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▼小説【小さな天使が眠るとき】

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†第4章(あらすじ)
 嘘の記憶
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 なんとかスマホを取り戻し、男達から逃げ延びたミサキは、無意識にあの空き地へと向かっていた。
 最初の日と同じ土管の中で眠り再び目を覚ますと、サーシャはいつもの場所でいつものように絵を描いていた。
「そういえば最近、あのブチ猫見かけないね」
 何気に言ったミサキの一言。
 サーシャはミサキを壊れた壁の裏手へと連れて行く。
 そこには死んだ子猫の亡骸があり、そのお腹には、数日前に気紛れでサーシャに渡したハンバーガーが抱かせてあった。
「天国ではお腹空かせないように……」
 そう瞳を伏せるサーシャに、ミサキの怒りが爆発する。
 サーシャを突き飛ばし、チョークを踏みつけ、罵詈雑言を浴びせて丘を下りるミサキ。
 それから数日、誰もいない家の中で市販薬を飲み続けていたミサキは、死ぬ決意を固めるチャンスとばかり、近所の醜悪な主婦達の井戸端会議に耳をそばだてる。
 すると主婦達の話題が偶然サーシャのものになる。
 そこでミサキは彼女の過去を知る。
 彼女は自分が想像していたような裕福な家の子ではないということ。
 火事で家と家族を失っていたということ。
 それどころかずっと酷い虐待を受けていて、親に火を付けられ焼き殺されそうになっていたということ。
 そして今は天涯孤独の身となり、死んだ家族に会えると信じてあの丘で絵を描いているということ。
 そんな彼女に自分はどれだけ酷い仕打ちをしていたのか。
 愕然としたミサキはたまらず家を飛び出し丘へと向かう。
 息を切らせて空き地に着いてみると、サーシャの絵は完成していた。
 彼女の思い描く家族の姿。
 しかし肝心の彼女がいない。
 必死になって探し回るミサキ。
 そんな時、スマホの着信音が鳴った。
 それはミサキを襲った男からだった。

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(あらすじ)
†第1章『絵を描く少女』
†第2章『壊れた家』
†第3章『裏切り』
†第4章『嘘の記憶』
†第5章『衝 動』
†第6章『雪の舞い降るあの坂を』
†第7章『哀しい再会』
†最終章『小さな天使が眠るとき』

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(C) Natural-Rain.