地球を汚染する過フッ素化合物類 PFCs
Environmental Working Group のレポート紹介


情報源:PFCs: A chemical family that contaminates the planet
Report of Environmental Working Group
April 2003
http://www.ewg.org/reports/pfcworld/ リンク切れ
新たなリンク:http://www.ewg.org/research/pfcs-global-contaminants
Environmental Working Group:
http://www.ewg.org/

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/)
掲載日:2003年9月17日
更新日:2005年7月17日(第7部の詳細を除き全訳)

このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/research/ewg/pfc/03_09_ewg_pfc.html


 
PFCs 地球を汚染する過フッ素化合物類
(パーフルオロケミカルズ)


動物と人間に有毒で、
永久に残留し、
広く人間の血液を汚染している
EPA は地球を汚染する過フッ素化合物の1つを禁止
他の過フッ素化合物も規制されようとしている
これらについて目を向けるべき時が来た・・・・・・



著 者

クリスチーナ・サイヤー、PhD、上級科学者
Kristina Thayer, PhD, Senior Scientist

ジェニファー・クレイン、PhD、科学特別研究員
Jennifer Klein, PhD, Science Fellow

シーン・グレイ、地図情報分析者
Sean Gray, GIS/Data Analyst

ジェーン・ホーリハン、研究所副所長
Jane Houlihan, Vice President for Research

リチャード・ワイルズ、上級副代表
Richard Wiles, Senior Vice President

ティム・グリーンリーフ、インターラクティブ・コミュニケーションズ取締役
Tim Greenleaf, Director of Interactive Communications


内 容

 表紙
著者
内容
はじめに
1. 消費者用品と PFCs
2. どこでも人の体内に
3. PFCs は永久に残留する
4. PFCs の健康に与える影響についての懸念
5. PFCs は水、食物、そして空気中に
6. PFCs は世界中の動物の体内に
7. デュポン社の PFOA についての言い訳 (詳細部の訳省略)
8. こげつかない鍋で鳥が死ぬ
9. 規制の間隙 PFC 汚染
10. PFCs への行動のための勧告
---------------参考資料---------------
・PFC 汚染・世界地図
 (野生生物人間水・空気・食物全体
・消費者ガイド/PFCs を含む製品調査
・関連報道リンク
・スコッチガードとテフロンに関する情報検索
---------------訳者資料---------------
EWGの資料
EPAの資料
デュポンの資料
3Mの資料
関連リンク


はじめに

 消費者は、それらを現代化学がもたらした家庭用品の奇跡であると直ぐに認めるであろう。食物がこげつかないポットや鍋、汚れのつかない家具や敷物、撥水加工のレインコート。産業では、よく滑り熱に強い性質を持つこれらの物質を飛行機やコンピュータから化粧品や家庭用クリーナーにいたるまで、多くの製品の製造に使用する。

 しかし、過去5年間、世界的に有名なブランド商品であるテフロン、ステインマスター、スコッチガード、そしてゴアテックスなどを支えてきた数十億ドル(数千億円)規模の過フッ素化合物(パーフルオロ化合物 PFCs)産業はアメリカ環境保護局(EPA)の科学者や担当官にとって優先度の高い規制対象となってきた。PFC 類は長さの異なる炭素原子の鎖によって特徴付けられ、そこにフッ素原子が強力に結合して本質的に破壊できない化学物質となり、それは最近までは生物学的には不活性であると考えられていた。しかし現在はそのように考える人はいない。

 1990年代になってから数々の科学的発見により、PFCs は世界中で人間や動物の血液を汚染する非常に有毒で極端に残留性の高い化学物質として ”容疑者リスト” に載せられるようになった。さらに研究が行われれば、PFCs は DDT や PCBs、ダイオキシン、その他の化学物質に取って代わって、地球を汚染する最悪の有毒物質となる運命にあるように見える。他の有毒な化学物質とは違って、最も広く分布し有毒である PFC 類化合物は環境中で決して分解しないので、政府の科学者たちは特に懸念を持っている。

  アメリカ EPA は2000年に、PFC 類のうちの一つを有無を言わさず市場で禁止した。それは、3M 社の人気ある汚れ防止用及び耐水用の ”スコッチガード” の成分として数十年間使われてきた PFOS (パーフルオロオクタンスルホン酸、又はペルフルオロオクタンスルホン酸) である。その後直ぐに 3M 社は関連する過フッ素化合物である PFOA (パーフルオロオクタン酸、又はペルフルオロオクタン酸) の製造を中止したが、現在、EPA はその物質の規制を強めようとしている。3M 社は PFOA を公式にデュポン社に売り払ったが、デュポン社は半世紀にわたり ”テフロン” の製造に PFOA を使用している。同社は、現在、ノースカロライナの新工場でこの化学物質 PFOA 自体も製造している。研究によりその毒性が警告され、また PFOA がアメリカ国民の90%以上の血液中に存在することが分かったので、EPA は2003年4月にこの化学物質を規制するための第一段階の措置をとることを期待されている。

 この報告書では、最初に、PFCs の汚染の実態とそれがもたらす健康へのリスクについて、特に PFOA (パーフルオロオクタン酸、又はペルフルオロオクタン酸)に注目しつつ検証する。この検証は50,000頁に及ぶ調査資料と政府資料に基づいている。これらの資料は、EPA から入手した資料、現在進行中の訴訟過程で 3M 社及びデュポン社が公表した内部資料、及び PFCs の毒性及び環境中での影響に関する独自の研究に基づく資料である。

 この報告書ではまた、その科学的武勇を自慢している 3M 社やデュポン社のような主要な化学会社は、化学産業界が公衆健康と環境に関する ”責任ある配慮” を求められている中で、半世紀にわたり地球全体を永久的に汚染してきたことをいかに簡単に済ませてしまおうとしているかについて述べる。


第1部 消費者用品と PFCs
PFOA 及び他の PFCs は家庭用品に由来する

 こげつかない鍋、家具、化粧品、家庭用洗剤、衣類、そして食品容器などは全て、その多くが環境中で叉は人間の体内で PFOA(パーフルオロオクタン酸) に分解する PFCs を含んでいる可能性がある。その商品名はよく知られているテフロン、ステインマスター、スコッチガード、シルバーストーン、その他である。またPFCs は広く、産業用製品及びプロセス中で使用されている。

テフロンと PFOA
 テフロンそのものは PFOA(パーフルオロオクタン酸)ではないが、PFOA はテフロン製造プロセスで使用され、テフロン製調理器具が加熱される時に、他の PFCs とともに大気中に放出される。[抜粋] PFOA はまた、テフロン製造工場で大気中及び水中に排出されている。

その他の消費者用品と PFOA
(フルオロポリマーとテロマー(短鎖重合体) アルコール)
 PFOA はまた、カーペットや家具、食品容器、皮製品用スプレー、靴、衣類、塗料、クリーニング用品などを含む防汚、撥油、及び撥水処理を施した製品、及び、PFCs が界面活性剤として使用されるシャンプーや床用ワックスのような製品に由来する。これらの PFC 製品は、ステインマスター繊維防汚剤やゾニール紙撥油剤のような成分を含み、それらは環境中及び体内で PFOA やその関連物質に分解するような化学成分からなる。[抜粋] [全文]

産業による汚染と PFOA
 デュポン社や 3M 社のような化学会社は、法により PFOA、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)、叉はその他の PFCs の大気中、水中、あるいは土中への排出について監視したり報告することが要求されない。それはこれらの物質が完全に法の規制外にあり、従って全ての排出が合法だからである。
 産業界が EPA に提出した調査書があるが、それは企業側の部分的な推定汚染負荷量であり、最近数年の、しかも製造計画に基づくもので、 ”川下の” 産業ユーザーからのデータではない。これらの調査書から、ウェストバージニア、ノースカロライナ、ミネソタ、及びアラバマにあるデュポン社と 3M 社の工場、及びジョージア、ノースカロライナ、及びその他の場所にあるカーペット、衣料及び製紙工場から、毎年大量の PFOA が排出されて大気及び水を汚染していることがわかった。1999年だけでも、デュポン社は40トン以上の PFOA をウェストバージニアにあるワシントン・テフロン工場の施設から大気中及びオハイオ川に排出していた。同社は現在、2002年にはこれらの排出量を10トンに削減したと自慢している。

3M 社の以前のスコッチガードと PFOA
 3M 社が2001年以前に製造したスコッチガード製品は環境中で PFOA に分解する。[抜粋] [全文] 環境保護局は、その製品中に含まれる化学物質が有毒で環境中や人間の体内で残留することが分かったので、3M 社に対しスコッチガードの成分を変えさせた。公開された書類には新しいスコッチガードの成分についてほとんど記載されていない。3M 社は、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸) に替えてその姉妹化学物質であるパーフルオロブタンスルホン酸 PFBS(Perfluorobutane sulfonate)を、PFOS ベースの製品のために使用している。[全文] PFBS は分解しない。もし 3M 社の代替化学物質がテロマー(短鎖重合体) アルコールに基づくものならば、以前と同様に PFOA に分解する。

他の PFCs
 PFOA は、PFCs を含む家庭用品が分解してできる多くの最終成分のうちの1つであり、人間の血液を汚染するものとして知られている15の PFCs のうちの1つである。消費者用品に由来し、人間の血液中で見出される他のいくつかの残留性のある成分は PFOA の姉妹化学物質を含んでおり、それらは炭素の鎖の長さが、PFOA の8炭素に対し、それより長いか短いかで特徴付けられる。消費者用品中で見出される他の PFCs のグループは PFOS に似た物質に分解するが、これは過フッ素スルホン酸化合物で 3M の以前のスコッチガード成分の基を構成するものであった。


第2部 どこでも人の体内に
PFOA は、他の PFCs と同様に、広く人間の血液中に存在する汚染物質である

 デュポン社、3M 社、及び他の PFC 製造会社は、数十年前から PFOA (パーフルオロオクタン酸)及び他の過フッ素化合物類が一般のアメリカ人の血液を汚染していることを示す豊富な資料を持っていた。どのようにして、なぜ、彼等はこの警告を無視してきたかは、PFC 汚染の悲劇を説明するのに割かねばならない多くの項目のひとつである。

 2001年に、3M 社は政府に提出した調査報告書の中で、科学者は23州及びコロンビア特別区で調査した598人の子どもたちのうち96%の血液に PFOA が発見されたと報告している。[抜粋] [全文
 これは子どもの血液調査としては最大規模のものであるが、初めてのものではない。1981年、デュポン社はウェストバージニアのパーカーズブルグにある同社のテフロン製造工場の女性従業員から生まれたある赤ちゃんの臍帯血液中、及び他の赤ちゃんの血液中からから PFOA を検出した。デュポン社が検査した7人の妊娠した女性従業員のうち2人は先天性障害のある赤ちゃんを出産した。1人は ”未確認” の目及び涙腺に障害があり、他の1人は鼻孔と目に障害があった。[全文] 同年、デュポン社は50人の女性従業員を配置換えした[1]。

 1972年から1989年の間に、一般人の血中の PFCs 濃度に関する研究は少なくとも9件は発表された。PFOAは、1976年、PCBs が禁止された頃、初めて人間の血液中で暫定的に確認された。過去6年間に実施された調査で、産業界の科学者たちは、全米3,000人近くのサンプル血液の大部分から PFOA を検出していたが、その中には598人の子どもたち、ワシントン州在住の238人の老人、及び約2,000人の血液銀行への預託者が含まれる。

 科学者たちは現在、人間の血液の中から15種の PFCs を検出しており、それぞれについてテストを実施している。産業界の2001年における人間の血液中の6種の PFCs の調査で、4種類については子どもの血液中の濃度の方が大人より高いことを発見した。そして最も高濃度を示した子どもたちの濃度は、3M 社の従業員から測定されたものと同等のレベルであった[3]。[抜粋] [全文
 最近の実験室での研究により、これらの物質が子どもたちの健康と発達に影響を与えることの懸念が高まった[4]。PFOA は子どもも大人も同程度のレベルで検出されたが、子どもは PFOA と同様な有毒性を持った他の PFCs のレベルが大人より高いので、PFOA への暴露によるリスクは大人よりも大きくなる。

 PFOA は一旦、体内に取り込まれると数年間、体内を循環する。もし、新たな PFOA への暴露を何らかによって止めることができたとしても、体内の組織や筋肉に蓄積された PFOA の重量の半分を体外に排出するのに4.4年かかると推定される[2]。しかし、人間はしばしば、恐らく毎日、消費者用品や環境汚染を通じて暴露しているので、PFOA が絶え間なく体内に取り込まれるということの方が、少しづづ体内から排出されるということよりも、人間の健康に与える影響は大きい。

