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No.141 東天狗岳
3月も終りで、天気予報も晴れが続いて安定しているようなので、春先の楽しい雪山歩きを期待して出かけたのですが、天気予報はおお外れで、山行2日目は視界のない山中を終始緊張して歩くことになりました。

日時 2011年(平成23年)3月30日(水)〜3月31日(木)
天候 3月30日 晴
    3月31日 曇一時雪
同行 なし

3月30日 所要時間
夏沢鉱泉(11.05) ←1時間15分→ (12.20)オーレン小屋で昼食(12.45) ←40分→ (13.25)夏沢峠(13.40) ←1時間5分→ (14.45)硫黄岳中腹(14.25) ←10分→ (15.20)夏沢峠(15.30) ←55分→ (16.00)オーレン小屋(16.10) ←40分→ (16.50)夏沢鉱泉
3月31日 所要時間
夏沢鉱泉(6.45) ←1時間20分→ (8.05)オーレン小屋(8.25) ←40分→ (9.05)夏沢峠(9.10) ←1時間10分→ (10.20)箕冠山(10.30) ←1時間40分→ (12.10)東天狗岳(12.30) ←50分→ (14.00)中山峠(13.15) ←30分→ (15.25)しらびそ小屋(15.45) ←15分→ (16.10)こまどり沢(16.10) ←20分→ (16.55)みどり池入口(16.55) ←15分→ (17.15)稲子湯

山行概要

3月30日 夏沢鉱泉〜硫黄岳中腹まで往復
根石岳
根石岳
根石山荘(写真左)の前は、強風で雪が飛ばされ、殆ど付いていない。この日も諏訪側から佐久側へ強風が吹いていた。
八王子でスーパーあずさ1号にのり、茅野駅に午前9時8分に着き、夏沢鉱泉の車で夏沢鉱泉に向かいました。夏沢鉱泉に着いて、受付と支払いを済ませ、部屋に案内されましたが、3月も終りのせいか、案内された部屋で寒さはあまり感じません。部屋で持参したサブザックに必要最小限の荷物を入れて、硫黄岳に向かいました。
積雪期にここを歩くのは今回で3回目になりますが、あたりの積雪量は今回が一番多いようです。しかし、道はしっかり踏み固められており、歩きにくいことはありません。好天の下で、写真を写しながら、まずオーレン小屋を目指しました。オーレン小屋付近はまだかなりの雪で、ここにある休憩用のベンチ(テーブル)は雪の下に埋もれていて姿が見えません。ここで昼食を取ると共に夏沢鉱泉から付けていた簡易アイゼンを10本歯のアイゼンに履き替えました。一息ついたところで夏沢峠を目指します。

雪は多いのですが道は踏み固められており、雪を踏み抜くことはありません。気持ちよく歩けます。 そろそろ夏沢峠と思い始めたとき、目の前が開けて夏沢峠に着きました。今日は硫黄岳が良く見えます。ここで、防風1日目ルートマップ用の上着を着ると共にトレッキングポールをピッケルに持ち替えました。時計を見ると午後1時30分を回っています。2006年の暮れに同じコースを歩いて、硫黄岳に登った時より1時間ほど遅れています。午後5時までに夏沢鉱泉に戻る積りなので、どうも今日は硫黄岳の頂上まで行けそうにありません。行けるところまで行ってみるつもりで歩き始めました。
夏沢鉱泉から一度樹林に入り、崖の上端をトラバースして、再度短い樹林を過ぎると森林限界を越え、吹きさらしの広大な斜面に出ます。今日も硫黄岳名物の風が諏訪側から佐久側へ吹いています。しかし、この時期の硫黄岳としては比較的弱い風です。雪が吹き飛ばされて、雪と氷と石の入り混じった、あまり歩き易くない道をしばらく歩き、頂上直下のケルンが見え始めたところで、これ以上は時間的に無理と判断し、引き返すことにしました。
夏沢鉱泉に戻って湯に浸かり、部屋に戻って荷物を整理していると、夕食の声がかかりました。今日の宿泊客は私一人です。食事の後、テレビの明日の天気を確認して、部屋に戻って眠りにつきました。


