船舶解体に関するNGOプラットフォーム
プレスリリース 2006年7月26日

船会社に消費者キャンペーンを通告
有毒観光船 SSノルウェーに責任を取るよう求める

情報源:
Toxic Trade News / 26 July 2006
Cruise Line Called on to Take Responsibility for Toxic Cruise Ship
Consumer Campaign Against Company Threatened
NGO Platform on Shipbreaking - Press Release
http://www.ban.org/ban_news/2006/060726_cruise_line.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年7月29日
このページへのリンク:
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/basel/basel_shipbreaking_master.html


 【ブリュッセル、シアトル 2006年7月26日】 世界中の12以上の人権、公衆健康、及び環境の団体を代表する船舶解体に関する NGO プラットフォームは、2006年7月21日付書留配達郵便[1]で最後通牒を SSノルウェー(旧船名SSブルーレディ又はSSフランス)の元の所有者であるノルウェー・クルーズ・ライン(ノルウェー外洋観光船会社(NCL))社長コリン・ベイチに送ッたが、、その手紙の中で、同船を買い戻し、1,2000トンといわれるアスベストと量は不明の PCB 類、その他の有毒物質を完全に除去し、その船を再利用することを望む買い手に対し売ることができる状態にすることを要求した。この人権、公衆健康、及び環境の団体連合は、もし船会社が適切な行動を取らなければ長期的な消費者キャンペーンを行うと通告した。

 SSノルウェーは2003年にフロリダでエンジン室の爆発により損傷を受けた。ノルウェー・クルーズ・ライン(NCL)は同船をドイツに、次にはマレーシアに送り、そして今年の春にインドの船舶解体会社に売却した。有毒物質を大量に含んだこの外洋観光船は現在インドのアランの船舶解体用海岸に錨を下ろしている。アランの現場は広範な環境汚染と、事故や船内の有毒物質によるがんのために一日に一人は労働者が死亡するという劣悪な労働条件で有名なところである。

 ”この大きな観光船会社の環境責任が簡単にインドの最も貧しく必死に職を求める労働者達の上に投げ捨てられるということは許されることではない”−と NOGプラットフォームの担当者イングビルド・ジェンセンはブリュッセルで述べた。”現在、誰がこの船の財布のヒモを握っていようと、船内の有毒物質を安全に除去し、リサイクリング又は将来の再利用のために発展途上国に最適の条件で引き渡すことを確実にするための倫理的な責任はそのように長い年月、所有者として利益を得てきたノルウェー・クルーズ・ライン(NCL)にある。”

 同時に、NGOプラットフォームは、ノルウェー・クルーズ・ライン(NCL)及びその親会社であるスター・クルーズ社(SCL)は同船が2005年5月25日にドイツからアジアに売却された時に同船がスクラップされることを知っていたことを示すアメリカの証券取引所委員会の報告書を発見した後、ドイツ当局にに対し NCL と SCL に措置をとるよう要求した。

 その時に、彼らはドイツ当局に同船はアジアでスクラップにするのではなく、修理し改装することになっていると説明した。そのような虚偽の説明で国連バーゼル条約及び、先進国から発展途上国に有害廃棄物を輸出することを禁じたドイツの国内法をすり抜けた。[2]

 しかし、同船がアジアに到着すると、同船を買いホテル、カジノ又は博物館として利用したいと望むビジネスマンらの関心があったにもかかわらず、同船を改装しようとする努力は見られなかった。その代わりに、今年の初頭にインドからフランスに引き戻されたフランス航空母艦クレマンソー事件により信頼を失ったインドの船舶解体産業を生き返らせるために必死に廃船を求める船舶解体業者ハリアナ・グループに同船は売却されたと言われている。

 NCL と SCL は同船を輸出する前に汚染除去を行わず、ドイツからそしてマレーシアからS S ノルウェーを輸出して、その有毒物質をインドと地球上で最も貧しい労働者達に押し付けようとしたので、クレマンソーの時と同様に市民団体の間から世界的な憤りの火の手があがった。インドのこの船舶解体場はアスベストを適切に管理する施設を保有しておらず、PCB類を適切に分解処理するための技術を全く持ち合わせていない。

 SSノルウェーの船内の有毒物質の危険性については、船舶汚染除去産業SAS(SDI)社のCEO、ブリアック・ベイルバートからインド環境大臣への2006年7月16日付けの手紙によって再び脚光を浴びることとなった[3]。ベイルバートは手紙の中で、SDI は SSノルウェーが2005年3月にドイツのブレーメルハーフェン港に停泊中に技術チームによる検査を行い、エンジン室の爆発のためにアスベスト繊維が同船内の大気中に放出され実際に甲板を汚染しているので非常に懸念があるとSDIは表明したことを明らかにした。
 ベイルバートはさらに、SSノルウェー船内にカドミウム、クロム化合物、水銀化合物、ポリ臭化ジフェニールエーテル(PBDE)、ポリ塩化ビフェニル類(PBBs)、トリブチル類、重金属類、潤滑油、及び様々な有害物質がすることを検査により知りえたことをインド当局に警告した。

 さらなる詳細は:  Ingvild Jenssen、NGOプラットフォームまたは、
 Richard Gutierre、バーゼル・アクション・ネットワークまで

[1] Letter is available at: http://www.ban.org/Library/060721_demand_letter.html
[2] Report is available at: http://www.ban.org/Library/Star_Cruises_Deception_Report_Final.pdf
[3] Letter is available at: http://www.ban.org/Library/060716_letter.html



化学物質問題市民研究会
トップページに戻る