い風が吹いているようだった
しらびそ小屋の荷揚げ道 荷揚げ道
入口はテープが張られていて進入禁止になっている
積雪期はここをスノーシューで下るのが楽しいので、今回もここを下った
但し今年は数日前に雨が降ったため雪の状態が悪く、スノーシューを滑らせることができなかったので快適とは言い難かった
この荷揚げ道には、導標は勿論テープも殆ど無い
こまどり沢 こまどり沢
これまで使っていた登山道方向には進入禁止のテープが張ってある
ここから白駒林道までしらびそ小屋が荷揚げ道に使っていた道が一般登山道に変わっていた
白駒林道の登山道入口 登山道入口
白駒林道には従来より少し稲子湯側に出てくる
写真手前から向こう側へ続く道が白駒林道で、手前側が稲子湯方向
これまでは、林道の先にある屏風橋を渡ったところが入口だった
みどり池入口駐車スペース みどり池入口
白駒林道の入口で、県道に面しており、駐車場になっている
この日は車が2台駐車していた
稲子湯 稲子湯
この日の泊り客は私を含めて2人
泊り客は頼めばJRの小海か松原湖駅まで送ってもらえる

このページの先頭へ
AC