3月31日 夏沢鉱泉〜東天狗岳〜中山峠〜稲子湯
夏沢鉱泉の朝食は午前6時です。朝食後、魔法瓶にお湯を詰め(因みに夏沢鉱泉では、お湯は無料です)てホットレモンを作り、夏沢鉱泉を後にしました。ザックに付けた温度計は-10℃付近を示しています。昨日と違って上空は雲に蔽われています。 しかし、昨日の晩の天気予報では、昼前から晴れになるとのことだったので、天気のことはあまり気にしませんでした。昨夜は少し雪が降ったようで、道には新雪がうっすらと積もっています。昨日と同じように、オーレン小屋でアイゼンを履き替え、夏沢峠へ向かいました。夏沢鉱泉の話では、2〜3日前に箕冠山からオーレン小屋へ下って来た人があるとのことで、オーレン小屋から箕冠山へ登る道には割合しっかりしたトレースがありました。しかし、先のほうの状態がわからないので、ここはより人が多く通る夏沢峠経由で箕冠山を目指しました。
2日ルートマップオーレン小屋を過ぎると、時折日が差すようになり、天気予報どおり天気は良くなるのかと思っていましたが、夏沢峠に着いてみると硫黄岳方向は夏沢峠のすぐ上まで雲が下りてきていて、何も見えません。これからの天気に一抹の不安を感じました。夏沢峠から箕冠山へ向かう道には予想通りしっかりしたトレースが残っています。箕冠山の途中で、風の冷たさが気になりだしたので防風衣を着ましたが、このとき、ザックと背中の間に挿していたピッケルがベストに凍り付いてしまっており、ベストからはがすのに一苦労しました。箕冠山の頂上近くなると雪の吹き溜まりで時々トレースが消えるようになりましたが、特に迷うようなことも無く箕冠山の頂上に着きました。
箕冠山の頂上で一息入れ、先へ進みました。少し下ると目の前が開け、これから向かう根石岳とその向うに天狗岳が眺められます。しかし上空は雲に蔽われており、昨晩の天気予報のような晴れを期待できる状態ではありません。これまであったトレースは無くなりましたが、根石岳までは、風で雪が飛ばされており、しかも登山道の両側にロープが張ってあるので、まず迷うことはありません。強風の吹いている根石山荘の前を通り、根石岳に着きました。この頃になると天気は悪くなる一方で、それまで見えていた天狗岳には雲がかかるようになり、雪も降り始めました。吹きさらしの根石岳の頂上では休む気にならず、写真を何枚か写して東天狗岳に向かいました。
本沢温泉へ向かう白砂新道の分岐を過ぎると東天狗岳の登りが始まります。夏道沿いに赤旗が立てられているのが見えるので、最初はこれを目印に登ります。2本目の赤旗までは次の赤旗が見えたのですが、3本目からはこれが見えなくなりました。上の方はガスの中で状況が分かりません。後は勘を頼りに進みました。時折道を外すようで何回か急な雪の斜面にぶつかりピッケルのブレードで足場を切って乗り越えました。5本目の赤旗を過ぎ、更に進むと鉄製の桟道と手すりが目の前に現れました。もう東天狗岳の頂上は目と鼻の先で、ヤレヤレです。この桟道を越え、5mほどのナイフリッジを渡り、東天狗岳の頂上に着きました。
晴れていれば見晴らしの良いところですが、今日は強風が吹いているだけで、あたりはガスに包まれて何も見えません。それでも、「ここまで来れば・・・」、の安堵感から、朝出発する時に作ったホットレモンを飲み、チョコレートをかじって一息入れました。しかし、時計は12時を回っており、長居はできません。写真を何枚か写し、中山峠に向かいました。この頃になると視界は100mをきるようになり、手探りで歩くようになります。天狗の鼻を越え、天狗の奥庭分岐まで、下り過ぎないように気をつけましたが、それでも2回ほど少し下りすぎてしまいました。天狗の奥庭の分岐を過ぎて中山峠へ向かうと最初は広大な斜面の上端を歩き、その後、この斜面を下ります。見晴らしがあればトレースがなくても、斜面の最下点が見えるので、問題は無いのですが、今日は見晴らしがありません。当然トレースもありません。斜面の下りは、天狗の奥庭へ入り込まぬよう、時折現れるロープを頼りに極力佐久側を歩くようにしました。それでも数回ルートを探して、登り、下りを繰り返し、最後の急斜面の上に立った時は、ホッとしました。
ここまで来れば、中山峠までまず迷うことはありません。東天狗岳の下りでも予定i以上の時間がかかってしまったので先を急ぎました。中山峠に着いて降り口の状況を確認しましたが、雪の吹き溜まりで、少なくとも見える範囲でトレースはありません。昨年秋に取り付けたテープを頼りに下ることになるのかなと思いながら峠直下の急坂を慎重に下りましたが、下り始めるとすぐ下から登ってくるトレースを見つけました。このトレースを辿って樹林の中に入ると樹林の中はトレースよりもっとしっかりした窪みが残っており、更に昨年秋に私が付けたテープもこれというところで見られます。もう道を探すことはありません。今日最後のやれやれです。雪がクッション代わりになった道を快適にしらびそ小屋まで一息に下りました。
当初の予定ではしらびそ小屋で昼食代わりにラーメンを食べる積りだったのですが、時間が随分遅くなっていたのでコーヒーを頼んだだけで、そそくさと小屋を後にしました。この後、稲子湯についた時は、午後5時を回っていましたが、稲子湯では気車窓から見た八ヶ岳持ちよく迎えてくれ、恐縮しました。部屋に案内されて、浴衣に着替え、温泉につかり、まさに極楽、そんなひと時でした。