検査した20人の子どもたちの内、
19人の血液はPFOAで汚染されている

 たとえ PFOA の使用が禁止されても、環境中及び人間の血液中での蓄積は増大し続けるであろう。時がたてば、消費者日用品中のフッ素化合物はいずれ最終的には PFOA に分解する。その変換のスピードは、現時点では不明であるが、恐らく数十年あるいは数世紀かかるかもしれない。例え消費者用品から PFOA を禁止しても、その後に、人間はかつてない量の PFOA に、環境汚染による経路を通じて(例えば、水道水、食物、空気)、暴露することになる。

15種の PFCs が人間の血液から検出されている
 1972年から2002年までに実施された20近い調査研究により、科学者たちは実験室での分析で15種の PFCs を検出している。それらに含まれるのは:
  • PFOS 類(パーフルオロオクタンスルホン酸 類)の8化学物質
     ほとんどはスコッチガードの成分である。科学者らはPFOS自体と、活性スコッチガード成分から最終的な分解物質(PFOS)にいたるまで中間品としてM570、M566、PFOSAA 及び PFOSA を含む5化学物質を検出していた。科学者らは構造的にPFOSに関連している化学物質 THPFOS 及び PFOS の従兄弟であり、 8-の炭素鎖を持つPFOSとは異なり、6-及び10-の炭素鎖をそれぞれ持つPFHS と THPFDS を検出した。[24] [抜粋] [全文

  • PFOA 類((パーフルオロオクタン酸 類)の7化学物質
     ほとんどはテフロン製品、及びステインマスターと食品包装に用いられるゾニール化学物質のようなテロマー(短鎖重合体)アルコールとアルキレートポリマー製品である。科学者らはPFOS自体と、炭素鎖の長さが 6から12 (C6, C7, C9, C10, C11, C12 として参照される化学物質)で特徴付けられるPFOAの姉妹化学物質を見出した。[抜粋] [全文
1970年代における血中汚染の証拠
 3M社の化学物質による人間の汚染を確認した初期の仕事は3M社自身ではなく、人間の体内のフッ素化合物を研究していた歯科医師たちであった。ロチェスター大学医科歯科学部のドナルド・タブス博士は、彼自身の血液サンプルの精密検査の結果、驚くべき発見を報告した。彼の血中のフッ化物のあるものは有機であり、歯科衛生の目的で (議論はあるが) 公共水道水中に加えられるフッ素化合物のタイプとは無関係であった。

 1976年、タブス博士と彼の協力者たちは、暫定的に人間の血液サンプルの中に3M社の有機過フッ素化合物のひとつ−PFOA又はパーフルオロオクタン酸のような有機フッ化物のひとつを特定した [5]。著者らは、複合パーフルオロカーボン類が人間の血液中に存在し、いくつかは分岐又はスルホン化(3M社の他のパーフルオロケミカルズのグループ)したものであろうと推測した。著者らは先見の明をもって、血液中のこれらの化学物質の源を推測した。

”これらの発見は、人間の組織が商業製品に由来する有機フッ素化合物のわずかな痕跡によって広く汚染されているということを示唆している・・・。人間の血漿中に有機フッ素の形で見出されるものと同じ構造を持つ一連の化合物は、界面活性剤としての特性を持つために広く商業的に用いられている。例えば、それらは繊維製品や皮革の防水及び防油に用いられる。他の用途としては油紙製品や床ワックスの調剤などがある・・・。今回のテストで106サンプル中104に、そして以前のテストでは35サンプル全てに、測定可能な量を検出しているので、人間の血漿中に有機フッ素は多分広く存在している。Medline、Toxline そして Chemcon を使用したコンピュータ支援文献検索によっても、これらの化学物質の代謝と毒理に関する情報は得られなかった。”

 アメリカ、アルゼンチン、中国、日本における一般の人々の血液中の有機フッ素の濃度を定量化する合計9つの研究が1972年から1989年の間に完了した[6 (p.13)]。1976年、3M社はテストを開始し作業員の血液中にPFOAを見出したが[6 (p.13)]、タブス博士の最初の発見の後、31年間、産業側は一般の人々がPFOAに汚染されている程度をほとんど確実に確認していたであろうこれらの研究を恐らく意図的に放置していたことは間違いない。

 人間の血液中でPFCsを発見したという多くの事実をピアレビュー論文で入手可能であったにもかかわらず、1997年に3M社がスポンサーとなって実施したテストで、PFOSが工場作業者だけでなく、テストのコントロールとして使用するためにアメリカ血液銀行からのクリーンであると信じられていたサンプルからも見出された時に、3M社の医学担当重役は”驚いた”と発言した[7] 。3M社は確認試験を実施している間の9ヶ月間、その事実を発表しなかった。

 3M社は、彼らの化学物質が人々と環境を汚染している程度を確認するために環境研究所で一連の調査を開始した。1998年3月及び4月、3M社環境研究所は一般の人々の血中にPFCsが存在することを確認する10の新たな調査を最終的にまとめた。

 パーフルオロケミカルズ(PFCs)は、全米から集められた血液銀行の18サンプル及び、遠く離れた中国のLinxian及び山東省で1984年及び1994年に採取されたサンプルに見出された。サンプルの中でPFCsが見いだされなかったグループはただ一つ、1948年から1951年までの韓国の戦闘地域に派遣されていた米軍兵士から採取され保管されていた血液サンプルであったが、それはPFOS化学物質が商業生産される約10年前のことであった。

血液中からPFCsが検出されたグループ検出PFC検出されず
  1948-1951 韓国駐留米軍兵士
10保管サンプル
1957 スウェーデン、10個人サンプルPFOS 
1969-1971 ミシガン州
乳がん調査から5個人サンプル
PFOS 
1971 スウェーデン、10個人サンプルPFOS 
1976 アメリカ
心臓疾患調査から6保管サンプル
PFOS 
1980 アメリカ
心臓疾患調査から3保管サンプル
PFOS 
1984 中国、Linxian省、6個人サンプルPFOS 
1985 アメリカ
心臓疾患調査から3個人サンプル
PFOS 
1994 中国、山東省、6個人サンプルPFOS 
1995 アメリカ
23州+コロンビア特別区の子ども
PFOS, PFOA, PFHS, PFOSA,
PFOSAA, M570, M556
 
1999 アメリカ
ワシントン州シアトルの老人
PFOS, PFOA, PFHS, PFOSA,
PFOSAA, M570, M556
 
2000-2002 アメリカ
売血及び血液銀行からの血液
PFOS, PFOA, PFOSA,
PFOSAA, M570, M556,
C6, C7, C9, C10, C11, C12,
THPFOS, THPFDS
 
Source: AR226-0178[8], AR226-0202[9], and AR226-0036[10]

子どもの血中のPFCs
 3M社のスコッチガード化学物質PFOSで人間と野生生物が広範に汚染されていることをEPAに報告した3M社の最初の”重大なリスクの届出”[11]から3年後の2001年5月15日、3M社の医学担当重役ラリー・ゾベルはもっと重大なニュース、すなわち、パーフルオロケミカルズのあるものは大人よりも子どもに高い汚染が見られ、ある子どもたちの汚染レベルは3M社の工場作業員と同じ程度の高さであると伝えた[3]。

 3M社は、それまでの全ての一般の人々の血液テストは血液供給倉庫からの保管サンプルに基づいていた。新たな一連のテストでは、3M社は、23州とコロンビア特別区の2歳から12歳までの子ども598人の個人サンプル、及び、アメリカ全土の6つの血液銀行から20〜69歳の大人600人の個人サンプルを分析した。3M社の2001年5月15日付けのEPAへの報告書は、血液サンプル中から見出された6種のPFCsのうち、4種は大人よりも子どもの方が高い濃度であることを示していた。[抜粋] [全文] そして、最も高いレベルの子どもたちは3Mの作業者から測定された範囲に入るものであった[3]。最近の実験研究[4, 12]は、これらの化学物質が子どもたちの健康と発達に及ぼすであろう影響についての懸念を高めるものであった。3M社の2001年5月15日付けのEPAへの報告書は下記のことを示していた。

  • テストを受けた598人の子どもと883人の大人の全ての血中から有機過フッ素化合物が検出された
     多くの個々のパーフルオロケミカルズについて、ある人々は定量化できるレベル以下のレベルであった。しかし、サンプルを採取したどの人々も測定可能な有機フッ素を体内持っていた。このフッ素のタイプは公共の水道水に加えられるフッ素とは無関係であり、有機過フッ素化合物(PFCs)の存在であると考えられる[13, 14]。

  • 最も高い数値を示した子どもたちの濃度は3M工場の作業員の濃度に匹敵した
     PFOS はテストした子どもたちのグループで最大濃度515ppbが検出された。3M社の日本の住友工場における1999年の調査で、工場作業者の最大測定値は628ppbであった[15]。注目すべきことに、アメリカ環境保護局(EPA)は、工場作業者のPFOSへの暴露は、動物実験で有害影響が報告されておりEPAが”暴露マージン”として潜在的に許容できないとするレベルに近いことを見出した[16]。3M社の新たな血液調査は、ある子どもたちは工場労働者の暴露レベルの範囲内にあることを示した。PFOAについても同様であった。アラバマ州デカトールの3M社工場における2001年の作業者の PFOA の血液レベルは40〜12,700 ppb であり、一方、PFOAは子どもたちから56ppbが検出された。[17] [抜粋 | 全文].

  • ある子どもたちの血中の過フッ素化合物の濃度は当初のテストが示したものよりはるかに高い
     1999年の12人の子どもたちに対するパイロット調査で、血清中の PFOS の最大濃度は115ppbであった。新たな調査では最大515ppbであった。1999年の調査では PFHS は最大100ppbであった。3M社の2001年調査では、 PFHS はこの値の7倍以上であった(最大 712 ppb)。最大暴露レベルの子どもたちは平均の子どもの暴露レベルの48倍であった。

  • 一般の大人より子どもの方が濃度が高い
     3M社の2002年調査で血液サンプルから検出された6種の PFCs の中で、4種は大人よりも子どもの方が高いレベルで見出された(PFHS、PFOSAA、M570、M556)。[抜粋 | 全文] 特に PFHS のレベルは大人より子どもの方が高かった。短期間の動物実験で、PFHS が、PFOSやPFOA、又はPFOAに分解する化学物質と全く同様に、甲状腺に細胞ダメージを与え、細胞同士のコミュニケーションをかく乱することがあることがわかった。

  • 過フッ素化合物の1種、M556については、大人よりもはるかに多く子どもたちから検出される

     3M社はこの化学物質をテストした598人の全ての子どもたちから見出したが、テストした大人たちで検出されたのはその5%以下であった。M556 は、繊維とカーペットの保護に用いられるスコッチガード化学物質の中間分解成分であり、体内で PFOS に変換される。このことは、子どもたちは大人とは異なる振る舞いをするので、大人に比べてスコッチガードに高いレベルで暴露しているということを意味するのか、あるいは、子どもたちは大人に比べてこれらの物質の代謝が遅く、その結果、子どもたちは過フッ素化合物の代謝物により長い期間暴露するということかもしれない[22]。
PFCsは従来考えられていたよりも長期間、人間の体内に残留する疑いがある
 2001年の子どもの血液調査は、3M社がこれらの化学物質が人間の体内にどのくらい長く留まるかの主張を修正している時期に当る。3M社の人間の体内のPFOSの半減期(化学物質の半分の量を体外に排出する期間)の推定は約1年から9年と幅広く振れた。3M社の元工場作業員9人の血清中のPFOSのレベルに基づく2002年の調査で、3M社の科学者は人間の体内のこの化学物質の半減期は8.7年であると推定している[2]。[抜粋] [全文

 元作業員の同じグループから3M社はごく最近、PFOAの人間体内の半減期は4.4年であると推定した[2]。この人間体内での半減期の推定値は、3M社が従業員を徹底的に追跡したことにより増大している[2, 23]。[抜粋] [全文

 パーフルオロケミカルズの特性のひとつは体内の半減期が他の化学物質に比べて健康への懸念との関連性が少ないということである。科学者たちはPFOAと他のPFCsが環境中で分解することができるメカニズムを見つけていない。このことは、地球上のPFOAのどの分子もそこに留まるということを意味する。

第2部 引用情報・文献


第3部 PFCs は永久に残留する
PFCs は永久に残留する


3M:「PFOA は生物分解に対し完全に耐性がある・・・」
EPA:「PFOA は環境中に残留する。それは、環境下では加水分解も光分解も生物分解もしない。
[抜粋] [全文]

