BAN 有害廃棄物ニュース 2006年2月27日
マレーシアは SSノルウェー号を追い返せ!

情報源:BAN Toxic Trade News / 27 February 2006
BAN: Send ship back!
by Sharidan M. Ali, The Star (Malaysia)
http://www.ban.org/ban_news/2006/060227_send_back.html

訳:安間 武 (化学物質問題市民研究会
掲載日:2006年3月1日


SS ノルウェーは昨年8月10日以来、クラン港に錨を下ろしている。
(Picture by Sharidan M. Ali)
 【2006年2月27日マレーシア】マレーシアは、外洋航行船SSノルウェー号は1,250トンの有害なアスベストを積載しているので、同船に与えたクラン港での停泊許可を撤回すべきである。

 この要求を出した国際的な有毒物質取引を監視するNGO、バーゼル・アクション・ネットワーク(BAN)は、世界で最年長、45年を客船として航海した同船に与えられた許可を撤回するよう港湾当局に働きかけている。
 同船は、その行き先は不明のまま、昨年8月10日以来クラン港に錨を下ろしている。この数ヶ月間、同船はアジアの船体解体会社に売却されたということが海運業界の間で話されていた。
 クラン港の港湾当局は、同船がクラン港に錨を下ろして以来、黙ってその動向を見守っている。

 ロイド・リスト・デイリーの報告によれば、バングラデシュ政府は既に、同船のアスベストが労働者に健康被害を及ぼすことを恐れて同船がバングラデシュで解体されることを阻止していた。同船は、主推進回転翼が破損したのでクラン港水域に停泊したと言われている。

 BANのジム・パケットは、マレーシアは同船が出航したのはドイツのブレーマーハーフェン港なので、ドイツに直ちに同船を呼び戻し修理するよう要求すべきであると述べた。
 ”ドイツは同船の所有主に対する司法権はほとんど持っていないが、彼らは同船の出航を許可したのだから、そしてバーゼル条約によれば、責任は輸出国にあるのだから、このような抗議は最も効果がある”−と彼は述べた。
 グリーンピースのウェブサイトによれば、SSノルウェーは現在、船名をブルー・レディーと変えており、ノルウェー・クルーズ・ラインに所属している。

 ジム・パケットは、マレーシアはバーゼル条約加盟国なのだから、出航した港に同船を戻す権利があると述べた。
 さらに、マレーシアは、有害廃棄物を先進国から開発途上国に輸出することを禁じているバーゼル禁止令を批准している。輸出の時に、船主は、同船は修理され化粧直しされた後に、海に浮かぶホテルとして使われると主張していた”−と彼は述べた。
 彼は、船主が同船を再利用し再出発する選択肢を追求しないことは残念だと付け加えた。
 ”それは、ユニークな財産であり、ノルウェーに戻って海上ホテルか、あるいはカリフォルニア州ロングビーチのクイーン・メアリー号と同様な他の関連目的に利用する努力がなされるべきだ”−と彼は付け加えた。

 ”しかし、我々の考えでは再利用目的が決まっても、ドイツが輸出国としての責任を逃れることはできない。我々はバーゼル条約はこの輸出に正に適用される。もし、ドイツが廃棄、廃棄までの保管、又は修理のために同船をマレーシアに輸出することに対しマレーシアから同意を得ることができなけれ、この船はバーゼル条約第9条に抵触する不法輸出となる”−と彼は、グリーンピースがこの件でドイツ政府を警告したと加えつつ、述べた。

 パケットは、どのような改修工事もアスベスト、PCB類、又はその他の有害物質を除去しなくてはならないのだから、ドイツはこの船の出港許可にはもっと注意すべきであったと述べた。
 ”アスベストは海洋環境に危険をもたらすことは証明されたいないが、浮遊するアスベストは海岸にたどり着き、近辺の住民に有害な影響を及ぼすかもしれない”−と彼は述べた。

 一方、グリーンピースの有害物質キャンペーン担当マーチン・ベジェクスは、通過国としてのマレーシアの権利は尊重されるべきであると述べた。
 ”船主は同船の最終運命について関連当局に報告しなくてはならない。例えばエジプトの場合は、航空母艦クレマンソーが国際的ルールのもとで廃棄物とみなされるべきであり、通過国としてエジプトは評価されるべきとする点で、グルーンピースに同意した。
 もし、船主がそれを拒否するなら、マレーシアはこの件に関する国際法及び国内法又は同意されたガイドラインを適用することができる”−と彼は述べた。

 代わりになるものとして、グリーンピースは現在、船舶解体に関する世界標準の作成に取り組んでいる。
 ”その目的は、3月20日にロンドンで開かれる船舶解体に関する新しい条約のための国連協議を考慮して戦力に加わることである。”



化学物質問題市民研究会
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