翌日、稲子湯の車でJRの小海駅まで送ってもらい、小淵沢経由で帰宅しましたが、小海線の車窓から見た八ヶ岳は雲ひとつない晴天の下で真っ白な姿を見せていました。今回は、一日違いの晴天が少々恨めしく思える山行でした。

3月30日 夏沢鉱泉〜硫黄岳中腹往復
ダケカンバの中の道 夏沢鉱泉〜夏沢峠の間は、殆ど針葉樹林の中を歩くが、夏沢鉱泉から少し歩いたところに、このコースでは珍しくダケカンバの明るい樹林がある
夏沢渓谷 オーレン小屋への道
夏沢鉱泉からオーレン小屋までは、しばらく沢沿いの道を歩く
最初右岸を歩き、次いで左岸に渡り、もう一度右岸に渡って沢から離れる
夏沢鉱泉ではこの沢を夏沢渓谷と称して写真教室などを開き、集客に努めているようである
硫黄岳 硫黄岳
オーレン小屋近くになると、樹林が切れて硫黄岳が眺められる
ここまで来ると、オーレン小屋は目と鼻の先
オーレン小屋 オーレン小屋
屋根の雪は殆ど残っていなかったが、地上はまだ1mを越す積雪量
写真右側の冬季用の小屋の入口は雪に埋もれていた
夏沢峠への道 夏沢峠への登り
オーレン小屋を過ぎると、雪は一段と多くなり、再び樹林の中を歩く
夏沢峠までは緩い登りでメルヘンチックな気分を味わえる
夏沢峠 夏沢峠
この日は晴れていて、硫黄岳が眺められた
写真を写した場所は吹きさらしで、積雪量はそれほど多くないが、ここから少し硫黄岳のほうへ進むと大量の雪が積もっている
因みに本沢温泉へ下る道は導標もろとも雪の中でどこにあるのか分からない
崖上のトレース
迂回路標識
迂回路の表示
トラバース
夏沢峠をすぎて少し歩くとここに出て来て、崖の上端をトラバース(長さは50mほど)する
この日は雪が多く、樹林の際から雪が長く張り出しているので、樹林帯の端を歩けば特にスリルは感じないが、雪が少ないと緊張する
ここは樹林の中に巻き道があり、硫黄岳側に迂回路の表示板がり、夏沢峠側はは木に巻いたテープがある
硫黄岳の斜面 硫黄岳の登り
上の写真のトラバース地点を過ぎるとすぐ森林限界を越えて、吹きさらしの斜面を歩くようになる
硫黄岳斜面から来た八ヶ岳方向 北八ヶ岳方向
森林限界を過ぎると見晴らしがよくなり、振り向くと北八ヶ岳方向が一望できる
最初は箕冠山の稜線しか見えないが、そのうち、天狗岳の双耳峰が箕冠山の向うに見えてくる
硫黄の斜面 引き返し地点
この日は、ここで引き返した
写真中央の丸いピークが硫黄岳の頂上で、この写真では分かり難いが、頂上直下のケルンが遠望できる