 現在、政府が行っている化学物質検証のスピードが問題である。化学産業界によって毎年、新たな PFOA (パーフルオロオクタン酸)が作り出されて尽きることがない。PFOA は決して分解しない。

 たとえ、PFOA が今日、禁止されたとしても、世界中の PFOA の量はその後も増え続け、人間の血液中に蓄積し続けるであろう。PFOA が禁止された後、例え50年という長い年月が経過しても、消費者用品中の他の PFC が環境中及び人間の体内でその最終の姿である PFOAに 分解し続ける。

グラフの仮定及び参照文献

 アメリカ及び諸外国では1973年から1988年の間に、PCB類、DDT及び関連化学物質の使用が禁止されたが、それはこれらの物質が残留性と有毒性を持ち、食物連鎖を通して人間の体内に蓄積するとともに、環境破壊をもたらすことが判明したからである。

 これらの悪名高い化合物は社会的に撤廃され、より安全な物質に代替されたが、PFOAのような過フッ素化合物について実施された調査研究によれば、これらもまた、残留性と生物蓄積性がある。これらの調査研究は完了しているのに、PFC製品は急速にアメリカの家庭に浸透している−3M社のスコッチガードとスコッチバン製品、デュポン社のステインマスターとゾニール製品、そしてテフロンなどである。

 産業側の科学者たちは1976年の時点でPFOAのようなPFCs(パーフルオロケミカルズ)は環境中で分解しにくいということを知っていた。生物分解性テストの技術報告要約の中で、3M社の科学者は彼らの化学物質が環境中で残留性があることを次のように述べている。

 ”有機化合物の非常に多くのものは微生物によって完全に分解される。事実、非常に多くのものがその通りなので、十分な時間と適切な条件の下では微生物はどのような有機物質でも分解できるとある人々には信じられている。この微生物絶対視の学説はいまだに共通の誤解として通っている・・・。

 過フッ素化合物は生物分解が非常に行われにくい・・・。ひとつのフッ素を持つフッ素化合物は生物分解の結果としてフッ素イオンを放出することが示されているが、過フッ素化合物が自然分解を示すことは、ほとんど、又は全くない。この理由のために、この研究調査において化合物のパーフルオロ要素を変更することは期待されなかった[1]。


・・・分解しない・・・
−3M社 (1976)−

 1972年の国立科学アカデミーの報告書「生物圏での合成有機分子の分解−NAS 1972 (FC-95 and FC-143 )」の結果を実証するために、1978年に3M社によって実施された研究の中で、PFOAは ”全く生物分解しない” ということが確認された。新たな3M社の研究の主要な発見−”・・・この研究の結果は、これらの化学物質は微生物異化作用によって変化することなく長期間、環境中に残留するらしいことを示唆している[1] [抜粋 全文]。”引き続く研究で水中の PFOA は、水光分解及び加水分解と呼ばれるプロセス、すなわち太陽光エネルギーを通じても水自身によっても、分解しないということが示された[2, 3]。

 まとめれば、これらの研究は、PFOA はどのような既知の環境的分解メカニズム、すなわち加水分解、光分解、あるいは生物分解によっても分解しないということを示している。それはまた、一度人間又は動物の体内に入り込むと、消化器で分解して変化することなく、数年間体内に残留する。


”全く生物分解しない”
−NAS (1972)−

 環境中で分解する能力を少しは持っている他の残留性有機汚染物質とは異なり、PFOA は、たとえそれが禁止されても永久に残留し、環境、食物連鎖、そして人間の汚染を通じて、再び拡散し続けるであろう。PCB類や DDT は多くの国々での禁止により数十年の間に地球上の総量は減少しているが、同じことは PFOA には起こらない。

残留性有機汚染物質
 3M社は自身のウェブサイトで過フッ素化合物についてしつこく宣伝している。:  ”世界中のどこかで毎日、スコッチガードの保護力に感謝している誰かがいるいうことはよく想像できることである。それは50年前に3M社の科学者らによって創りだされた、かつてない、目に見えないすばらしい驚異である。”[4]

 3M社自身の研究が、彼らの”目に見えない驚異”の化学物質がDDTやPCB類、ジエルドリンよりも残留性があるということを示していた。1970年代の後半、3M社によって実施された生物分解研究はPFOSとPFOAは、中程度の微生物が存在し、バクテリアが化学物質を分解する上限を定義する標準テストに用いられる活性汚泥中で生物分解しないということを示した。

 DDTは活性汚泥中で7時間、土壌中で15年の半減期(初期の化学物質の重量の半分が分解するのに必要とする時間)を持つと報告されている[5]。アロクロール1242 と呼ばれる商用PCB混合物の66%までが活性汚泥にさらした後28日で分解する[6]。ジエルドリンは土壌中で7年の半減期を持つと報告されている[7]。対照的に、1976年と1978年に3M社によって実施された研究では、PFOA、PFOS、及びPFCの他の最終分解物質は、活性汚泥中でも分解せず、永遠の半減期であることを示している。

PFCsのあるものは分解するが、その分解連鎖はPFOA、PFOS、及び他の最終分解物質でとまる
 その後の研究調査でPFOSに関連するPFCsのあるものは生物分解することが示されたが、この生物分解された物質の分析により、これらの化学物質は最終的に非生物分解性のPFOSとPFOAに分解することが示された[9] (Figure 1: [抜粋 | 全文]

フルオロテロマー類はPFOAに分解するが、PFOAは決して分解しない
 ステインマスターとゾニール紙及び繊維保護に用いられるフルオロテロマー類に関し、デュポン社のコルゼニオウスキーは2001年4月12日付けの環境科学技術の中で次のように述べている。

 ”PFOSは我々の製品(フルオロテロマー類)とは異なった挙動をするように見える。”、”これらの物質に関する科学的情報と研究は非常に限定されているので、それらが分解するかどうか言うことはできない”[10]。

 しかし、2つの別の研究が、フルオロテロマー類は3M社の化合物とそれほど違わないことを示しており、実際、生物分解後のある場合には、それらは、ひとつは1981年のピアレビュー論文に発表された物質、もうひとつは最近3M社がスポンサーとなって発表された物質と同じものである。これらの研究の両方で、科学者たちはフルオロテロマー類は生物分解してPFOA及び炭素鎖の長さが異なるPFOA族の他の化学物質(パーフルオロカルボン酸)になることを見出した。

 例えば、3M社は、テロマーアルコール類のゾニールBAタイプ混合物が活性汚泥に16日間さらされた後、フルオロテロマー類の混合物は大部分が5から12の炭素原子を含むパーフルオロカルボン酸に分解することを見出した[11] [抜粋 | 全文]。
 鎖のもっと長いフルオロテロマー類(16炭素)の分解は遅すぎて測定できない。

 ペース・アナリティカル・サービス社の科学者たちは、各フルオロテロマー・アルコールは2つのパーフルオロカルボン酸(PFOAと関連する化学物質)、ひとつは初期のテロマーよりも炭素の数が一つ少ない酸、もう一つは初期のテロマーよりも炭素の数が二つ少ない酸にに生物分解するであろうと説明している(Figure 2)、 [11] 。10の炭素鎖」を持つフルオロテロマー・アルコールはPFOAに分解する。

Figure 2.


 上空(成層圏)でのOH ラジカルによる分解は他の重要な環境的分解の仕方である。国連環境計画(UNEP)の指針は大気中で2日又は5日又はそれ以上の半減期を持つ化合物は残留性であるとみなされるべきである[12]。これは、大気移動は分子をそのように高速に運ぶからである。

 DDT、PCB混合物アロクロール1242、及びジエルドリンは、OH ラジカルにより、それぞれ5日、4.6〜98日、及び42時間の半減期を持つ[13]。一方、POSF (PFOSの半揮発性先駆物質)は、もし分解するとすれば、3.7年以上の半減期を持つ分解が行われると提案されている(7つの実験のうち6つについては研究者たちはPOSFの分解を観察していない)[14]。これは、UNEPの指針をはるかに越えており、パーフルオロ化合物が1970年代に懸念を引き起こした塩素化合物よりも残留性があるという証拠となるものである。そしてPFOSとPFOAはこのメカニズムによって分解されるとは信じられていない。

 PFOAとPFOSはまた、他の環境的分解である加水分解をしにくいということを研究が示しており、多くのPFOS派生物質は遅い加水分解が行われると考えられているが(2つの研究によれば、N-EtFOSE-アルコールは6.3年又は27年以上の加水分解半減期持つ)、PFOS は加水分解された最終物質である。

 消費者製品の PFOS 及び PFOA への分解速度が遅いことが懸念される。EPA は、動物実験で示される有害性のレベルに相関した現状の人間の血液中の PFOS のレベルを懸念して、2000年5月、3M社にスコッチガード PFOS 化学物質をやめさせた。EPA の PFOA に関する規制取り組み姿勢もまた、現状の人間の体内蓄積のレベルに対する懸念に由来する。これらの物質がたとえ全世界で製造禁止されても、消費者製品中の化学物質 (ステインマスター・テロマー・アルコール、初期のスコッチガード成分、及びその他) が数十年間にわたり徐々に環境中でその最終分解物質である PFOS と PFOA に分解するので、人間の血液中での蓄積は上昇し続けるに違いない。

ある PFCs は食物連鎖中に蓄積し、人間の体内に蓄積する
 PFCs に関する初期の生体蓄積研究には、間違いがないわけではなかったが、それらは PFCs が潜在的に食物連鎖中に蓄積するであろうということを示していた。1979年、3M社の環境研究所はアラバマ州デカトールにある同社のフルオロケミカルズ工場の廃液に暴露した魚には、 PFOS とスコッチガードの原材料 N-Et PFOSE-アルコールが高濃度で蓄積していることを見出した。著者らはこれらの化合物は魚の体内に蓄積又は生体蓄積したものであると結論付けた。

 2003年、カナダ保健省とカナダ環境省に支援された研究で、マーティンと同僚たちは、ある PFCs は PCB 類と同じ程度に食物連鎖中に蓄積すると結論付けたが[15]、PCB 類は四分の一世紀前に禁止されているにもかかわらず、現在でも全米38州で淡水魚を食すると危険であるとされている[16]。

 PFOA は、魚や他の野生生物を含む食物連鎖、そして食料品店の棚にある食物を汚染することが知られているが[抜粋 | 全文]、マーティンの研究は他の PFCs はもっと食物供給を汚染する可能性があるとしている。PFOA 族中のより長い鎖を持つ化合物の生体蓄積係数(BCFs)として報告されている値は、PCB 類と同等であった。PFOA のようなこれらの化学物質は、繊維や紙の保護のための調剤の分解物質であるi(Table 1)。

Table 1
化学物質 環境中の源 生体蓄積係数 既知の食物汚染
PFOA
(テフロン、ステインマスター)
テフロン工場、テフロンからの排ガス、ステインマスター及び他のPFC製品の分解物質 4.0 ± 0.6 食料品店の農産物、肉、パン
PFDA
(PFOAの10炭素版)
ステインマスター及び他のPFC製品の分解物質 450 ± 62 テストできない
PFOS
(スコッチガード)
3M社の初期のスコッチガード調剤 1,100 ± 150 リスト製品
PCBs
(アロクロール1242)
かつて電機や産業製品に使用されたが現在は禁止 1,000 to 25,900 広く世界中で肉、その他の食物に
PFUnA
(PFOAの11炭素版)
ステインマスター及び他のPFC製品の分解物質 2,700 ± 400 テストできない
PFDoA
(PFOAの12炭素版)
ステインマスター及び他のPFC製品の分解物質 18,000 ± 2700 テストできない
PFTA
(PFOAの14炭素版)
ステインマスター及び他のPFC製品の分解物質 23,000 ± 5300 テストできない
Source: Environmental Working Group compilation of BCF data in the peer-reviewed literature.

