大雪山(緑岳・白雲岳・北鎮岳・当麻乗越)第2日 2001年8月10日 - 11日 山小屋利用

8月11日 曇ときどき晴れ

5:00 黒岳石室を出発(高度計:1850m, 温度計:20.0℃)

黒岳石室付近から北鎮岳方面
黒岳石室付近から北鎮岳方面
曇っていて、楽しみにしていたご来光は見られなかった。しかし雲は高く、展望は充分だ。行く手には大雪山らしい、広大な原に、雨でえぐれた道が伸びている。原はコマクサとイワブクロが多く咲いていた。まだ夜が明けたばかりでかなり寒く、Tシャツ・カッターシャツ・カッパを着込んで歩く。ほとんど平坦な道の最後に岩ゴロの斜面があり、そこを登ったところがお鉢平展望台だ。

5:48 お鉢平展望台(1940m, 18.3℃)

北鎮岳への登り
北鎮岳への登り
展望台からはその名の通りお鉢平が一望のもとだ。周囲の山もすべて見渡せ、向かいの松田岳あたりの稜線を歩いている登山者も見える。
右手前方すぐ間近に、北鎮岳が、登高意欲をそそる、いい姿で聳え立っている。肩への最後の坂(写真の大きな雪田の左側)はガレていて少々きつかったが、エゾウサギギクなどの花に励まされるようにして登りきった。

肩にザックをデポして山頂に向かう。

6:40 北鎮岳登頂(2190m, 20.9℃)

肩からわずか10分ほどで北鎮岳登頂。風が少し弱まり、意外と寒くなかった。360度の大展望で、トムラウシはもちろん、阿寒のほうの山並みも見えた。初めて姿を見せた比布岳が順光に映えて美しい。(ぐるぐる写真
20分くらい景色を堪能してから、デポしたザックをまた担いで、裾合平を目指す。

7:57 中岳分岐から中岳温泉方面に下る(1975m, 14.8℃)

分岐から一歩踏み出した瞬間、もう硫黄の匂いが漂ってきた。えぐれた歩きにくい尾根道を下って行き、20分ほどすると左に大きくターンして、谷へ降下する。この降下点から温泉が見える。

8:30 中岳温泉着(1790m, 24.0℃)

中岳温泉
中岳温泉
降下点から中岳温泉へは10分ほど。周辺はあちこちで温泉が小さく涌き出ている。
7月末の豪雨でこのあたりも大分崩れたらしい。この湯船も最近掘ったという話を黒岳で聞いた。湯船はたいへん浅く、大人だと寝そべって肩まで入れるかどうかという大きさだ。浸かってみたかったが、今日は先が長いので、足がふやけるとよくないと考えてやめた。
あたりは崩壊直後ということで、裾合平への道は不明瞭だったが、よーく見ると黄色のペンキ印が見つかった。
たっぷり30分も休憩。

9:28 裾合平到着

裾合平に残っていた花畑
裾合平に残っていた花畑
もう花はないかもしれないと思っていたが、まだまだ残っていた。それにしても広い。こんなにどでかい花畑は初めて見た。
平とは言っても幾分起伏があり、ひとつうねりを越えると次の花畑が見え、思わず歓声をあげる。温泉に近い方から、ツガザクラ群落 - ハクサンボウフウ大群落 - ツガザクラ・チングルマ混成群落と続き、とどめはチングルマ巨大群落。もう花はないが、チングルマの穂で一面クリーム色に染まっていた。花の最盛期にぜひとも再訪したいと思った。

10:28 ピウケナイ沢渡渉点

ピウケナイ沢渡渉点
ピウケナイ沢渡渉点
裾合平分岐から北に進路をとる。まずはチングルマ・ワタスゲの穂が揺れる道、続いて広大な笹原の中を行く。ここまでの道は泥道(一部木道)なのだが、しばらく雨が降っていないのか、足跡の形に泥が固まっていた。分岐からおよそ30分ほどでピウケナイ沢の渡渉点に到着。
この沢は水量が多く、足首まで完全に水につかってしまう。また水流も速いので、油断していると足をさらわれてしまう。この日はスパッツをつけて素早く通りすぎれば大丈夫だったが、しばらく雨が降っていない(と思われる)のにこの調子では、降雨直後や雪解けの頃はいかばかりであろうか。

