4台のパワーアンプのリニューアル、デジチャンの交換という散財を経て、このところ構成、設定関係が落ち着きをみせており特段の変化というものがないのだが、それはそれで「全く進歩がない」ということの裏返しでもある。これでは遺憾な~ということもあり、上流部分となるPCオーディオ周りの環境を若干ながら手直ししてみることにした。
少し前に達人宅で徹底的なデジタルノイズ対策を施した音を聴かせていただいたのであるが、随分と聴かせていただいていた従来の音より一層の純度が高まっており、これは極限のオーディオの音ではないのだろうか、と思わせられる程のものであった。元より当方のものとは較べものにならない高いレベルなのであるが、これはもう音の次元が違う、、、と絶句するほと。御託を並べているだけで、PCオーディオ周りもまだまだやるべきことはできていないことを改めて痛感。(逆に言えば、PCオーディオでもここまでの音が出せる、ということでもある、、、)
当方のPCオーディオ環境はJPLAY Dual PC構成とVoyageMPDの二本立てとしている。
ファンレスPCの製作
を起点にある程度の
ノイズ対策
は実施してきたのだが、それは主として電源系に対する対策であって、「デジタル信号」への対応はS/PDIFへの
コモンモードノイズ対策
(ファインメットビーズ他)くらいしか行っていない。この辺りはどこまでやるべきなのか、明確には掴めていないのだが、「やればやるほど」音の純度が上がってくるようにも感じられる。
デジタル信号ラインにおける高周波ノイズ対策の場合、コモンモードノイズ対策としての
アモルファスコア
の使用が相当有効であることは間違いがなさそうなのであるが、これが案外と高価でもある。従い、まずはありもののフェライトコアで追加的なノイズ対策を行い様子を見ることとしたのだが、これだけでも存外に効果が実感できる。最終的には、USB DDCからデジチャンの経路にアモルファスコアで対策を実施したいとは思うのであるが、その効果を最大化させるために、その前にできることは無いか、少し考えてみた。
PCオーディオの構成・環境面であるが、
我が家の環境
ではVoyageMPD環境でもJPLAY Dual PC構成においても、NASに置いた音源を共通に使用している。JPLAYの場合Control PC上のMinim ServerからSMBにて音源の搭載されているNASにアクセスする、というやや変則的なスタイルである。これはVoyageMPD環境で再生させる場合、NASに置いた音源をCIFSマウントして読み込むやり方を採用しているためで、所謂Windows環境におけるファイル共有(=SMBアクセス)と同義のものである。また、そこで使用しているNAS自体は一般的なもの(オーディオ用と銘打ったものではない)で、やや処理速度も遅いという課題があった。NASそのものには素人考えてで実施できる電源系のノイズ対策やシールド、金属塊での挟み込み、などは行っているのであるが、この辺りのブラッシュアップをできぬものかと。
DELAやfidataなどの高価なオーディオ専用(?)NASを導入するというのが、オーディオとしては王道とは思うのだが、それではちょっと面白くもない気もするので、敢えて単体としてのNASを排除することを考えてみた。つまり、「PCサーバー」をコアとしたファイル共有でNASを代替するのである。JPLAY Dual PC構成でControl PCとして使用しているのはWindows Sever 2012 R2ベースのマシンで余分なプロセスはほとんど動いておらず、またNAS搭載のCPUに比せばパワーも相当あるので、これをファイルサーバーとすることが処理のパフォーマンスを考えれば一番理に適っているようにも思われる。そこで、Control PC上に音源HDDを搭載し、「Dドライブ」としてSATA接続によるアクセスを行わせる。VoyageMPDにはこのControl PC上のDドライブ音源フォルダーに対してCIFSマウントを行ってしまえば良い訳だ。これでNASは不要となる。
(注記)
メインPCからの音源データの送り込みなどの管理作業はファイル共有の仕組み故、当然ながらNASと同等にできる。また、OSがWindows Serverであることもあって、起動・終了は数秒という爆速で全くストレスがない。
さて、音の観点から言えばNAS vs PCサーバーの比較なのだが、本当に高価なオーディオ用NASって必要なんだろうか? と思わず自問してしまう。VoyageMPDのケースにおいては明らかに低速NASを使うよりも、このPCサーバーの方が良いと感じられる。ちょっと対応が遅かったかも、とやや反省。NASというものは基本的にどんなに頑張っても実体はスモールPC(多くはLinuxベースのOSで動いている)であり、SMB(ファイル共有)あるいはDLNAでアクセスさせる仕組みだ。製品としてはそれに
各種の音質向上策