第3部 引用情報・文献

グラフに関連する注/仮定

グラフに関連する参照


第4部 PFCs の健康に与える影響についての懸念
PFCs の健康に与える影響についての懸念

 実験室での新たな調査により、科学者らは低用量−ある子どもたちの血中濃度より低いレベル−でも PFOA は実験動物に対し有害であることを示した。政府は 3M 社より実験データを受領し、2001年5月に人間のリスクに関するより深い分析を開始した。現在、人間の健康に対する計算上のリスクは非常に高いので、政府はバランスを取るのに苦労し、評価を急がされている。

 産業界の最新の調査は、胎内で及び成長後の早い時期にPFOA に暴露させた実験動物の器官の重量変化、しばしば毒性の総体と器官機能に対するダメージ、を示している。[器官変化:オス メス] [死亡率と性的発達:抜粋 全文]
 人間のある子どもや大人の血中の PFOA 濃度は、この調査を行った実験動物の推定血中濃度より高かった。
 EPA の強い要請で、3M 社とデュポン社は EPA に前代未聞の大量データを手渡した。50,000ページに及ぶものである。

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 PFOA によって生ずる人間の腫瘍の4分の3は増加傾向にあり、それらは精巣、乳房、肝臓、前立腺などの腫瘍である。抜粋
 PFOA はまた、致命的な脳ダメージと関連する実験室レベルでの甲状腺機能不全を引き起こす。甲状腺機能不全はアメリカ人の4.6%に見られ、その多くは女性である[1]。ある人々の体内 PFOA のレベルは、実験動物に有害として分かっているレベルと同等である。

EPA 、人間に対する高リスクを確認
 EPA は、2002年に 3M 社の協力を得て新たな重要な調査情報を入手し、PFOA への暴露による人間のリスクに関するより深い分析を実施した。このラットの生殖系に関する調査で、科学者たちはラットを胎内で及び成長後の早い時期に PFOA に暴露させ、テストした中で最も低用量の暴露でラットの器官がダメージを受けることを見出した[2]。[生殖系への影響:オス メス]

 母親の血中濃度が約40ppbの最も低い用量でのテストで、子どものラットは生まれた時に小さく、胎内で暴露したF1世代のメス成ラットはある若年期に体重が減少した[2] [抜粋: F1 新生ラット, F1 成ラットの体重 |全文 注: 22MB ]。4つの用量テストのうち3つにおいて、F1世代のメス成ラットは下垂体腺の成長が減少した [2] [抜粋全文 注: 22MB ]。下垂体腺はしばしば体の”マスター腺”と呼ばれるが、それは、成長、母性、生殖、代謝などの多くの体の機能を調節するホルモンを分泌するからである。F1メス成ラットが子ども(F2世代呼ばれる)を生むと、F2世代の新生ラットの多くは死ぬか親に食べられていることが見出された [2] [抜粋 全文 注: 22MB ] 。このことは、母性本能が変更されており、それは恐らく下垂体腺が損傷を受けたためである。あるいは、F1の母親は、F2の子どもラットが健康ではないので、無視したか食べてしまったのかもしれない。

 ラットの生殖研究におけるもっと高い用量テストで、母親の血液中のPFOA、1ppm に対応して、60のオスラット中7匹、及び60のメスラット中6匹が死んだ [抜粋 全文 注: 22MB ]。親ラットには死亡率上昇は見られなかったが [抜粋]、このことはPFOAは成ラットに比べて幼ラットに対してより毒性があるということを示している。ひとつのグループで、オスの子孫がやせ衰え、触ってもおとなしく、PFOA暴露のないラットに比べて活発性が少なかった。科学者がオスとメスの子孫を解剖してみると、脳、肝臓、脾臓、胸腺、副腎腺、腎臓、前立腺、睾丸と副睾丸などの8つの器官が著しく変化していることを見つけた。これらオス及びメスはともに性的成熟が遅れており、メスは発情周期が変わっていた。

 3M 社の PFOA 製造に関わった従業員の典型的な血中 PFOA 濃度は 1ppm以上であり、1人の従業員の濃度は 114ppmであった。
 デュポン社は簡単には自社従業員の PFOA 血中濃度のデータを開示しなかったが、最近の裁判で開示された。 ”個人秘” と記されたその書類は、1981年、ワシントン工場の施設でテストされた8人の女性のうち2人が 1ppm以上の PFOA 血中レベルであったことを示していた。[全文]
 最近開示されたデュポン社内部の危険性評価資料によれば、PFOA 濃度3ppbの水を6年間飲み続けた人は血中濃度が 1ppmになると予測されることが示されていた。[抜粋とEWGの分析] デュポンの製造施設の近くの飲料水供給系で、このレベルの濃度で PFOA が検出された。

 EPA は PFOA を動物に対する発がん性物質として分類しており、 PFOAはラットの精巣、すい臓、乳房、及び肝臓に腫瘍を引き起こしている[3]。PFOA に暴露した従業員は、すい臓や精巣、前立腺などを含む男性生殖系のがんにより死亡するリスク、叉は治療を行わねばならないリスクが高くなる。[EWG 従業員 研究資料
 精巣がん、乳がん、及び肝臓がんは過去10年から25年の間にアメリカで増加している。[抜粋] 肝臓がんだけをとってみても、1992年から1999年の間に年平均4.7%増加していると推定される[4]。

 5つの研究で、PFOA が男性の生殖ホルモンに影響を与え、女性ホルモン増大と、テストステロン(訳注:精巣から分泌される男性ホルモン)の異常なコントロールを引き起こしているとしている[5.9]。女性ホルモンの増大は暴露した従業員に見られた[10,11]。[抜粋] [全文
 ラットについては、PFOA は前立腺、睾丸、副睾丸、及び精嚢の発達に影響を与える。

 11の研究で、PFOA 叉は分解してPFOA になる化学物質が甲状腺にダメージを与えるとしている。2002年、PFOA に 1ヶ月間暴露したサルの甲状腺の機能不全を引き起こした。[抜粋] 甲状腺機能不全はアメリカ人の4.6%に見られ[1]、ほとんどが女性である。甲状腺機能不全は脳の発達を損ない、聴覚障害及び成長と知的発達を阻害する。

 免疫系をつかさどる4つの器官叉は免疫系の組織及び少なくとも9種類の細胞が PFOA の攻撃目標となる[34-37]。従って、免疫系にダメージを与えない PFOA の用量など科学者は見つけることはできない。

 今までに、PFOA がどのようにしてがんや他の有毒な影響を引き起こすかを説明できる5つの異なる経路が判明した。それらはミトコンドリアル毒性、細胞伝達の減少を引き起こす細胞膜破壊、ペルオキシソーム (訳注:過酸化水素を生成・分解する酵素を含む細胞質内の小顆粒)増殖、女性ホルモンの増大と男性ホルモンの減少、及び甲状腺ホルモンの減少である。

がん
 連邦政府はPFOAは発がん性があると考えている−ラットの肝臓がん、すい臓がん、精巣がん、そして乳腺腫瘍[3] [p. 6]。これら4つのがんのうち3つは、近年、アメリカの一般国民の間で増加している。乳がんは女性8人に1人の割合である。精巣がんの罹患率は最近数十年間で世界のある地域で増加しており、現在では年齢15歳から35歳までの男性が最も罹るがんである[12]。

 3M社とデュポン社がスポンサーとなって実施された2年間のがん研究で、コントロール・グループの80匹のラットは1匹も精巣又はすい臓に腫瘍ができなかったが、対照的に、これらの腫瘍はPFOAに暴露された76匹のラットのうち8匹(11%)に見出された[3, 9 pg. 75]。3M社によって実施された2年間のがん研究で、PFOAは暴露した実験動物の乳腫瘍の罹患率を2倍にした[13]。

 3M社はこれらのがんの問題を同社の作業員の中にも見出していた。作業員の健康についての様々な調査の中で、3M社は前立腺がん、精巣がん、及びすい臓がんで死んだり、治療を求める人の割合が増加していると報告していた[14-16] [EWG Worker Study Document]。これらの作業者調査は典型的に調査対象人数が少ないので、その増加はしばしば統計的には弱いとみなされる。それにもかかわらず、作業者と動物実験におけるがん発生の一貫性は納得のいくものである。人間のがんとPFOA暴露の間の因果関係は確立されていないが、人間の血液中のPFOA汚染がいたるところで見られることを考慮すると、これらのがんの増加は懸念に値する。

乳がん
 今日、生まれる女の子のうち、8人に1人は乳がんになる可能性があり、32人に1人が乳がんで死亡すると予測される[4]。女性の乳がんは、1992年から1999年の間に年平均1.1%増加している[4]。もし、これらの傾向が続けば、今日の若い女性の孫娘は4人に1人が乳がんになる可能性がある[17, 18]

精巣がん
 今のままのペースなら、精巣がんの罹患率は約1.5世代(39年)で倍増する。アメリカでは、精巣がんの罹患率は1973年から1996年の間に41.5%増加しており、年平均1.8%の増加である[17, 18]。一方、年配(65歳以上)の男性では精巣がんは減少し続けているが、精巣がんは若者の間では最もよくあるがんであり、最も罹患率が高い年代は30歳から34歳である。.

前立腺がん
 前立腺がんの罹患率は1973年から1992年の間に年間4.4%増加しており、一世代でそのリスクは倍増した。1992年以来、その罹患率は減少しているが、1973年の罹患率の2.5倍である。この増大の原因の一部はがん発見が改善されたことにもよるが、増加する罹患率とともに死亡率も増加しており、このことは発見率の向上では説明ができない。前立腺がんは現在、アメリカの男性の中で最も多いがんであり、第2位の死亡原因である [17, 18]。

作業者に関する調査で、あるがんの罹患率と死亡率の増加が示された
 PFOAのようなフッ素化合物に高いレベルで暴露した3M社の作業者らは男性生殖系のがんのリスクが高いように見える[14, 15] [EWG Worker Study Document]。コテージ・グルーブ、ミネソタ工場の3M社作業者の死亡率調査で、化学物質部門で10年以上雇用されていた作業者は、PFOA製造で働いていない作業者と比べて、前立腺がんで死ぬ人が3.3倍であった[14] [抜粋] 。他の2つの調査、ひとつはコテージ・グルーブ、ミネソタ工場での調査、もうひとつはアラバマ州デカトールの工場での調査、で3M社は、暴露した作業者は前立腺がんでの死亡のリスク、又は前立腺がんに関連した理由で医師の治療を受ける割合が高いということを発見した[15, 16]。一般に、前立腺がんは年配者では明らかに最も多く、5〜6人に1人がこのがんにかかるが、死亡するのは僅かに30人に1人であり、前立腺がんの男性患者の50%が79歳以降に死亡する[4]。3M社は作業者のがん罹患率の調査を行わなかったが、死亡原因を調査した。3M社の化学部門で働いていた男性の平均死亡年齢は54.2歳であった[14]。

 これらの2つの調査はギリルらが実施した統計的に増大しているリスクを報告しなかったが、その結果は作業者調査及び、PFOAの標的器官が前立腺であることを示す動物実験を通じて、一貫性がある[2]。2つの3M社の工場作業者はまた、すい臓がん又はすい臓疾患及び精巣がん及び前立腺がんを含む男性生殖系がんによる死亡又はそのための治療を求めることが多いように見える[15, 16]。すい臓がん又は精巣がんは前立腺がんとは異なり、男性の中で多いがんではなく、これらの疾患による死亡の可能性は高くない。死亡のリスクはすい臓がんは約87人に1人、精巣がんは約5,000人に1人である[4]。再び、3M社は死亡原因は調査したが罹患率は調査しなかった。これらのがんによる死亡は一般には多くはないので、これらの疾病のリスクが増大していることが確認されると問題を生じるからである。もしPFOAがこれらの影響を作業者たちに及ぼしているなら、統計的に有意な影響を見出すために、3M社が実施したよりもっと大規模な調査が必要であったであろう。それにもかかわらず、疾病のパターンは動物実験と著しく一貫性がある。

 3M社とデュポン社が実施した作業者調査の全ては、疑う余地のない調査結果の解釈を妨げるという著しい欠陥を持つものである。作業者調査における欠陥は、暴露による健康影響、特に様々な作業者調査の中の健康障害に関する多くの発見を認識することについて、科学者の能力を覆い隠す傾向がある。例えば、ある調査で3M社は作業者の間に疾病に相違があるかどうかを見るために作業者を職務内容に基づいて、暴露又は非暴露のカテゴリーに分類した[14-16, 19]。然るに1996年、3M社が一部スポンサーとなったある調査の著者らは、全ての作業者へのPFOA汚染は広く行き渡っているので、職務履歴は暴露の尺度としては使用することができなかったと結論付けていた。:

 ”我々は、職務履歴に基づき非暴露グループとして選定された作業者のグループが血清中の合計フッ素レベルが一般の人々と同等であると期待した。しかし、このグループの作業者は非暴露者ではなく、一般の人々のレベルとして報告されている値より20〜50倍高いレベルであった。我々は職務履歴は正確な暴露の尺度ではないと結論付けた。”

甲状腺機能不全
 1979年から2002年の間に実施された11の調査で、科学者らはサルと他の動物のPFOA及びPFOAに分解する化学物質への暴露による甲状腺へのダメージを報告している[13, 20-26]。そのダメージは甲状腺への影響と、成長と代謝をつかさどり適切な脳の成長に重要な甲状腺ホルモンのレベル低下で特徴付けられる甲状腺機能不全を含む。

