▼小説【小さな天使が眠るとき】
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†第5章(あらすじ)
衝 動
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ミサキへの腹いせとして、サーシャはあの男達によってさらわれていた。
夜になっても見つからない。
それでも必死になって探し回るミサキ。
やっとの思いで見つけだしたサーシャは、打ち棄てられた古い公衆トイレに首輪でつながれていた。
彼女の全身を覆う生々しい傷。
しかしミサキを愕然とさせたのは、それらの傷と共にあった引きつった火傷の痕とおびただしい虐待の傷痕。
それは主婦達の噂話を証明するものだった。
ミサキは激しく後悔する。
「また何か悪いことしちゃったのかな……」
そう言って悲しい表情を浮かべるサーシャ。
地面に落ちた雪は解けることなく積もりだし、徐々に地面を白く染めていく。
サーシャの冷え切った身体を抱き締めミサキは想う。
私達なんていらない存在なんだ。
死のう、この子と一緒に。
そんなミサキの腕の中で、サーシャが次々と意外な言葉を投げかける。
「目、閉じたら……そしたら……みんなに会える、かな……」
サーシャの願い、それは死に別れた家族に会うこと。
自分を虐待した挙げ句に殺そうとまでした人間達を恋い慕うサーシャ。
今ここで死んだら自分達は地獄へ行く。
その地獄には家族という仮面をかぶった悪魔達がいる。
そんな奴らにこの子は絶対渡せない。
なんとしても阻止しなければならない。
死への扉に手をかけていたミサキの中に、本能といっていいほどの激しい衝動が生まれる。
そして、ミサキは自分でも信じられない言葉を口にする。
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(あらすじ)
†第1章『絵を描く少女』
†第2章『壊れた家』
†第3章『裏切り』
†第4章『嘘の記憶』
†第5章『衝 動』
†第6章『雪の舞い降るあの坂を』
†第7章『哀しい再会』
†最終章『小さな天使が眠るとき』
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(C) Natural-Rain.