AFP 2007年9月11日
インド最高裁 アスベスト汚染船
ブルーレディー号の解体を許可


情報源:AFP, Sep 11, 2007 Indian court says 'asbestos-laden' ship can be broken up

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2007年9月19日


 【ニューデリー(AFP)】−インド最高裁は11日(火)、環境活動家らがアスベスト汚染していると主張する元フランス客船、ブルーレディー号の解体許可を船舶解体業者に与えた。

 この判決は、1960年にSSフランス号として進水した同船の最終的行き先について1年に及ぶ議論の後に下されたもので、環境団体は同船が発ガン性物質であるアスベスト約1,200トンで汚染されていると述べていた[訳注1]。

 アルジット・パサヤット判事とS.H.カパディア判事は、同裁判所から指名された専門家委員会により提出された技術報告書に基づき、西アラン船舶解体場で同船を解体する許可を与えた。

 判決の詳細は直ぐには明らかにされなかったが、環境活動家らは、11日の命令は2004年の判決を見過ごしていると述べた。

 ”当時、最高際は同船は解体に先立ち、汚染が除去されるべきと命じた”−とグリーンピースやアスベスト禁止ネットワークの傘下にあるインド船舶解体プラットフォームのイングリッド・ジェンセンは述べた。

 同船は1,200トンのアスベストと発がん性物質であるPCB類以外に重金属と放射性物質を含んでいると付け加えて、”今日ですら、何が積載されているのかを示す完全な目録はない”とジェンセンは述べた。

 同船は2006年2月に、有害物質で汚染されているので解体できないことを根拠にバングラディシュによって追い返された。しかしブルーレディー号は同年8月にインド水域に入ることを許可され、現在、インドの経済拠点であるムンバイから200キロメートル離れた場所にあるアラン海岸沖00メートルに乗り上げている。

 現在、アランの船舶解体業者が同船を所有している。

 環境と労働者権利団体は、グジャラート州にあるアラン船舶解体場の労働者らを代表する弁護士らと同船の将来について戦っている。

 労働者らは船舶解体は多くの必要な雇用をもたらすと言い、一方グリーンピースは汚染除去をしないで船舶を解体することは労働者の健康を危険にさらすものであると述べている。

 グリーンピースは、SSノルウェー号−1979年以前のブルーレディー号の名前−を、解体前に汚染除去が行われない恐れのある50隻の監視リストに含めている。

 環境団体は、アランの世界最大の船舶解体場では、労働者6人のうち1人がアスベスト暴露によって引き起こされる不治の肺疾患である石綿症に罹っていると述べている。

 ほとんどの外航船は、その終焉をインド、バングラディシュ、中国、又はパキスタンで迎える。

 主要な先進国では、安全と環境に関する法律があるので船舶解体のために莫大な費用がかかる。しかし途上国では安全と環境に対する規制が緩く、労働コストが安いので、船舶解体は利益の上がる事業となる。

 昨年、フランスは、500〜1,000トンのアスベストで汚染されていると主張する環境活動家らとの戦いの後に、戦艦クレマンソー号をフランスに引き帰らせた[訳注2]。フランスは同船のアスベストはわずか45トンであると述べた。


訳注1
訳注2


化学物質問題市民研究会
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