10:58 当麻乗越到着(1670m, 27.6℃)

当麻乗越から沼の平
当麻乗越から沼の平の眺め
前から来てみたかった当麻乗越に到着。沼の平湿原の絶好の展望台となっている。至仏山からの尾瀬ヶ原も素晴らしい眺めだが、標高差が大きく、湿原が遠い印象を受ける。ここは小さな池塘までハッキリと、手に取るようにわかるのだ。
湿原を縫うように登山道が見え、これからあの中を歩くのかと思うとわくわくする。

11:37 当麻乗越出発(1655m, 23.1℃)

湿原を眺めながら下る悪路
湿原を眺めながら下る悪路
たっぷりと景色を堪能して、当麻乗越を出発。しかしすぐに期待は絶望に変わった。道が悪いのだ。まず30分ほど潅木のトンネルが続く。自分より背の高いザックに木が引っかかり、難儀する。ときおり展望があり、ピウケナイ沼が美しく見える
そしてトンネルが終わると今度は笹の刈り払い道だ。刈った跡は狭くかつ斜めで、かえって歩きづらい。また元の道は刈った笹で覆われていてその下がどうなっているのかわからず足を踏み出すのが怖い。
ずっと先の沼端には木道が見える。あと少しで木道だ、を合言葉にがんばる。

12:47 沼の平着(1425m, 25.2℃)

沼の平六の沼
沼の平六の沼
うへえ、ようやく着いた。木道にザックを置いてへたり込む。最初にたどりついた沼は六の沼といい、ふたつ上の写真の一番左の沼だ。花はそれほど多くなく、タチギボウシが咲き始め、といった感じだった。水は澄んでいて、底に石が堆積しているのが見える。
日帰りらしき装備の6人パーティが逆方向からやってきた。ちなみに、裾合平は幾分か人がいたが、その後ここまでは単独行者4人としか会わなかった。
ここから半月の沼のちょっと先まではほとんど木道だ。

12:57 半月の沼

雪渓の残る沼
雪渓の残る沼
沼の南端を通る木道は雪に埋まっていて(写真右手)、雪の斜面をトラバースした。クレバスもあり、ちょっと緊張した。また、雪の重みだろうか、壊れている木道もあり、一部沼に水没しているところもあった。

13:14 滝の上分岐(1405m, 26.3℃)

村雨の滝
村雨の滝
行動を開始してから8時間が経過。これからまだ標高差400mを降りなければならない。かつりんは先ほどの悪路でモチベーションが低下してしまっていたので、沢沿いの道から早く下山したかったが、相棒Kはゆるやかで湿原の中を行く松仙園コースを主張。協議の結果、松仙園はコースタイムが1時間長くなるということで、かつりんの意見を採択した。
滝の上分岐に到着したあたりから相棒Kもモチベーションが下がり、ふたりとも無言で歩く。このコースは平坦 - 急降下の繰り返しで、平坦な場所は石なども少なく歩きやすいが、急坂にはロープが付いているところもあり、要注意。

15:21 愛山渓温泉着(1000m, 24.7℃)

愛山渓温泉・青少年の家
愛山渓温泉・青少年の家
ふたりともかなり疲れていたので、ちょっと遅かったが、青少年の家に宿泊をお願いしたら快く受けてもらえた。泊り客は我々を含めて15,6人ほど、ヒュッテの方は0人ということであった。
風呂に入り、17:30からの山菜料理中心の夕食を終えると、すぐに倒れるように寝てしまい、翌朝6時まで11時間あまりも爆睡した。

8月12日

雲井が原湿原
雲井が原湿原からの愛別岳
バスが出るのが10:40なので、時間まで愛山渓から程近い雲井が原湿原を散策した。徒歩30分とあるが、15 - 20分くらいしかかからない。
エゾマツに囲まれた湿原と、その向こうに見える荒々しい愛別岳との対比がすばらしく、なんといっても誰もいないのがいい。ベンチに座ってすばらしい景色を眺め、余った行動食やみかんを食べながら、のんびりと過ごした。
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