グランジャン博士のウェブサイト
Chemical Brain Drain - News 2014年11月25日 EU の脳ホルモン 情報源:Chemical Brain Drain Website - News Hormones on EU brains, 25 November 2014 By Philippe Grandjean, MD http://braindrain.dk/2014/11/hormones-on-eu-brains/ 訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会) 掲載日:2014年11月29日 このページへのリンク: http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/kodomo/CBD/Hormones_on_EU_brains.html
この見落としには困惑させられ、気にかかることである。バーバラ・デメニークにより新たに刊行された本の中で、非常に詳細に報告されているように、特に甲状腺ホルモンは正常な脳の発達に極めて重要である。性ホルモンもまた重要であり、恐らく驚かされるべきことは、オスの脳のオス化はエストロゲン(女性ホルモンの一種)に依存するということである。広義には、ホルモンとは体のある部分から他の部分に伝達される信号伝達分子であり、非常に多くのそのような伝達物質が特に脳中に存在する。要するに脳なくして、ホルモンはあり得ないということである。そしてこれらの化学物質の全ては化学物質汚染からの有害影響に極めて感受性が高いということである。 内分泌かく乱物質は、ホルモンを生成する、又はホルモンの代謝を変更する内分泌腺の機能をかく乱するかもしれず、又はそれらの作用を阻害するかもしれないので、重要なホルモンの活動はこれらの物質によって抑制されるかもしれない。有害化学物質への非常に低用量の暴露であっても様々な有害影響をもたらすことができるので、現在、EU諸国は、そのような化学物質は必要な一歩として可能性ある規制が検討されるべきであると決定した。 欧州化学物質庁(ECHA)は、最近、一世代生殖毒性テストの実施を承認したが、内分泌かく乱物質を特定するために利用可能などのようなテストも脳中での内分泌かく乱を考慮していない。もし化学的脳汚染者を規制するための別の、そして極めて必要性の高い措置が取られないのなら、この隙間は埋められなくてはならない。非動物テストを含んで、新たなテスト手法がOECD の支援の下に開発中であるが、そこでもまた脳発達の保護は中心となっていない。 内分泌かく乱物質に対する規制措置を進めるというEUの決定は、産業側からの、そして産業側と深いつながりのある科学者らの否定的な反応をすでに引き起こしており(訳注2)、それはつい最近、環境・健康NGOsからのEU委員長への公開レターという結果をもたらした。ホルモン活動は脳の発達のために必要であり、ホルモン的に活性な化学物質からの保護は、公的及び政治的措置を必要とする。内分泌かく乱物質を特定するためのEUの計画へのコメントの期限は2015年1月16日である。 訳注1:
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