さて、ファイナル・ウエポンであるS/PDIF用のフィルターが揃った。これは ケンさんに製作 いただいたものである。

デジタルケーブルに追加するスタイルで使用：


PCオーディオが再生系のメインとなっている現状、デジタル周りでできることはとにかくいろいろとやってみようということの最後（？）ともいうべきワン・ピース。これはPCM信号に対するコモンモードノイズのフィルターである。（信号そのものを減衰させてしまうおそれのあるディファレンシャルモードのフィルターではない）　素材としてはファインメットとフェライトコアの組み合わせ。中が見えないのであるが、フェライトに関しては4連という構成でS/PDIF信号に含まれるコモンモードノイズをなるべく抑えるという仕組みのもの。デジタルケーブルは銀単線のものであるが、これに追加する形でUSB DDC側に挿入した。

PCオーディオのいろいろな施策に取り組んで以来、各種のノイズ対策が思った以上に効果を上げることを実感しており、これもやりたいと思っていたことのひとつ。従来のノイズ対策は基本として電源線に対するものが中心で、S/PDIF信号系にフィルターを入れるのは今回が初挑戦となる。過去にはPCM信号用のアイソレータを試したことはあるのだが、ハイレゾ信号に対して若干の不安定さがあることから定着はしていなかった。

比較試聴はサランネットをはずした：


単純なフィルターであるので、特段の慣らし等は必要ないと思いそのまま比較試聴を開始。なお、厳密性を多少なりと確保するためにスピーカーのサランネットは全てはずした状態で実施した。多様な音源に対して試聴のメモをとりながら行ったのであるが、メモ内容は必ずしも首尾一貫したものにはならなかったかもしれない。

・音量感が減少したように感じる。
・音像を遠めに感じる
・雑味が少なく空間を感じる
・高域は柔らかい
・低域は引き締まって固い感じ
・低域はより明確になる
・ひとつひとつの音に芯がある
・生々しさは少し落ちる
・ぎらっとした感じは少ない
・前後の距離感が増したような感じ
・音の浮遊感は減る
・繊細さは後退したようにも感じる
・ホールエコー、響きが少し遠目？
・気配感、実在感はある
・曖昧さや滲みは減じる
・オーディオ的高域感は減じる
・音が太い
・音色が少し変わる、こちらの方が自然なのか？
（順不同、メモの原文のまま）

このフィルターを通すことによって何らかの音へのインパクトがあるとすれば、オシロスコープ等でのPCM信号の波形の変化や信号に含まれるノイズレベルの減少度合いを厳密に測定し検証しなければならないし、それはそれでやってみたいことだと考える。ただ原則としてはやはり「なるべくノイズの影響を減らす」ということは取るべき道であろう。

一方で多少の音量感が変わったことの相関かもしれないが、通常のリスニング音量より一段階上げた状態にすると、音楽の表情に俄然冴えをみせるところがあるのだ。音量の変化は必ずしも質的な変化ではないし、音量の大きい方が「良く聞こえてしまう」という効果もあるので、それで単純には良くなったとの判断は急いで出してはいけないと思う。だが、デジタル音源に時に感じる音楽の雑味のようなものは確かに小さくなっているので、さらに聴き込んでみようと考えている。


4way構成の設定備忘録（2017年1月23日現在）