 甲状腺がんと甲状腺機能不全は現在の人間の健康の懸念である。アメリカでは約1,000万人と見積もられる人々が甲状腺機能不全である[27]。特に妊婦の場合には甲状腺ホルモンが胎児の適切な脳の発達にきわめて重要なので、特別の懸念がある。母親の妊娠中のわずかな甲状腺ホルモンの減少が子どもの知能低下に関連している。

 1998年のコテージ・グルーブ、ミネソタ工場の調査で、3M社は作業員の中に甲状腺ホルモン機能に変異をきたしている証拠を見出した。医療担当者が、PFOAの血中濃度が高い作業者の中に甲状腺刺激ホルモン(TSH)が著しく増大していることを測定した[10, 11] [TSH Findings: 1998 Study | DuPont Summary of TSH | Dupont Hazard Assessment] 。高TSHレベルは甲状腺ホルモンのレベル低下に起因する甲状腺の機能低下のひとつの兆候である。脳の下垂体腺は、甲状腺ホルモンの製造を刺激するための信号として超過TSHをsecretesする。

 産業側科学者らは2002年のサルの実験でPFOAに暴露したサルのどのグループも甲状腺ホルモンのレベルの低下傾向があることを発見し[20]  [抜粋]、またPFOAに分解する化学物質に暴露したラットの甲状腺中に細胞ダメージの増大を発見した[20-26]。細胞の変異は、長期の甲状腺機能不全によって引き起こされるものと同じタイプであり、また、げっ歯類の甲状腺腫瘍の発症とも関連する[29, 30]。デュポン社はPFOAに分解する化学物質が腫瘍を引き起こすかどうかのテストを一切行っていない。

 3つの新たな調査が、体内でPFOAに分解する化合物もまた甲状腺を標的とすることを示している。詳細な調査内容はビジネス機密情報(CBI)と主張され、公開記録から作成されているが、デュポン社が作成したEPAへのプレゼンテーションは甲状腺は、PFOAに分解することが知られている物質を含む、テストされた全てのフッ素化テロマーの標的であることを示していた[25] [抜粋 | 全文]。デュポン社はこれらの影響を”有害性のない生理学的反応”と解釈したが、彼らの”ビジネス機密情報(CBI)”の主張のために、”特権により、特定の影響のタイプに関する情報は得られない”[23]。

 成人の甲状腺の異常な不活発性は、疲労、うつ、不安、体重減少、脱毛、性欲減退などを導く。しかし、もっと深刻なことは、発達中の胎児や子どもに対する甲状腺ホルモンかく乱の影響である。ホルモンレベルの顕著な変化の影響を受ける胎児、幼児、そして子どもは、精神遅滞、聴覚障害、言語障害、睾丸発達異常、運動能力障害などを被るかもしれない。子どもが成長すると甲状腺機能低下は学習意欲低下と注意力欠陥と関連する[31, 32]。

 産業側は甲状腺に関する発見を隠し、影響を最小にしようと試みた。3M社とデュポン社はPFCsの甲状腺への影響を軽視し続けた。ほとんど産業側科学者が共著者となっているある調査で、研究者らは、サルには”臨床化学、ホルモン、又は尿検査、又は血液学的影響におけるPFOAに関連した変化は見られない”と述べている。それなのに、記事の後半で、著者らはPFOA暴露が甲状腺ホルモンのレベルを著しく低下させることを示すテーブルを掲載し、著者らは甲状腺ホルモンはPFOA暴露をやめた後は正常になったと述べている [20] [抜粋]。

 同様に、1998年、3M社の科学者らは、PFOAの血中レベルが高い作業者は甲状腺機能不全の尺度となるTSHが統計的に著しく高いことを示すテーブルを掲載した調査報告書を発表した[11] [抜粋]。しかし彼らは調査報告書の要約、結果、議論の章でこれらの発見について触れていない。

 デュポン社は最近、彼らのフルオロテロマー化合物が甲状腺に影響を及ぼすが、これらの影響は”有害性がない生理学的反応”であると解釈し、このデータを”ビジネス機密情報”として引用しつつ、甲状腺への影響の詳細は提供しないということを示したデータをEPAに提出した[23]。

 3M社は最近、PFOAの胎児への影響の包括的な評価を行った。不可解なことに、他の調査ではPFCsは甲状腺ダメージに明らかな関連があるにもかかわらず、そしてPFOAはサルに甲状腺機能不全を引き起こすことがわかっているにもかかわらず、調査された多くの健康評価項目の中で彼らは甲状腺の評価について一切無視した[2]。

免疫系障害
 実験室での調査ではPFOAは免疫系で4つの器官又は組織及び免疫機能をつかさどる少なくとも9つのタイプの細胞に毒性を及ぼす[2, 33, 37]。PFOAは免疫系にダメージを与えることは長年知られていたが、最近の調査で科学者たちは、生涯の早い時期のPFOAへの暴露 は成人してからの暴露よりも有害であるということを発見した。この調査では、科学者らは免疫系にダメージを与えない用量を見つけることはできなかった。免疫系に重要な脾臓と胸腺は子宮中で及び成人期間を通じて暴露した動物においては器官が萎縮した。テストを行った最も低い用量でも脾臓の萎縮が起きた。

 産業側の最近の動物実験では、テストを行ったどの用量においてもB細胞と呼ばれる特別の細胞が成熟して病気と闘うために重要な抗体を製造する腺である脾臓を損傷した。胸腺は特にPFC族の化学物質に敏感であるように見える。人間では胸骨の後、心臓の上に位置するこの腺は、バクテリア、ウィルス、及びがん細胞を破壊するT細胞を製造して、免疫において重要な働きをする。少なくともひとつのPFC化学物質(PFDA)は、科学者がもはや見つけることができないまでにこの腺を損傷する。”胸腺組織は処置されたラットのほとんどで見つけられなかった。”[38] [抜粋]  PFOAは胸腺を完全に見えなくするということはないが、子宮中及び生まれてからの早い時期を通じて、成長後だけに暴露しても胸腺効果が現れない用量で暴露された動物における腺の萎縮と関連がある [2]。

 1995年の生命初期の免疫インパクトに関するシンポジウムで科学者らの多様な専門家集団の合意声明は、生命初期の免疫系ダメージが著しいことを示唆している。”免疫対応の一生の能力は、哺乳動物の胎児期及び出生後の初期の間の発達段階で決定される。” [39] 多くの免疫毒性化学物質は生命の初期に暴露が起こると深刻な又は一生のダメージを及ぼす[40]。胎児及び出生後の早い時期に、胸腺は免疫系の成長と発達を促進する役目を果たす。PFOAによる胸腺ダメージは免疫機能の一生の低下をもたらし、その結果、感染症やがんを含む疾病のリスクが高くなる。

 スウェーデンのストックホルム大学とカロリンスク研究所の実験室で科学者によって実施されたいくつかの調査で、PFOAの免疫細胞への影響を詳細に観察した。彼らは、PFOAが調査した胸腺と脾臓の中の合計7つの部分母集団のどの免疫セルについてもその数を減少させたことを発見した[35, 37]。ヤンらもまた、PFOAが免疫細胞機能を損なう、すなわち細胞が異質細胞に対して適切に免疫反応することができない−免疫抑制といわれる現象を見つけた。

 PFOAの免疫系細胞への影響のある部分は、PFOAのいくつかの他の毒性影響を媒介し、人間よりもげっ歯類においてより活性なメカニズムがあると考えられる受容体の活性(パーオキソシーム増殖活性受容体−アルファー又はPPARa)に起因する。科学者がPFOAをマウスに与えると、このメカニズムが遺伝的に取り除かれ、胸腺細胞への影響の多くが実験調査の人間への適切性を裏づけ、子宮内及び出生後の初期にPFOAに暴露することの懸念が強調される。

 作業者では、PFOAの血中レベルの増大が白血球の増大に関係し[10]、作業者は免疫機能低下により、感染症又は疾病のストレスを受ける。

生殖障害、先天性障害
 PFOAは動物の大人よりも胎児や幼児に対してより毒性がある。例えば、PFOAはラットの両親の生存には影響を与えない用量でも若いラットが死ぬことがある。

 PFOAについてのEPAの懸念の多くは、3M社が金を出した2002年ラット生殖調査から出ている[2]。この調査では、大人のラットは交尾前、交尾及び妊娠中、及び生後3週間後までの授乳期間中にPFOAを投与された。子どもはさらにPFOAを投与され、子を産ませた。この方法によりEPAは、PFOAが繁殖力を減少させるかどうか、また生命の初期のPFOA暴露が発達障害を引き起こすかどうかを見ることができる。

 ラット生殖調査によりPFOAは若いラットに対しより毒性があることが示された[2]。大人のラットの死亡率はどのような用量レベルでも影響を受けなかったが、子宮中でPFOAに暴露したラットは最も高い用量グループで離乳期にしばしば死亡した。また、子宮中で最も低い用量のPFOAに暴露した大人のオスのラットは、生涯暴露を受けなかったラットに比べ、多数の器官がPFOAによって影響を受けた。

 大人の時期だけ暴露したオスのラットについては、2つの器官(肝臓と腎臓)の重量が最も低い用量で増加した。子宮中でPFOAに暴露した大人のオスでは4つの器官の重量が変化した。このグループのラットは体重は減少する傾向があり、肝臓、腎臓、及び精液の重量が著しく増加し、脾臓の重量が減小した。器官の重量変化は毒性の総合的尺度として用いられ、しばしば器官の機能低下を示す。

 3M社がスポンサーになった1992年の調査もまたPFOAは、大人になってからよりも子宮中で暴露したラビットに対して、より毒性が強いことを示している[42]。この調査で、ラビットの胎児は、母親には影響を与えない用量で、骨格異常の数が著しく増加していた。

 デュポン社はパーカーズブルグ工場の女性作業員の血液中のPFOAを調べ、その存在を確認した。同社は暴露した作業員を追跡し、妊娠後の結果を文書化した。1979年から1981年の間に女性作業員から生まれた7人の赤ちゃんのうち2人が先天性障害を持ち、一人は”未確認の”目と涙管に障害、もう一人は鼻孔と涙管の障害を持っていた[全文]。1981年、50人の女性に対し工場内で職場の配置換えが行われた。

 精巣腫瘍を引き起こすことに加えて、PFOAは、ラットの睾丸、副睾丸、精嚢のサイズ増大[2]、前立腺のサイズ減小[2, 6]を含む、オスの生殖系への他の影響をも引き起こす。メスに対しては乳房腫瘍と卵巣への細胞影響を引き起こす[13]。

 1992年の初めに、デュポン社の科学者らは、いかにPFOAが精巣腫瘍とその他の有害な影響をオスの生殖系に与えるかを述べた論文を発表し始めた(彼らは乳腺と卵巣への影響については調査しなかった)。最初に彼らは、PFOAがラットのエストラジオール(ヒトとげっ歯類のエストロゲン(発情ホルモン)の主要な形)の血中濃度を増加させることを見つけた。彼らはまた、PFOAが、テストストロン(訳注:精巣から分泌される雄性ホルモン)の血中濃度を減少させ、精巣細胞中でのテストストロンの製造を変化させつつ[5]、テストストロン制御に影響を与えることを見つけた。

 1995年にデュポン社の科学者らによって発表されたフォローアップ調査では、PFOAは、肝臓のアロマテース(テストストロンをエストラジオールに変換する酵素)の活動を増大することで、エストロゲンのレベルを増大することを示した[5]。ビーゲルらはまた、PFOAがtransforming growth factor-alpha(TGFa)と呼ばれるがん細胞によって精巣のたんぱく質の製造を増大することを見出した[5]。デュポン社の科学者らはメスのラットについてはオスのラットほどには調査しなかったが、他の調査がエストラジオールが乳房細胞中でTFG-aの過剰な排出を刺激するということを示している。

 高レベルのエストロゲンはPFOAによって引き起こされる精巣腫瘍にとってリスク要素であるので、EPAは、精巣腫瘍の一種であるライジヒ細胞腫瘍のPFOAによる誘発は、多分、エストロゲンを高いレベルに保持することにより内分泌介在される(endocrine mediated)かもしれないと示唆した[6] [抜粋 | 全文]。  PFOAを製造しているミネソタ州コテージ・グルーブの工場で高度に暴露した3M社の作業者にエストラジオールの増加とテストストロンの減少が見られた[10, 11]。2つの3M社工場における3つの調査で、暴露した作業者はより多く、男性生殖系のがんで死亡するか治療を求めたように見えた[14-16]。

第4部 引用情報・文献


第5部 水、食物、空気中の PFCs
PFOA は水、食物、及び空気を汚染している


 二つの予備的な調査で、科学者たちは PFOA (パーフルオロオクタン酸)をトロントからフロリダまでの各所で、水道水、屋外空気、インゲン、リンゴ、パン、及び牛肉中で検出した。

