オーディオ日記 第42章 枯淡の境地を目指し(その13)2018年8月13日


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NASの代用としてPCサーバーを所謂メディアサーバーとして使うスタイルが当方のVoyageMPD環境にぴったり嵌るようで、ここしばらくはVoyageMPDにて音楽を聴いてきた。こうなると柳の下の泥鰌を狙いたくなるのが人間心理か、、、

もうひとつのPCオーディオ環境であるJPLAY Dual PC構成にても、何らかのブラッシュアップができぬものかあれこれと頭を捻ってみるのだが、そうそう良いアイデアが転がっている訳ではない。元々VoyageMPDとJPLAY Dual PCを並存させるためにあまり合理的ではないNASの利用環境を作ってきてしまった経緯もあるので、音源を共有するというNASの機能を忘れて、JPLAYとしての構成と環境でベストにしてみようかと考えた。

ひとつには、NASに続いてHUBの排除である。JPLAY Control PCからNASにアクセスさせていた従来の構成ではHUBが必須なのだが、NASの利用をやめてしまえばHUBは必須ではなくなる。ただし、iPADからのリモート操作は必須条件なので、ルーターとの接続は残してWi-Fiアクセスポイントとはつなげて置く。世には高価なオーディ用HUBもあり、これらのHUBを介すると直繋ぎよりも音が良くなる、という評価もあるのだが、それを導入するモチベーションは働かない。

JPLAY Dual PC構成ではControl PCにて2つのネットワークアダプターを使用して、Control PC~Audio PC間は専用ネットワーク化するのであるが、ここは単純な直接接続である。この構成をよ~く見ながらあれこれ思案してみると、オーディオ用NASとしてDELAやfidataがふたつのネットワークアダプターを持ち、ひとつはネットワークプレーヤー側との接続にしている構成と良く似ている。ただしこちらの場合はあくまでもHUB機能を内蔵しているだけで、同一のネットワークである。ネットワークプレーヤーがメディアレンダラーとして動作する必要上、iPADなどのメディアコントローラーと通信しなければならない所以である。(JPLAY Audio PCではメディアコントローラとは通信しない)

JPLAYの場合は無線LAN等を一切使用せず、2台のPCを直繋ぎとして操作、再生させる方法ももちろんあるのだが、この場合は操作する方のPCにモニターだのキーボード、マウスが必須となる。古来モニターを動作させるためのプロセスの弊害から所謂ヘッドレス(モニター無し)の構成が流行った背景もある。操作する、という観点からはいずれかを選択しなければならないのだが、当方はiPADによる楽チンリモコン操作からは最早逃れられない、、、

さて、このJPLAY Dual PC構成におけるネットワーク部分であるが、更に何かやることを無いかつらつら思案しながらfidataの製品詳細等を眺めていると、NASであっても100Mbpsと1Gbpsの動作速度の切り替えが出来るようになっている。実はそこではたと思い当たった。当方のネットワークアダプターは無造作に1Gbpsのままなのである。かって、HUBの音質評価において、100Mbpsの方が1Gbpsのものよりも音が良いのではないか、という意見があり、実際に100MbpsのHUBを使用されていた方も多い。

これは迂闊であったかもしれない。もともと音楽データの伝送においてはCD音源ならば2.2Mbps程度、192K/24bit音源でも8Mbpsを越える程度にしか帯域を必要としないので、1Gbpsで通信させる必要は無い。逆に高速通信させることによるプロセスオーバーヘッドやLEDランプの点滅(この点についてはDELAやfidataのように点滅させない、という仕組みはPC環境ではできない。是非ともやってみたいのだが)の弊害もあるであろう。また、ネットワークアダプターに関してはいろいろなオプション機能も活かしたままにしてしまっているので、このあたりも100Mbpsへの減速と合わせてどうせならさっぱりと整理してしまおうと考えた。

ただし、この対応はControl PCとAudio PCを接続しているネットワークアダプターのみ。iPADと通信する方のネットワークアダプターは今まで通り1Gbpsとしておく。これはiPADとの不定期な通信において瞬間的にトラフィックが上がることも考慮している。逆にCotrol PCとAudio PC間のネットワークトラフィックは極めて平準化されており100Mbpsに減速しても再生中のトラフィック変動は起こらないという点には変わりない。この部分の仕組みはJPLAYのひとつの特徴と云えるであろう。

さらに、トラフィックを減少させるため、CDリッピング音源のMinim Server上でのアップサンプリング(176.4K/24bit)をやめ、24bit化のみ行わせることとしてみた。アップサンプリングはデジチャンへのPCM信号の入力を176.4K/24bitとしたいがために行っていたものであるが、これは実験として行い様子を見ようかと。(気分的には24bit化は最低限実施させたい)