3月31日 夏沢鉱泉〜天狗岳〜稲子湯
夏沢鉱泉 夏沢鉱泉
積雪期は、茅野駅からの送迎付き1泊2食11000円
湯(鉱泉)は泥水状で臭いは殆ど無い
今回は、私の登山姿(モンベルのアウターとベストを着ていた)からモンベル会員かと聞かれたので、そうだと答えるとカードを確認して500円引きにしてくれた
夏沢峠 夏沢峠
昨日は晴れていて硫黄岳を眺められたが、今日は乳白色のガスが夏沢峠のすぐ上まで降りてきていて何も見えない
晴れている時とは全く異なる寒々とした光景が広がっていた
箕冠山の登り 箕冠山への登り
夏沢峠〜箕冠山の間は樹林の中を歩くが、登るに従い諏訪側から佐久側へ吹く風が冷たく感じられるようになったので、箕冠山へ着く前に防風用の上衣を着た
ザックをおろす際、ピッケルのシャフトがフリース製のベストに凍り付いていて、外すのに手間取った
箕冠山頂上近くの吹き溜まり 箕冠山の頂上近くなると、雪の吹きだまりなどで、トレースが消えることが多くなってきた
所々にリボンがあるが数はそう多くない
注意しないと道を外すため、気を使った
根石岳 根石岳
箕冠山へ登る道がフラットになると、右手に根石岳が眺められるようになる
根石岳の後方の東西天狗岳は雲の中で見えない
箕冠山 箕冠山のトイレ箕冠山
導標の行き先表示板がかろうじて頭を出していた
手前の案内板は殆ど雪に埋もれていた
2004年6月2006年12月の写真と比べると現在の積雪量が分かる
ここにはトイレ(写真右)が設置されていた
箕冠山のオーレン小屋分岐 箕冠山のオーレン小屋方向の道
2〜3日前にここからオーレン小屋へ下った人がいると、夏沢鉱泉で言われたが、はっきりしたトレースは残っていなかった
箕冠山近くの雪景色 箕冠山を少し下るとトレースはきれいさっぱり無くなった
この日はこの後、東天狗岳の斜面を下りきるまで、トレース無しの雪道を歩くことになり、幾度となく道を探したため、予定より多くの時間がかかった
根石岳 根石岳頂上
頂上に着いた時、硫黄岳も天狗岳も雲の中
晴れていれば見晴らしの良いところだが、この日は何も見えないため頂上の写真を写しただけで素通り
東天狗岳 東天狗岳
根石岳から下ってくる途中で写した
この日、天狗岳が見えたのはこれが最後で、この後頂上付近は雲で蔽われた
この頃から雪が舞いだした
東天狗岳の登り 東天狗岳の登り
最初は小さな赤旗が見えていたのでこれを目標に登ったが、3本目を過ぎたところで次の赤旗が見えなくなった
東天狗岳頂上直下 東天狗岳頂上直下
この写真では分かり難いが、写真中央に鉄製の手すりが写っている
この手すりが見えた時はホッとした
東天狗岳の頂上は、この写真のピークの向こう側にある
東天狗岳頂上 東天狗岳頂上
残念、あたり一面ガスで真っ白
強い風が吹いていた
気温はザックに付けた温度計で−12〜13℃
東天狗岳の斜面 東天狗岳斜面の最下端の斜面
晴れている時の斜面はこんな感じである
写真手前方向が中山峠
ここまで来ると中山峠まで迷うところは無い
中山峠 中山峠
佐久側は雪の吹き溜まりで、トレースはすっかり消えて残っていない
ここから下の写真の樹林帯まで急坂を下る
この日は急坂を下ったところでトレースを見つけた
 
樹林帯へ続くトレース 目印テープトレースと樹林帯
写真のトレースを辿って樹林他の中に入ったが、入口をはじめここという所には昨年秋に取り付けた赤色のテープが残っていた
稲子岳 稲子岳
中山峠からの急坂が終わってしばらくすると左手に見える
、一般のガイドブックには頂上へ登るルートの記載はないが、しらびそ小屋の主の話では、中山峠の手前から、頂上へ登る道があるとのこと
ダケカンバの林 ダケカンバの林
中山峠から下ってきてこのダケカンバの林まで来れば、しらびそ小屋まで殆どがフラットな道になる
本沢温泉分岐 本沢温泉分岐
本沢温泉の方にもしっかりしたトレースが残っていた
誰か最近歩いたようである
無雪期の写真から現在の積雪量が分かる
しらびそ小屋 しらびそ小屋
この小屋が通年営業なのはありがたい
特に積雪期は、ここまで来れば何とかなるとの思いがあるので、中山峠を下ってこれる
この小屋の薪ストーブの暖かさがなんともいえない
この日、小屋番はご主人一人で、話好きの奥さんは上がってきていないとのことだった
しらびそ小屋付近の道 しらびそ小屋近くの登山道
上が開けていて感じの良いところである
こまどり沢 こまどり沢
このあたりで降っていた小雪が完全にあがった
しらびそ小屋の荷揚げ道の方は、雪が山ほど積もっていた
みどり池入口 みどり池入口駐車場
車が止められていた跡は残っていたが、車は1台も止められていなかった
稲子湯 稲子湯
ここ数年毎年泊るようになったので、なんとなくなじみの宿という感じがしてきた
この日も雪の付いたアイゼンやスパッツを乾かしてくれた
この日の泊り客は私一人
ここも3月11日の東日本大震災の影響で客が激減したとのこと

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