表.PFOA とその先駆物質は汚染物質としてテスト行ったどの市でも検出された
場所 水道水 食物 大気 川・湖 廃水処理
設備出口
埋立地
浸出液
デカトール市
アラバマ州
検出されず
リンゴ
 
ウォークマリナ川
ウィーラー湖
クリーブランド市
テネシー州
検出されず
パン(a)
 
ヒワシー川
 
モービル市
アラバマ州
検出されず
インゲン
 
モービル川
検出されず
コロンブス市
ジョージア州

ホリデーイン
市営マリーナ
消防署
検出されず  
チャタホーチ川
ペンサコラ市
フロリダ州
検出されず
パン、リンゴ
  検出されず 検出されず
ポート・セントルーシー市
フロリダ州
検出されず
牛肉
 
セントルーシー川
リトルホッキング市
オハイオ州

工業用井戸水
         
トロント市
オンタリオ州
   
*
     
ロングポイント
オンタリオ州
   
*
     
* C10 テロマーアルコール( CF3(CF2)7CH2CH2OH )は大気中サンプルから検出された。この化合物はPFOAに分解する。
表中、ブランクは検査していない。
(a) Centre Analytical Laboratories, Inc はテネシー州クリーブランドのパンの汚染は疑わしいと報告している。

参照:
 複数都市環境調査 [抜粋][全文
 トロント大気調査 [抜粋
 複数都市食物調査 [抜粋][全文


表の説明
河川中のPFOA
 科学者らはアラバマ州モービルのモービル川でPFOAを検出した。採取した6サンプル全ての平均濃度は0.055 ppbであった[2]。他のPFCsは同調査でもっと広範囲に検出された。フロリダ州ポート・セントルーシー川、ジョージア州チャタホーチ川、アラバマ州モービル川、スリーマイル・クリーク、テネシー川、フリント・クリーク、テネシー州のヒワシー川、フロリダ州のテクサス・バイユー

水道水中のPFOA
 3M社はジョージア州コロンブス市の水道水中にPFOAを検出した。同市ではPFCsを使用した衣料品、カーペット、家庭用繊維製品、不織布、家庭用添加剤を製造している。PFOAは商店街水道水から採取された6サンプル中3サンプルで検出され、最大濃度は0.026ppbであった。他のPFCsはもっと頻繁に検出された。ジョージア州コロンブスの水道水、市営マリーナの女性洗面所、ホリデーイン204号室、消防署#1の台所流し、フロリダ州ペンサコラのフーターズ・レストランの洗面所[2]

食物中のPFOA
 2001年6月に発表された調査で、3M社はアラバマ州モービルでインゲンの中に0.543 ppb、フロリダ州ペンサコラでパンから0.524 ppb、りんごから1.13 ppbのPFOAを検出したと報告した。彼らはまた、フロリダ州ポート・セントルーシーの牛ひき肉の3サンプル中2サンプルでPFOAを検出した。同市で産業用にPFCsが使用されたかどうかは不明。報告された濃度は0.504 ppb と 1.09 ppb[3]

空気中のPFOA
 2002年にカナダの科学者によって発表された調査は、大気汚染からの人間へのPFOA暴露の潜在的な重要性を示した。PFOAに分解するC10 フルオロテロマー・アルコールが、オンタリオ州トロントで9〜123pptの範囲の濃度で検出された。このテロマーはオンタリオ州の田舎ロングポイントの2つの大気サンプルから25 ppt と 40 pptの濃度で検出された[4] 。

排水と埋立地のPFOA
 科学者らは、テストした全ての市の廃水処理設備からの処理排水から採取した全てのサンプル中からPFOAを検出した。埋立地排水池の水もまた検査された。科学者らはアラバマ州デカトールの市営廃棄物埋立地からの漏水の中に47.5ppbのPFOAを検出した。同市は3M社のPFC製造工場の拠点である。フロリダ州ポート・セントルーシーで低レベルのPFOAを示した。テストされた6つのサンプル全てから0.939 〜0.946 ppbの範囲の濃度で検出された[2]。


  PFOA 関連製品は50年間、消費者に売られているが、EPA も製造者も、人間の血中に PFOA に分解する可能性がある多くの物質が存在することの重要性について理解していない。現在の体内の PFOA 汚染は主に消費者用品に起因していると思われるが、環境中の PFOA 汚染に起因していることも考えられる。1999年以来実施された2つの調査は、環境曝露が顕著であることを示している。PFOA 叉は PFOA 先駆物質は検査したどの都市でも水道水、食物、大気中から検出されている。

 1999年、3M 社は、人間の血中の PFOA の源となる環境汚染の重要性を鑑みて、人間の食物連鎖における PFCs の生体蓄積の源を定量化する調査を行った[1]。東部6都市で 3M 社は、スパーマーケットの食品、川と湖、堆積物、魚類、飲料水源、水道水、排水処理設備の流入水及び排出水、汚泥、及び埋立地浸出液をテストした。

 3M 社は PFCs をどの市でも検出した。最初のテスト結果は、3M社 のスコッチガード廃止声明(2000年5月)が出された8日後に取りまとめられた。同社は、飲料水源となっているものもある川と湖が PFCS で汚染されていることを示すデータを提出した。PFOA 叉は他の PFCs はテストした4州全て(ジョージア、アラバマ、フロリダ、及びテネシーの各州)で検出された。4か月後に 3M 社は PFCs がテストした6都市中2都市コロンブス市、デカトール市)の水道水中で検出したと発表した。3M 社はモービル川、及びコロンブス市の水道水中から PFOA を検出した。

 人間の血液調査及び、その後の動物調査で 3M 社は再び PFCs を予想もしていなかったところで検出した。3M 社は、 PFCs が大量に使用されている3都市(製造叉はサプライチェーン都市)及び PFCs の大規模な商業的使用のない3都市を調査に含めた。調査結果は6都市全ての水から PFC 汚染が検出された[2]。

 6都市のスーパーマーケットで購入した食品のテストの結果、広範囲に汚染が広がっていることが分かった。アラバマ州、テネシー州、ジョージ州、及びフロリダ州の店で購入した牛肉、豚肉、鶏肉、ホットドック、魚、卵、牛乳、パン、インゲン、リンゴの分析で、3M 社はテスト試料の5%から PFOA を検出した。テストした食品の中で、牛肉、インゲン、リンゴ、及びパンは全て、PFOA で汚染されていた。

 オンタリオ大学の科学者たちは PFOA 叉は PFOA に分解する物質をオンタリオ市街、及びロングポート市郊外の大気中から検出した。
 排水処理設備及び埋立地浸出液に関する 3M 社のテストでは、人間は大量の PFOA を廃棄叉は排出していることを示した。科学者たちは、テストしたどの都市の排水処理設備からの処理水、人間の排泄−これらはもう一つの PFOA 環境汚染拡散の源である−から PFOA を検出した。
 彼等はテストした6都市のうち2都市の埋立地浸出液から PFOA を検出した。

デュポン社工場からの水道水汚染

「長年にわたってデュポン社は化学が残す足跡を減少するよう努力してきた」
デュポン社 −リトルホッキングのC-8水質レベルに関連して
 [5]

 デュポン社は同社製造工場の周辺で広範囲に汚染が広がっていることを発見した。
 1984年にウェストバージニア州の同社ワシントン工場周辺で行った水道水に関する内部調査で、デュポン社は PFOA 濃度を、リューベックの商店の水道水で1.5ppb、ワシントンの商店の水道水で1.0と1.2ppb、リトルホッキングで0.8と0.6ppb、検出した。[全文] これらの汚染の多くはフロリダ州のポート・セントルーシーの廃水処理設備浸出液から検出されたものより高かった。デュポン社はテストを実施したこと叉はその結果について、住民にも州当局にも報告していなかった。

 2002年に州当局からもっと徹底的な調査をリトルホッキングで実施するよう命じられて、同社は工業用井戸水で0.495〜8.58ppbを検出した[6]。これらの汚染はデュポン社内部の長期安全基準値である 1ppb をはるかに超えるものであったが、同社は最近、ウェストバージニア州当局の飲料水評価チームの見解によれば同社の安全基準値は高すぎると主張している。同評価チームのメンバーにはデュポン社員及び化学工業界のコンサルタントが含まれていた。

どのようにこれら化学物質が我々の食物、水、そして埋立地浸出液に入り込んできたか?

環境中への放出

 PFOA は規制対象物質ではないので、ウェストバージニア、ノースカロライナ、ミネソタ、及びアラバマにあるデュポン社及び 3M 社の工場、及びジョージア、ノースカロライナ、その他の場所のカーペット工場、衣料工場、及び製紙工場などから合法的に大気中及び水中に排出されていた。[注1]

 デュポン社は、1999年には、ウェストバージニアのワシントン工場とニュージャージーのチャンバース工場で合わせて、PFOA 20トンを大気中に、3300トンを水中に、3トンを埋立地に排出したと推定している。
 3M 社の推定値はもっと低い。1997年、同社コテージ・グローブ・ミネアポリス工場は大気中に3トン、1999年には2つの PFC 工場で2300トンの PFOA を水中に排出した[6]。

 これら環境への排出の結果は PFC 工場の周辺で直ぐに観察することができる。3M 社のデカトール工場の直ぐ下流の水中から1900ppbと1024ppbの PFOA 濃度が検出された[8]。ウェストバージニアでは、デュポン社ワシントン工場への飲料水供給用に使われていた工業用井戸から PFOA 濃度1.9ppbを検出した。また埋立地及び下水分解池近くの井戸からは13,600ppbの PFOA が検出された[9]。

フルオロテロマー・アルコール

 フルオロテロマー・アルコール(Fluorotelomer alcohols )は人間の血中の PFOA になる主な源である。実験室での調査で、産業界の科学者は1981年以来、フルオロテロマー・アルコールが環境中及び体内で PFOA 及び PFOA 用の成分に分解することを知っていた。[注2] [10、11] [調査詳細] [抜粋] [全文]
 フルオロテロマー・アルコールは一見、無害そうに見えるヘアーシャンプーやコンディショナー、食品と直に接触する紙製品、敷物用クリーナー、自転車、園芸用器具、ジッパーなどの潤滑油などにも含まれている。

 ”企業秘密”を盾に文書の多くの部分が削除されたが、デュポン社の EPA への提出書類の中で、デュポンは明確にフルオロテロマーについての懸念を述べている。

 「我々はビジネスにコミットし、ビジネスを行っている。我々は、我々の製品がその意図した用途において安全であると確信している」 デュポン社スチュアードシップ 2001年更新 [12] [抜粋]

第5部 引用情報・文献

[注1]
 EPCRA 第313条は、製造者に対し約650種の化学物質について環境への排出報告を義務付けており、PFOA はこれらの物質に含まれていない。これらの物質はTRI (Toxics Release Inventory List 有毒物質排出目録) に記載されている。
http://www.scorecard.org/general/tri/tri_chem.html

[注2]
 3M 社が主催したその後の調査で、フルオロテロマーの一般式 CF3(CF2)nCH2CH2OH は生物分解して過フッ素化酸塩 CF3(CF2)nCO2- と CF(CF2)(n-1)CO2- になると報告している。


第6部 PFCs は世界中の動物の体内に
PFCs は世界中の動物の体内に


 消費者製品、工業用品及びプロセスで50年間、広範囲に使用された後、PFOA は地球上、至る所に拡散し、現在調査した国々の4分の3で野生動物を汚染していることがわかった。他の PFCs も同等以上に拡散している。

 1994年以来実施された15の調査[1-15]で、科学者たちはは世界の4大陸中3大陸、12か国中6か国、77生物種中16種、鳥、魚、陸上及び海洋哺乳類で PFOA を検出した。[野生動物調査] [海洋動物調査] 更なる調査もそれ以上の汚染を確認している。

 最近、数十年間、PFOA は研究用化学物質から消費者製品製造の主要成分として地球を広範に汚染する汚染物質に変化を遂げた。PFOA はイタリア、アメリカ、日本、ロシア、ベルギー、及びカナダの、そしてミドウェー環礁の野生生物保護区の野生生物から検出されている。科学者たちは、PFOA をカナダ、マニトバ州ウィニッペグ湖の二重とさかウの黄卵、ロシア、カスピ海のアシカの血中、フロリダ海岸沖の短鼻スピナーイルカから検出している。(表.1)

