オーディオ日記 第35章 賢者の導き(その3) 2015年 1月31日


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待ち望んでいたツィータがやっと到着した。 Scanspeak D2908/714000 である。このユニットは手元に来たばかりなのであるがツィータケースの製作の為に本日Woody&Allen工房へ送り出す予定。しかし、その前にどうしても音を聴いてみたくなるのも人情というもの。全くの裸状態なのであるが、とにもかくにも音出しをしてみた。最初は30分程度ツィータだけ鳴らして謂わば暖気運転。その後に他のユニットを加えて3wayにて音楽再生を開始。クロスオーバー周波数、出力レベルなど設定は借用中のScanspeakの ソフトドーム とまずは同じでスタート。

裸状態での試聴(右側はお借りしているソフトドーム):


その音には「参った!」のひと言。自然かつ素晴らしい音の浸透力に、最初からもはやノックアウト状態となった、、、

楽器の倍音成分を主に受け持たせる為に4KHz辺りから使用できるツィータをあれこれと探し、このツィータにするか、Accutonの30mmセラミックドームツィータ C30-6-358 にするか最後まで悩んでいた。実のところ、どちらのユニットも今まで一度も聴いたことがないのだ。Accutonであれば25mmのセラミックドームツィータ(C25-6-158)、Scanspeakであればilluminatorシリーズのベリリウムツィータ(D3004/664000、4Ω仕様)についてこれを聴くという貴重な機会はあって、どちらのユニットからも深い感銘を受けていたので、どちらを選んでも間違いはないという感触はあった。ユニット選択というのはいつも運命的な出会いを感じるのだが、聴いたことはなくても、深く心にささるものがあれば舞台から飛び降りられるのだ。最終的には99% Pure Berylliumの振動系を持つこのScanspeakで冒険することに決めたのだが、このツィータに関しては比較的新しいものらしく、日本で販売しているところや参考となる日本での使用例はインターネット上では見つけられなかった。唯一この サイト での製作記事が参考となった程度。それだけに期待もあれば不安もあった。

ベリリウムについてはその毒性もあり世の賛否もあるのだが、やはりベリリウムダイアフラムによる音のアドバンテージは厳に存在すると思う。ゴトーのSG-160BLならびにエール音響の1750DBEといういずれも日本が誇る至高のユニット達もベリリウムのダイアフラムなのだが、それぞれmilonさん、audiofunさんというオーディオ盟友とも言うべき方々がお持ちで、良く聴かせていただいていることもあってベリリウムの音の明晰さ、のびやかな質感は充分に理解できていると思う。また今まで使用してきたPT-R9というパイオニアのリボンツィータもベリリウムダイアフラムであったことも心理的には関係があるかもしれない。

しかしながら、PT-R9は4KHz辺りから使用することはできず、実用的には8~9KH以上を受け持たせることが最適である。このため、今回チャレンジしたいことにはどうしても適合しないのだ。一般論的には4インチダイアフラムのホーンドライバーでも3wayの場合は7~8KHzあたりをツィータとのクロスオーバーにすることが多い。もちろんこれで充分に魅力的な音は出せる。しかし、ホーンドライバーには基音部分だけを受け持ってもらい、倍音成分はほとんどツィータの担当として、限りなく自然かつ透明な音を実現したいと夢見ているのだ。このツィータユニットと先に導入したFPSをSONYのウーファー、ドライバーに加えて4wayとすることになるのだが、それぞれがうまくなじむのか、音としてまとまるのか、全く未知数である。現時点ではまだエンクロージャなど環境が整わず、悪戦苦闘の日々は始まっていないので夢だけが先行している状態なのだが、期待と違わない片鱗を聴かせてくれたことには何より勇気づけられる。


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