BAN 有害廃棄物ニュース 2006年9月14日
船舶解体に関する人権・環境団体プラットフォーム プレスリリース
人権・環境の12団体 ”有毒船”の解体を即座に中止するよう要求
最近のインドでの死亡と疾病の調査結果を受けて
”SSノルウェー号”の解体も禁止すべき


情報源:Toxic Trade News / 14 September 2006
NGO Platform on Shipbreaking - Press Release
12 Human Rights/Green Groups Call for an Immediate Halt on Scrapping of 'Toxic Ships'
Following Recent Findings of Death and Disease in India
- Prohibition must begin with 'SS Norway'
http://www.ban.org/ban_news/2006/060914_immediate_halt.html#i

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/
掲載日:2006年9月17日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/BAN/06_09_14_NGO_Platform.html


 【2006年9月14日(ブリュッセル、ニューデリー)】−インド最高裁によって設立された特別委員会による最近の調査結果[i]が明らかにしたインドにある世界最大の船舶解体場の数千人の労働者らが現在被っているアスベスト肺及び事故による死亡の大変な数を受けて、世界の環境、人権、及び労働団体の連合は、危険物質を除去するための事前浄化が行われていない船舶の開発途上国への及び開発途上国からの輸出及び輸入を即座に中止するよう要求した。
 彼らはまた、現在アラン海岸に係留されており、1,200トンのアスベストを含有していると推測される”SSノルウェー号”(訳注1)は解体を拒絶され同海岸から離れるべきであると主張した。

 ”SSノルウェー号又はその他の有毒船の解体を当局が認可すれば、それは国家が殺人を認可することと同等である”−とアスベスト禁止ネットワーク・インドの代表ゴパール・クリシュナは述べた。”それは貧しい人々にとって死刑の宣告である。”

 船舶解体に関するNGOプラットフォーム[ii]はまた、インド政府は有害廃棄物の国境を越える移動を管理するバーゼル条約は船舶及び船舶の構造物に含まれる物質には適用されないとする異常で不当な解釈を止めるよう要求している。そして彼らはインド政府に対し、船舶の輸入に先立ち事前浄化を求めるインド最高裁の船舶解体に関する命令 No. 657/95 とともに、バーゼル条約及びバーゼル禁止令を直ちに実施するよう要求した。

 ”インド政府が国際条約の義務を果たしていれば、多くの命と多数の被害を防ぐことができたはずなので、それをしなかったことは非常に残念なことである”−とバーゼル・アクション・ネットワークのジム・パケットは述べた。”この理由のためにできたのが有害廃棄物の開発途上国への廃棄に関するバーゼル条約とその禁止令である。”

 同プラットフォームは、労働災害による死亡と疾病の全ての被害者及びその家族に対する完全な補償と、船舶解体場の労働者とその家族のリスクと危害の真の程度を評価するために南アジアの全ての船舶解体場で独立の国際的な調査団により実施される包括的な健康と安全についての調査を求めた。

”最近の調査結果[i]は残念なことに、南アジアの船舶解体場で長年行われてきている惨劇について我々が述べてきたことの全てを立証している”−と船舶解体に関するNGOプラットフォームの調整者イングビッド・ジェンセンはブリュッセルで述べた。”今、犠牲者の肺の中に、そして多くの事故により証拠として示されている死亡と疾病は、犠牲者を放置している船舶産業界、腐敗した政府の責任であり、全て破廉恥な守銭奴の責任である。

連絡先:
Gopal Krishna, Ban Asbestos Network of India, in New Delhi, India: + 91 98180 89660
Jim Puckett, Basel Action Network, of Seattle, USA: +1.354.0391 (mobile), +1.652.5555 (office)
Ingvild Jenssen, NGO Platform on Shipbreaking, in Brussels, Belgium: +32 485 190 920


要求事項の概要
  • もし船舶のアスベスト、PCB類、その他全ての有害物質の事前浄化が行われていないなら、インド及び南アジアの船舶解体場での解体のための船舶の全ての輸出と輸入を直ちに中止すること。このことはバーゼル条約、バーゼル禁止令、バーゼル条約船舶解体ガイドライン、及びインド最高裁の船舶解体に関する命令 No. 657/95 に合致することである。

  • この中止措置は現在、インドのアラン海岸に係留されているSSノルウェー号に適用されること。

  • インド政府はバーゼル条約及びバーゼル禁止令は船舶及び船舶の構造物に含まれる物質には適用されないと主張することを止めること。

  • 船舶解体場の労働者とその家族のリスクと危害の真の程度を評価するために南アジアの全ての船舶解体場で独立の国際的な調査団により包括的な健康と安全についての調査が実施されるべきこと。

  • 船舶解体産業及び海運産業により死亡と疾病を被った労働者とその家族に十分な補償を与えること。

  • 補償と損害は、そのことに責任あるものによって支払われることを確実にするために船主及び解体主に法的措置をとること。


[i]:環境森林省長官プロディプト・ゴーシュの指示により技術専門家委員会の12人の委員により作成された最近の調査結果は先週、200ページの報告書として最高裁に提出された。一般的に保守的な委員会による同報告書は、胸部X線撮影で労働者の16%がアスベスト肺の疾病を持ち、年間の事故で1,000人に2人の死者という大変な数を示している。アスベスト肺は呼吸器系障害を引き起こし肺がんをもたらす。治療法はない。

[ii]:NGO プラットフォームは下記の団体からなる。
Greenpeace, the European Federation for Transport and the Environment, International Human Rights Federation (FIDH), Bellona, Basel Action Network, Ban Asbestos Network, Ban Asbestos Network India, Bangladesh Environmental Law Association (BELA), Young Power in Social Action (YPSA, Bangladesh), Corporate Accountability Desk (India), North Sea Foundation, International Ban Asbestos Secretariat


訳注1:
BAN 有害廃棄物ニュース 2006年8月8日プレスリリース/ブルーレディー 解体のためにアラン海岸に乗り上げ インドは船舶解体業者のビジネスのために国際法とインド最高裁の命令を無視し続ける(当研究会訳)



化学物質問題市民研究会
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