表.1 野生生物中の PFOA
試料採取年 場所 PFOA検出
動物数
検出 / 試料

(検出器官)
PFOA濃度
(ppb)
1991-2000
[6]
アメリカ メキシコ湾 1 / 3 短鼻スピナーイルカ
(肝臓)
7.5 - 20
1995 [5] アメリカ サンダー湾
サルファー島
ミシガン
ヒューロン湖
2 / 3 輪くちばしカモメ
(黄卵)
180 - 197
1991 [5] アメリカ セントマーチン
ミシガン
ミシガン湖
1 / 2 二重とさかウ
(血液)
29.9 - 48.9
1991-2000
[6]
アメリカ カリフォルニア海岸 1 / 6 カリフォルニア
大アシカ
(肝臓)
35.9 - 41
1997-1999
[6]
アメリカ アラスカ 1 / 14 北極クマ
(肝臓)
8.03 - 12.9
1990-1998
[5]
ミッドウェイ環礁
アメリカ信託領
サンド島
野生生物保護区
ミッドウェイ環礁
1 / 3 アホウドリ
(肝臓)
180 - 182
1997 [5] イタリア カブラス
ラグーン
サルジニア
12 / 12
(肝臓)
29 - 444
(平均94.6)
1995 [5] カナダ ウィンペグ湖
マニトバ
2 / 4 二重とさかウ 180 -245
1991-2000
[6]
ロシア カスピ海 2 / 8 カスピ海アシカ
(血液)
6 - 23
2000頃 [7] ベルギー シェルツ
エスチュアリ
8 / 26 各種魚類
(肉)
7.5 - 46
1991-2000
[6]
  バルチック海 1 / 81 輪アシカ
(肝臓)
18.8 - 39.5
1996-1998
[6]
  バルチック海 20 / 28 輪アシカ
(血液)
1.25 - 9
1996-1998
[6]
  バルチック海 1 / 26 灰色アシカ
(血液)
4.98 - 7
1991-2000
[6]
イタリア 地中海 2 / 4 バンドウイルカ
(血液)
2.5 - 4
(平均2.2)
1998 [12] 日本 行徳野鳥観察所
千葉
1 黒頭カモメ
(肝臓)
21
1999 [12] 日本 厚木
神奈川
1 黒耳トビ
(肝臓)
21
[5] 日本 不明 2 / 7 海ワシ
(血液)
3.35 - 6.2


PFCs は地球規模の汚染

 PFOA は広範囲に野生生物を汚染ているが、他の PFCs 汚染も同等以上に広がっている。PFOA も他の PFCs もその毒性は同様なメカニズムであり動物の体の共通の組織とシステムを脅かすので、複合 PFCs の合成影響は野生生物への健康リスクを倍加させる。

 1970年代の DDT、PCB、そしてディルドリンのように PFOS、PFOA、及び過フッ素(パーフルオロ)化合物、及び、ポリフッ素(ポリフルオロ)化合物が地球上至る所に蔓延している。それらは最も離れた未開に近い環境に生息する動物からも検出されている。
 環境中の PFCs 存在に関する限られた調査であるにも関わらず、調査の行われた4大陸中3大陸、14か国、98生物種中76種から PFOA が検出された。
 2000年まで使用されていた 3M 社のスコッチガードによる PFOS が最も広く検出された。

 「PFOS は分析された全ての野生生物から検出された」
 (ギジー等、バルチック海及び地中海の海洋動物類、魚類、鳥類を調査した結果について)
[10]

3M 社が1980年代に地球汚染をした証拠

 1980年代後半に実施された調査を通じて、3M 社は、多くの PFCs の最終分解物質、例えば PFOA や PFOS は環境中ではこれ以上分解しないことを知っていた。これらの研究所での調査は化学物質が分解する全ての基本的なメカニズム、すなわち、太陽光線や大気中の反応(光分解)、バクテリア反応(生物分解)、及び水中での化学反応(加水分解)を含んでいたが、3M 社は、最終的 PFCs はこれら全ての分解プロセスによっても分解しないということ発見した[16-20]。

 蒸気圧やヘンリー定数を定義するその他の調査を通じて 3M 社は、PFCs のあるものは大気中で長距離移動することができるということ知っていた。これらの調査と分解データを統合すると、PFCs は原初の製造地点や都市中心部から遠くはなれた地点へ数十年間かけて移動するということがわかった。

 全ての基礎的データが地球汚染問題を適切に示しているが、3M 社は1990年代後半まで地球汚染の仮説を把握していなかった。1997年、同社研究所は、作業者の汚染血液に対するコントロール・サンプルとして使用していた血液銀行の血液が PFOS で汚染していることを突き止めた。さらなる血液調査で人間の血液が広く汚染されている可能性があることが分かった。これらの調査の間、3M のスタッフは、野生動物の汚染を把握する第一歩として、ウィスコンシン州マディソンの国立野生生物健康センターから60羽の鳥を集め肝臓を分析した。

3M 社の1990年代後半の決定的な野生生物調査

 3M 社の研究所はアメリカ大陸中から収集された60羽の鳥の内、4分の3以上の鳥の肝臓から PFCs を検出した[5]。同研究所は、白ペリカン、二重とさかウ、おお青サギ、及び褐色ペリカン(1羽)の全ての肝臓から PFCs を検出した(カリフォルニア、ルイジアナ、フロリダ、及びネバダからの45羽のサンプルのうち44サンプル)。
 科学者たちが検出した化学物質には、スコッチガードの化学物質 PFOS、PFOS の先駆物質 PFOSA、及び PFOS の姉妹である 6-炭素化学物質 PFHS が含まれる。

 これとは対照的に、同研究所は、ネブラフスカ、アリゾナ、及びニューメキシコの砂丘ツル15羽の内20%(3羽)のツルの肝臓から PFCs を検出したが、そのうち定量化できる程度の濃度のツルはネブラフスカのツル1羽だけであった[5]。鳥の種による PFC 濃度の変動は、そのエサの違いによる。この調査は、魚をエサとする鳥類は PFCs で汚染されやすいことを示しているが、これは PCBs や DDT と同様に、これらの化学物質が食物連鎖の一環として魚の体内に蓄積しやすいことによる。

 1999年3月15日から4日間にわたり、3M 社の環境研究所は、国境超えたを地球規模の PFC 汚染を調べるために野生生物の体組織の追加調査を行った。3M 社の科学者たちはアメリカの辺地から採取されたワシの子の血中に含まれる PFOS と関連 PFCs を調査した。もしこの血液中に PFCs が含まれていなければ、科学者たちは、スコッチガードや他の PFC 製品が使用されている都市部からどのくらい離れた場所まで汚染されているかを把握するつもりであった。

 しかし、3M 社は調査した5羽全てのワシの子から PFCs を検出した[14]。巣立つ前のまだ飛んだことのないこれらのヒナは、PFOS の血中レベルが30〜77ppbの汚染であった。考えられる唯一の汚染源は、母ワシが運んでくる魚であるが、それらはデビルズ湖、スレート川滝、ピッカレル水路、ミシガン半島のコーキンズ入り江、ミネソタのへき地ヴォイアジャーズ国立公園あたりの水中からとったものである。引き続く調査で、野生の鳥の卵の卵黄さえも PFCs で汚染されていることがわかった[5]。
 これらの調査と 3M 社が同時に実施した人間の血液調査を合わせると、PFCs は地球規模で人間と野生生物を汚染しているということが最終確認できる。

 2000年の初めに、ミシガン大学州立大学は、北極、カナダのセーブル島、アラスカ海岸、フロリダ、及びカリフォルニアから採取した北極クマ、アシカ、鯨を含む15種の海洋哺乳類からの247の肝臓、腎臓、及び血液サンプルを調査した。PFOA は調査したサンプルの17%から発見されたが、PFOS については PFC の汚染が非常に広範囲に広がっていることを示していた。海洋哺乳類に関する調査の著者らは、 「北極の海洋哺乳類から PFOS が検出されたことは、PFOS の地球規模での拡散を示唆している」 と結論付けている[9]。

 今日までに実施された全ての野生生物調査によれば、調査した PFCs の中で、3M 社のスコッチガードの化学物質 PFOS が最も広く拡散しており、野生生物の体内で最も高い汚染物質であることがわかった。科学者たちは野生生物中の PFOS 汚染が製造工場の作業者の汚染濃度よりも高いことを示した。ミシガン研究所では4羽のカスピ海アジサシの卵から平均2605ppb[5]、サウスカロライナの9匹のミンクの肝臓から平均2805ppbの PFOS を検出した。これらの値は 3M 社のアラバマ州デカトール工場で細胞操作をしている5人の作業員の平均血中濃度1970ppbよりも高い[21]。

 PFOSは、地球上で最も保護されている生物種、及び最も原始的な環境中から検出されている。それらはアラスカの北極クマ (調査した17頭中17頭から検出、平均肝臓中濃度350ppb)[10]、中西部ハゲワシの70日以前のヒナ (調査した33のヒナ全て、平均血漿中濃度330ppb)[5]、ミズーリ州サマーのスワン湖国立野生保護区のオオシラサギ1羽 (肝臓中濃度171ppb)[5]、イタリア、リッチオーネ、アドリア海沖のバンドウイルカ (調査した4頭中4頭から検出、平均血中濃度143ppb)[7]、ミッドウェー環礁、野生生物保護区、サンド島のアホウドリ (調査した6羽中6羽から検出、平均血中濃度16ppb)[5]、などである。

 PFOS の先駆化学物質である PFOSA は地球上至る所の生物種から顕著な濃度で検出された。イタリアの海岸沖で PFOSA ( FOSA という名前でも知られている) がイルカクジラ1頭 (肝臓中濃度878PPB) 及びメカジキ (調査した7尾中7尾から検出、平均血中濃度7ppb) から検出された[7]。

第6部 引用情報・文献


第7部 デュポン社の PFOA についての言い訳
デュポン社の PFOA についての言い訳


 デュポン社は EPA との間で大きな法的な問題を抱えた。これは会社の経営にとっても大きな問題であった。増大する不都合な刊行物や報告書に対応して、デュポン社は繰り返し、 PFOA (パーフルオロオクタン酸)叉は C8 への曝露は人間への健康リスクとはならないと主張した。社会に対するこの言い訳は、科学者用ジャーナルに掲載されたデータ、及び、 EPA に提出された50,000頁に及ぶ産業界が実施した調査のデータに基づき、 EPA が引き出した最近の結論とは相容れないものである。 EWG  (Environmental Working Group) は、これら50,000頁の産業界データを検証し、検索できる形式にしてウェブ上に掲載した ( Search the Scotchgard and Teflon Archives )。

  デュポン社の PFOA の健康リスクに関する言い訳と EWG の現在の科学的知識に基づく分析の概要を以下に示す。
  1. デュポン社は人間の血中から検出された PFOA の濃度は非常に低くて健康リスクとはならないと断言

     この結論は最近の産業界によるラットの生殖研究で得られた知見と矛盾する。この調査結果をみて、 EPA は、 PFOA が動物に発達障害及び生殖障害を引き起こす恐れがあるので、 PFOA を”優先的に検証”し、有毒物質管理法 (Toxic Substances Control Act (TSCA) ) 第4条に対する法的措置をとるべきかどうかを決定することとした。
     EPAの優先的検証における最近の情況はリスク評価の草稿が出たところで、それによれば、女性と少女の血中PFOA濃度は実験動物に深刻な有害性をもたらした動物の血中濃度に非常に近くて危険であるということであった。

  2. デュポン社は PFOA が人間の健康に有害な影響を及ぼすことを示す証拠叉はデータがないと主張

     デュポン社は PFOA に曝露した作業者に関する調査報告を 1件しか公表しておらず、調査は肝臓の酵素レベルを測定しただけのものであったが、それは明らかに高い値を示していた。さらに、3M社が実施した調査は、高レベルのPFOAに曝露した作業者は明らかに前立腺がん及び脳血管障害で死亡しやすいことを示していた。3M社によるもう一つの調査は、曝露した作業者は明らかに前立腺がん、胃腸系障害、胆汁系障害、すい臓臓系障害、膀胱炎などで治療を受けることが多いことを示していた。
     これらの調査結果を判断することは複雑である。それはこれらの調査には明らかに設計上の欠陥があり、また対象とする人の数が少な過ぎるからである。しかし、がん及び他の障害との関連性が見られ、実験室レベルでの調査は有意なものである。

