監督はうまくて脇役の事情も満遍なく語られていてね。それが伏線にもなんにもなっていないんやけど、人間を描いているというか、人の縁とか絆とかがわからんと見ててもどもならんからな、この映画。語り口がうまいな。刑事のひとりは長男をベトナム戦争で亡くし、もうひとりの刑事モーガン・フリーマンはとうとう子供をあきらめて養子をもらう事にしたと言う。ダリルの父は足が不自由でお前の母さんは冷たいと息子に愚痴る。「思ったようにいかないのが人生やねんね」というのが、しみじみわかる趣向となっている。
その中でも実に印象深かったのがアルド(ジェームズ・ウッズ)。彼は妹のリンダ(パメラ・リード)とダリル(ウィリアム・ハート)を結婚させるというプランを持っている。その理由というか夢というのが
「クリスマスに(ダリルの)家を訪れたら『アルドが来た!』ってみんなが喜ぶんだ」・・・・・・・・・(肩ががくんと落ちた)
ちびさぼの同級生に臨終の際に家族みんなに「おばーちゃん」って言ってもらうのが夢ってな子がいるが、相通じるものがある。いや違うな、人をあてにしてはあかんやろー。自分の足で立てー。せつな過ぎるー。
という訳でなめらかな名優のウィリアム・ハートよりもごっつんごっつんしたジェームズ・ウッズが記憶に残りそうな映画であった。しかし「目的が手段を正当化するわけではない」というのが言いたかった事なのだろうか? ベトナム戦争とか?