オーディオ日記 第35章 賢者の導き(その 2) 2015年 1月24日


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念願のFlat Panel Speaker(FPS)をついに導入することができた。このFPSをお借りして テスト ならびに 評価 したのはかれこれ一年近く前になるが、その前後には PARC-L11Accuton などを所謂至高のユニット達をとっかえひっかえしてミッドローを加えた4wayへの移行を模索してきた。3way構成との比較も随分と行い方向性は見出せてはいた。しかしながら、4way構成にて必要となる8chマスターボリュームの調達目処がたたないことから二の足を踏んでいた。

Flat Panel Speaker(まだエンクロージャは用意できていない):


永い年月を経てオーディオシステムから再生される音を評価、判断することは自分ではそれなりにできるようになったとは思う。一方で本当に良いと納得するような自分のオーディオシステムの音を作り上げることはまだまだできていない。いろいろな方のシステムを聴かせていただき、音の良いオーディオとはこういうものだ、と判ってきてはいる。ただ、その良い音を自分のシステムで出せているか、と問えば「否」である。出来ていないその理由はおそらくたくさんあるのだろうが、どのようなステップを踏み、積み上げて行けば、求めようとするその音に近づいていけるのか、そのステップが明確に見えているとは云えないのだ。従い、いろいろと試行錯誤、チャレンジを続けてはいるものの、それが単なる妄想の繰り返しであっては理想には近づけない。

デジタル音源の再生においてここしばらく悩んできた点は思わぬところにボトルネックがあった訳だが、何かがおかしい、という感覚は当たっていたようだ。ただ、その原因・理由が追求しきれず堂々巡りしていた自分が少し情けない。これにはやはり多少の思い込みもあって、この部分は確認済みなので大丈夫、という落とし穴にはまって原因を他の要素に求めてしまっていたことが大きなポイントかもしれない。

理想の「マイベストサウンド」を追い求めるならば、最早時間的に躊躇していることはあまりできない、という焦りも少し出てきた。また比較試聴のために同じ音楽を連続して聴き続けるのは苦痛にもなってきた。良い音はプライスレスであることは充分理解している。必要な手当てはしっかりとしなければ小手先の対応では理想に近づけないのも道理なのだ。ならばやるべきことはやらざるを得ない、、、

全体レイアウト:


まだエンクロージャの手配できていないので、バラック仕立ての簡易スタンドにて調整を開始している。現在借用中の Scanspeakのツィータ (R2904/70009)を含めた構成で、

1.LOW    SONY SUP-L11     ~250Hz
2.MID-LOW  FPS          250Hz~1KHz
3.MID-HIGH SONY SUP-T11    1KHz~4KHz
4.HIGH   Scanspeak       4KHz~

という受け持ち帯域である。奇しくもミッドロー以上のユニットは2オクターブづつ受け持つような形になっている。ツィータも実効16KHzくらいまでであろうと思うので、こちらも4KHzから16KHzあたりの2オクターブと見て良いだろう。各ユニットの能力からすればかなり限定された周波数帯域である。当面は各ユニットの性格を見極めるために-48dB/Octのスロープ特性としているが、音の溶け合い状態を見て、もう少しなだらかなスロープ特性を試して行きたいと思う。送り出しはBug HeadのInfinity Blade 4.25(32bit版、最新版は4.26)とJAVS X-DDCの組み合わせで、アップサンプリングはせず、ノーマル仕様のGreenを使用している。

さてさて、肝心音であるがとても素直である。Scanspeakのツィータを4KHzから使用して、楽器の倍音成分の再生はこのユニットに任せている効果もあるのだろうか、高域の抜けが気持ちよい。また、FPSの受け持ち帯域が250Hz~1KHzなので、女性ボーカルの帯域(200Hz~800Hz)をシームレスに再生できていることもこの素直さ、自然さに繋がっていると思う。ウーファー部分は低域の支えをしっかりとさせるために従来の設定よりはレベルを少し上げてあるのだが、これにより音楽のピラミッドバランスがうまく構成されているようだ。また、何より特徴的と思うのはFPSの音の浸透力の高さ。音量を多少絞っても細かい音が埋没せず音楽を聴いている満足感を失わない。このFPSというユニットはホームオーディオ用としては現状全く一般的ではないのだが、そのポテンシャルは比類がないと思う。ちょっと自己満足しすぎかもしれないが、やはりFPSを加えて4way化することの効果も大きいようだ。また、従来はリボンツィータとホーンドライバーを9KHz辺りでクロスさせて使っていたのだが、ここが4KHzになっていることもホーンドライバーの挙動に良い意味での影響を与えていると思う。Scanspeakのツィータはお借りしているものなので、同様の使い方ができるユニットが早急に欲しくなるのはこれまた人情というもの。こちらも急ぎ手配したので到着が待ち遠しい。


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