  3. デュポン社は PFOA の生殖叉は発達に対する毒性を否定

     EPAのPFOAに対する優先的検証は、正に、動物実験におけるPFOAの生殖叉は発達に対する毒性に関するEPAの科学者たちの懸念によって提起されたものである。

  4. デュポン社は肝臓は PFOA の毒性に最もおかされやすい器官であると強調

     PFOA は事実上、調査した全ての器官や系に毒性があることが示された。それらには、脳、下垂体、副腎、甲状腺、卵巣、男性生殖系、免疫系、腎臓が含まれる。
     PFOA はまた乳房、精巣、すい臓、及び肝臓の腫瘍を引き起こす。卵巣、下垂体、腎臓、脾臓、及び精嚢は、肝臓への影響が見られるレベルと同一、あるいはそれ以下で、 PFOA の影響を受ける。

  5. デュポン社は、人間とは無関係な唯一の機能メカニズムによって PFOA が実験動物に影響を与えると主張

     PFOA は少なくとも5つの機能メカニズムによって有害な影響が出る。そのうち4つは明らかに人間に関連する。唯一、科学者の間で人間との関連性に議論があるのは ”ペルオキシソーム増殖(peroxisome proliferation )” である。ペルオキシソーム増殖は明らかにラットの肝臓に有毒である。科学者たちは、ペルオキシソーム増殖がサルで観察される肝臓への有毒性や作業者に観察された高レベルの肝臓酵素と関係があるのか、あるいは別のメカニズムが働いてこのような影響が出たのかについては、まだ分かっていない。 PFOA の姉妹化学物質である PFDA (C10) は人間の脳細胞でペルオキシソーム増殖を引き起こすことがわかっている。
以下、デュポン社の言い訳に対するEWG (Environmental Working Group)の問題点指摘及び詳細説明の訳は省略。
項目のみを示す。


■デュポン社の言い訳とEWGの分析
・人間の血中PFOA濃度と実験動物における有害な影響との関連性
■PFOAと作業者への影響
■PFOAとがん
■PFOAと発達系/生殖系への有毒性
■PFOAと肝臓への有毒性
■実験動物からの知見と人間への適用について

第7部 引用情報・文献


第8部 こげつかない鍋で鳥が死ぬ
こげつかない鍋で鳥が死ぬ



 鳥好きの人や獣医師は、テフロン加工などを施したこげつき防止調理鍋が高温に熱せられると鳥に対する急性毒性を持つことを数十年前から知っていた。科学者の論文には、家庭で使用されるテフロン、その他の加工を施したこげつき防止鍋や調理器具の使用と鳥の死との関連性に関する報告が30年前から多数含まれている。鳥は、通常、初めてこげつき防止鍋を使用して高温に熱した時に突然死ぬ。いたる所で鳥が死ぬので、ペットの鳥に対する注意を促すウェブサイトが少なくとも100はある

 1975年、鳥の死に関する初期の論文の一つで、著者はペットの持ち主がこげつき防止(テフロン加工)鍋を使用した後、5羽のペットの鳥が死んだことについて、次のように述べている。
 
 ”こげつき防止”のプラスチック ポリテトラフルオロエチレン (PTFE) のヒューム(煙)に曝露して、5羽のインコが30分で死んでしまった。1時間以内にペットの持ち主には ”ポリマー・ヒューム熱” の症状が出たが、24時間後には回復した。インコの臨床的所見と死後の組織損傷が記述されており、 PTFE 加工したフライパン熱分解物質に対するインコの異常な感受性が特記されている[1]。


 こげつき防止加工に関連した鳥の死は家庭での外来種の鳥に限ったことではない。最近の報告では、2400羽のブロイラー鶏のヒナをミズリー州コロンビア大学の研究倉庫に移した時に、大量のヒナが死亡したことを獣医師は観察した。ヒナの4%は最初の4時間で死亡し、72時間以内に半分以上のヒナが死亡した。可能性のある多くの有毒ガスについて調査した結果、科学者たちは白熱電球にコーティングしたテフロン化学物質 PTFE にたどり着いた。さらに調べると、ヒナが死亡する事故の前になされた施設の管理上の唯一の変更は、各鶏小屋に1個づつある計48個の白熱電球を全てとり替えていたことであった。新しい白熱電球はポリテトラフルオロエチレン (PTFE)でコーティングされていた。
 PTFEガス中毒はいくつかの外国産鳥類について既に報告されていたが、大量の食用鶏についての中毒の報告は初めてであった[2]。

 科学者たちは、テフロン、その他のこげつき防止鍋や調理器具から発生して鳥の死を招いたガス成分を特定していないが、こげつき防止鍋が加熱された時に測定された空気中のガス成分の中で、PFOA及びその他のガスが高い毒性を持っていると考えている[3]。

訳注:デュポン社ウェブサイト
Key Questions About TeflonR Non-Stick Coatings
焦げ付き防止テフロンなべを過熱した場合に何が起きるか?ヒトに有害か?鳥に危険か?

第8部 引用情報・文献

関連ウェブサイト


第9部 規制の間隙 PFC 汚染
規制の間隙が地球規模の PFC 汚染を招く


 ほとんどの人々は消費者製品に含まれる化学物質は市場に出される前に完全にテストされていると思っているが、ほとんどの化学物質は、製品の製造時、販売時、使用時のどの段階においても健康への影響に対するテストの実施を法的には要求されていない。
 このためにテフロン、スコッチガード、及びその関連化学物質に関する基本的な毒性テストは、これらの製品が市場に出されてから50年経過した今になって、やっと実施されつつある。

 有毒物質管理法 ( Toxic Substances Control Act) の下では、化学会社は、人々や環境への影響調査を行うことなく、化学物質を製造して新しい化合物を市場に出し続けることができる。製造に先立って初歩的なスクリーニング調査を実施する会社もあるが、新製品としてEPAに申請される全ての製品中、半分以下しか毒性データを添付していない。
 政府はこれらの申請のうちの80%を制限なしに、通常3週間以下で認可している。データが提出されても、政府にはそれ以上のことを要求する権限がないので、ぞんざいに扱われる。10件の新製品申請のうち8件が3週間以内に、1日平均7件が認可される。
 もしデータがなければ、政府は、その化学物質が人間の健康や環境に有害かどうかをコンピュータモデルで判定し、それをもって認可を正当なものとしている (EPA 1997a, GAO 1994)。
 

グラフ拡大 (原文)
 既に市場に出されている化学物質については、EPA はその化学物質が有害であるということを実証できる場合にのみ、そのデータを要求することができるが、一般的には要求する毒性データがなければ、その化学物質が有害であるかどうかは直ぐにはわからない。
 このことは、実際には、第三者の科学者が潜在的な有害性を証明する証拠の山を積み上げた後に、調査が要求されるということを意味し、それには通常数十年かかる。

 一般に、化学物質が市場に投入されてもほとんどの科学者は、直ぐにはその毒性を理解することができないし、人々や環境に対してどのようにテストすればよいのかもわからない。
 よく知られていた化学物質類やその一群(族)から、今回の PFCs のように、広範な環境汚染や人間への汚染を含む環境大災害となりうることを科学者が偶然、見つけることもある。

Sidebar 1: Reform of Federal Law (原文)

Sidebar 2: The regulatory precedent of pesticides (原文)


第10部 PFCs への行動のための勧告
PFCs への行動のための勧告


 政府は何をすべきか
 化学産業界は何をすべきか
 あなたは何ができるか

■政府は何をすべきか

 PFCs 化学物質が、汚染の広がり、有毒性、そして残留性という独特な特徴を持つことから、環境保護局 (EPA) は早急に行動を起こすことが要求される。我々は下記を勧告する:
  • EPA は PFOA 及び環境中又は人間の体内で PFOA に分解する産業化学物質を廃止させるべきである。

  • EPA は残りの PFCs とフッ素ポリマーを含むポリフッ素化合物の見直しを急がせ、残留性のあるもの又は残留性のある PFCs に分解するものを廃止するよう要求すべきである。

  • EPA は、健康影響をもたらす複数の化合物の複合効果を考慮して、PFCs 族全体について人間への健康リスク評価を十分に行うべきである。

  • CDC (疾病管理予防センター) は、PFCs のあるものは、例え全世界で禁止してもその後、PFOA、PFOS、その他に分解し増加し続けるので、暴露による血中の PFCs を長期にわたって生体観察して傾向を評価すべきとする EWG の提案を採用して、実施を早めるべきである。

 PFCs は、世界中いたるところで人間の血液と野生動物を汚染している非常に有毒で並外れて残留性の高い化学物質である。この化学物質の悲劇は、EPA がこの新たに発生している汚染問題、あるいは、PFCs を含む消費者製品中に含まれる数千の化学物質に対する人間の暴露の影響又は程度を特定するツールを持たないままにさせておいた規制のあり方に大きくよるものである。

 有毒物質管理法は基本的に問題があるので、その条文は書き換えられるべきである。国の有毒物質に関する法は下記の要件を満たすべきである。
  • 産業界は市場に出す前に化学物質の安全性の証明を要求されなくてはならない。

  • EPA は、すでに市場に出ている化学物質に関するどのような、及び全ての新たなデータの提出を要求できる、誰に干渉されない権限を持たなくてはならない。

  • EPA は、もし要求したデータの提出がなければ、あるいは、それらが暴露を受ける集団の中で最も感受性の高いに集団に安全でないことが示されているのなら、その化学物質の製造と販売を中止させる、明確な権限を持たなくてはならない。

  • 環境中に残留する、あるいは、食物連鎖中に蓄積する化学物質は禁止されなくてはならない。

  • 人間の体内で検出される化学物質、製品中に含まれ子どもが暴露するかもしれない化学物質、水中、食物中、あるいは屋内空気中に含まれる化学物質は、低用量、胎児期から死ぬまでの一生涯、及び多世代における健康影響についてのテストが完全に行われなくてはならない。それらは器官の機能や認識力の発達のような繊細な領域をも含む、目標とする器官に焦点を合わせたものでなくてはならない。作用するメカニズム (化学物質がどのようにして体を害するのか) を解明する研究も実施されなくてはならない。
■化学産業界は何をすべきか

  • 化学産業界は PFOA およびその他の化学物質で環境中や人間の体内で PFOA に分解するものの使用を廃止すべきである。これらにはテフロン、ステインマスター、及びゾニール紙保護製品での使用の廃止を含む。

  • 化学産業界は人間の体内の PFCs を検出するための分析検出手法を開発し、一般の人々の間でのこれらの化学物質の汚染レベルを把握するための生体観察を実施すべきである。

  • 化学産業界は、ゴアテックスのようなパーフルオロ−及びポリフルオロ−ポリマー製品を含む全ての PFCs の分解物質と環境中での残留について公表すべきであり、これら残留性のある物質の製造は中止すべきである。

  • 化学製品製造者は、市場に出される製品中の PFC 構成分を完全に公表すべきである。
■あなたは何ができるか

 PFCs は食物中、空気中、そして飲料水中から検出されているので、PFCs へのある程度の暴露は避けることができないが、今後の消費者製品を買う場合に PFCs を避けるための選択をすることができる。そうすることで、人間の健康や野生の動物に被害を及ぼす PFC に経済的な打撃を与えることができる。いくつかのヒントを以下に示す。
  • あなたの家庭でテフロンやその他のこげつき防止調理器具や装置の使用を止めること。もし、今それらを他のもに替えることができるならそうすること。高温に熱せられるとテフロンやその他のこげつき防止 PFC コーティング製品は有害な排ガスを出す。

  • もし、あなたの家庭でペットの鳥を飼っているなら、テフロンやその他のこげつき防止調理器具を使用しないこと。実際、使用中に高温に熱せられるテフロンや他のこげつき防止成分を含む台所用品は避けること。これらからでる排ガスで鳥はすぐに死ぬ。

  • あなたが家具や敷物を買う場合には、汚れやホコリ防止のための追加仕様は断ること。そして販売店に聞いて、化学処理をしていない製品を見つけること。これら化学処理されたもののほとんどは、あなたの家と家族を汚染する PFCs を含んでいる。

  • テフロン表示やその他の表示がある防水、防汚、防塵処理を施した衣料品の購入は避けること。これらの処理の多くには PFCs が使用されている。あなたが代わりのものを購入することで PFC 経済を衰退させ、その結果、地球的汚染を減らすことに役立つ。

  • 容器包装された食物や脂っぽい食物は極力買わないようにすること。これらの食物には染み出ないよう PFCs コーティングされた容器が使われている可能性がある。PFCs は、フレンチ・フライドの容器、ピザの容器、ポップコーンの容器など、広い範囲で使用されている。

  • ”フルオロ”とか”パーフルオロ”などが成分リストに記載されている化粧品や身体手入れ品の購入は避けること。PFCs を含むかもしれない製品として、ローション、固形パウダー、マニキュア、髭剃りクリーム、などがある。

訳者資料
■EWGの資料
■EPAの資料
■デュポンの資料

■3Mの資料
■関連リンク



化学物質問題市民研究会
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