(電源系ノイズ対策、振動対策などなど)を施してオーディオ用としているに過ぎない。もちろん当方が素人レベルであれこれ考えて行っている対策とプロが考え実施しているものとは同一ではないのだが、、、いずれにしてもアクセス速度は大幅に向上していることは実感できるし、音的にも何ら不満はない。ファイル共有の機能だけであれば、Windows Serverの標準機能で対応できるし、DLNA環境が必要ならMinim Serverなどの対応アプリケーションをインストールすれば良い訳だ。
JPLAYの場合はDLNAサーバーが必要なのでMinim Serverを使用する。そしてControl PC上のMinim Severに音源ディレクトリとして上記と同じDドライブ上の音源フォルダーを指定する。(音源ディレクトリにNASを指定する方が逆に特殊で、こちらの方法が一般的なものである)Minim Server自体はNAS上のアプリケーションソフトウエアとして採用されているケースもある。なお、Control PC上で稼働するMinim ServerはUPnP Server(注記)として至れり尽くせりの機能を持っており(しかもFree Software)、更にはSoXを呼び出して自在かつ高精度ななサンプルレート、ビットレートのコントロールができるので、これはいろいろと実験することの多い当方にとって大変ありがたいもの。これを稼働プロセスの極少ないSever OS環境下で動かすので、この部分のブラッシュアップはこれ以上の対応策などはちょっと思いつかない程。
(注記)
汎用的なメディアサーバー(=NASの代替)としてJPLAYのみならず、一般的なネットワークプレーヤ等からも利用可能となる。将来的にネットワークプレーヤを導入したとしても別途NASを用意する必要はこれで無くなったかもしれない。
現状は既存のHDDによる実験であるが、これを更に一歩進めてSSD化してみたい気もする。一方で、新たな
ハイブリッドHDD
(8G程度のフラッシュメモリとHDDを組み合わせたもの)も登場してきているので、発熱を考慮して2.5インチサイズのこのタイプを使ってみる手もあるかな、と考えている。HDDとSSDに関して「音の違い」があるという風評もあるのだが、、、
なお、思うことは、デジタル再生環境で音質向上を追求することは思った以上に難しくもあり、自分的にもその手法が確立できていない。ノイズ対策に関しても総合的には効果を上げていることは実感できるのだが、一つ一つの要素の吟味が不十分な状態で、どの部分がより効果的であるのか、どの部分がそれほどでもないのか、そういう観点からの整理はまだまだ出来ていない。だが、音質の観点、自由度の観点、費用対音質の観点などなどから「デジタルトランスポート」という機能に於いて、PCオーディオはそれに類する機器との比較で何ら引けを取っていないと思う。Lumin辺りを導入しちゃえばいいのに、と内心思いつつその決心がついていないのはやはりこの辺りのことがあるからなのかもしれない。
4way構成の設定備忘録(2018年7月29日更新)
項目 |
帯域 |
備考 |
Low |
Mid-Low |
Mid-High |
High |
使用スピーカー ユニット |
- |
Sony SUP-L11 |
FPS 2030M3P1R |
Sony SUP-T11 |
Scan Speak D2908 |
- |
スピーカーの 能率(相対差) |
dB |
97 (+7) |
90 (0) |
110 (+20) |
93 (+3) |
|
DF-55の 出力設定 |
dB |
0.0 |
+1.5 |
+2.5 |
+3.0 |
|
マスターボリューム アッテネーション |
dB |
0.0 |
0.00 |
-10.0 |
-4.0 |
|
パワーアンプでの GAIN調整 |
dB |
-3.0 |
0.0 |
-12.0 |
-3.0 |
|
スピーカーの 想定出力レベル |
dB |
94.0 |
91.5 |
90.5 |
89.0 |
|
クロスオーバー 周波数 |
Hz |
pass ~ 224 |
250 ~ 800 |
800 ~ 3550 |
3550 ~ pass |
Low Pass ~ High Pass |
スロープ特性 設定 |
dB/oct |
flat-24 |
96-24 |
96-96 |
96-flat |
Low Pass High Pass |
DF-55 DELAY 設定 |
cm |
-8.0 |
+25.0 |
-35.5 |
+25.0 |
相対位置と 測定ベース |
極性 |
- |
Norm |
Norm |
Norm |
Norm |
VoyageMPD 環境下 |
DF-55 DELAY COMP (Delay自動補正) |
- |
ON |
自動補正する |
DF-55デジタル出力 (Full Level保護) |
- |
OFF |
保護しない |
|