長々と書いたが、基本的に今回試していることは、

1.HUBを使用しない構成とする。
2.Control PC~Audio PC間の通信速度を100Mbpsに減速する。
3.ネットワークアダプターの不要な通信オプションをdisableにする。
4.CDリッピング音源はアップサンプリングせず、24bit化のみ行う。

の4点である。

これらの対応による「音の差」が一聴にて顕著である、ということはもちろんない。全て遣り尽くしている訳ではないのだがPCオーディオ周りに関してはそれなりの対応、改善策を採って来ているのでその総合的な効果で見ていかねばならないと思う。今後じっくりと聴き込んで評価して行こうとは思うのだが、何となく音に落ち着きが加わったようにも感じられる。今回行った点のひとつひとつのファクターを見極めることはできていないのだが、減速した効果は何となくあるかなと考えている。

さて、ここまでやってみて、評価的には何とは無く自己満足でもあるのだが、さらに、、、と考えてみると、176.4Kへアップサンプリングしなくなったので、デジタルイコライザが挿入できることに気が付いた。(当方のデジイコはDSP処理が96Kまでしかできないため)もちろん、ハイレゾ音源(含むDSD音源)への対応を考えると恒常的にデジイコを使用するためには、これらの音源も最大でも96KHzへダウンコンバートしなければならない、という足枷が存在する。その点はままよ、ということで、早速デジイコを挿入し、44.1K/24bitの送り出しで聴いてみた。

デジイコに関しては、いつも期待を持ちつつ結果裏切られる、という循環が続いており、このところはもう使うことはなくなっていたもの。ただ、環境もいろいろと変わり、デジタル周りの電源系ノイズ対策、信号系ノイズ対策も行ってきているので、僅かな期待が頭をもたげて来た訳だ。せっかくなので、いつも測定において山谷が現れるとわかっている部分に少量のパラメトリックイコライジングを施して、さあ試聴。おお、案外悪くないんじゃ?周波数レスポンスのバランスはやはり改善されているようにも感じられ、その点の安心感はある。だが、しばらく聴き続けていると何となくもやもやっとしてきて居心地が悪くなる。音楽の活き活きとした部分と言うのか、儚く脆い響きの部分が失われてしまっているような気がして聴き続けられなくなる。音楽の繊細さやチャーミングさ、可憐さと引き換えに周波数バランスを整える、ということは当方の感性では出来ない、、、

ということでデジイコ採用案はあえなくボツ。96KHz上限のデジイコを使わないのであれば、やっぱりアップサンプリングしてもいいかなと、44.1KHz/16bit音源の対応を元に戻す。う~ん、感覚的にはこちらの方がやはり好みかも、、、論理的にはアップサンプリングによって「音が良くなる」ということは基本的にない、と理解しているのであるが、伝送トラフィック、デジチャンでのDSP処理、D/A変換とそこには微妙なものがあるのかもしれない、、、

結果として今回行った上記4点は3勝1敗で、1~3の対応のみ継続させて様子を見ることとした。PCオーディオであってもオーディオとしての難しさはやはり変わらないな~実感した次第でもあるのだが、さてこれらの対応を行ってきた自家製PCサーバーとオーディオ用NASとの勝負をさせねば最終的な判断はできまい、と考えている。NASに関してはあれこれと研究してきたつもりであり、メーカー製品については試聴会等でそれなりの評価はしてきているのだが、自宅環境での真っ向勝負がいずれ必要であろう。


4way構成の設定備忘録(2018年8月13日更新)
項目 帯域 備考
Low Mid-Low Mid-High High
使用スピーカー
ユニット
- Sony
SUP-L11
FPS
2030M3P1R
Sony
SUP-T11
Scan Speak
D2908
-
スピーカーの
能率(相対差)
dB 97 (+7) 90 (0) 110 (+20) 93 (+3)
定格値
DF-55の
出力設定
dB 0.0 0.0 +2.0 +2.0
Analog Att
OFF
マスターボリューム
アッテネーション
dB 0.0 0.00 -10.0 -4.0
各チャネル毎の設定
パワーアンプでの
GAIN調整
dB -3.0 0.0 -12.0 -3.0
 
スピーカーの
想定出力レベル
dB 94.0 90.0 90.0 88.0
合成での
出力概算値
クロスオーバー
周波数
Hz pass

280
280

900
900

3550
3550

pass
Low Pass

High Pass
スロープ特性
設定
dB/oct flat-48 96-48 96-48 48-flat Low Pass
High Pass
DF-55 DELAY
設定
cm -12.0 +25.0 -40.0 +25.0 相対位置と
測定ベース
極性 - Norm Norm Norm Norm VoyageMPD
環境下
DF-55 DELAY COMP
(Delay自動補正)
- ON 自動補正する
DF-55デジタル出力
(Full Level保護)
- OFF 保護しない


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