2002年8月の映画  戻る


ピンポン




2002年 日本 114分
監督 曽根文彦
原作 松本大洋「ピンポン」
脚本 宮藤官九郎
出演 窪塚洋介(星野裕/ペコ)/ARATA(月本誠/スマイル)/サム・リー(孔文革/チャイナ)/中村獅童(風間竜一/ドラゴン)/大倉孝二(佐久間学/アクマ)/竹中直人(バタフライジョー)/夏木マリ(田村オババ)
メモ 2002.8.31 心斎橋シネマドゥ
あらすじ
ペコ(窪塚洋介)とスマイル(ARATA)は幼なじみ。ふたりとも片瀬高校の卓球部員だが、ペコはいつも部活からふける。「この星の一等賞になりたいの、卓球で俺はっ!」という割には日々の努力をしたがらないペコ。才能に寄りかかっているってヤツでしょうか。スマイルは「卓球は死ぬまでの暇つぶし」とつぶやき、見た目はどちらもまったく熱くない。ところが神さまは見捨てない。この不完全燃焼なふたりを熱く燃えあがらせるため、3人がつかわされる。
感想
映画を見終わって原作漫画を読みたくなった理由は3つ。
ひとつは映画を観ていると時たま背筋がゾクッとするセリフに遭遇したため。バタフライジョーとオババのシーンに多い。原作も読み手にハズカシイ思いをさせるのか知りたかったから。原作にはそういう所はなかったです。二つ目はラストは原作どおりか知りたかったから。ちょっと哀しい。三つ目は映画では高校生5人の親は影すらまったく感じさせず「あんたらは木の股から生まれたんかい?」ってな展開で原作もそうなんかなと思ったもんで。

原作を読み終わって今思う事は、この映画は原作を越えなかったなって事かな。ところが意外なことに漫画以上にカルトなんですよ、この映画。「ウォーター・ボーイズ」が「異色なスポーツを題材にしながら外向きの明るい青春映画になっている」のに対し「とてもポピュラーなスポーツを扱いながら内に内に向いた個性的な映画」に仕上がっている。ドラマよりも試合のシーンに重心を置いたせいかな。
文句を言うなら、星野が海に沈むエピソードは残した方がよかったと思う。そのためにARATAの月本がよくて、天真爛漫な星野がいささか損している。そしてバタフライジョーは竹中直人よりも柄本明の方がよかったと思う。
おすすめ度★★★★
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みんなのしあわせ−13− La Comunidad
    2001年度ゴヤ賞特殊効果賞

2000年 スペイン 106分
監督・脚本 アレックス・デ・ラ・イグレシア
脚本 ホルヘ・ゲリカエチェヴァリア
撮影 キコ・デ・ラア・リカ
製作 アンドレス・ビンセント・ゴメス
出演 カルメン・マウラ(ジュリア・フリア ゴヤ賞主演女優賞「神経衰弱ギリギリの女たち」)/エドュアルド・アントゥニャ(ダース・ベーダ・チャルリ)/エミリオ・グチエレス・カバ(管理人エミリオ ゴヤ賞助演男優賞)
メモ 2002.8.16 レンタルビデオ
あらすじ
ピンクのスーツに身をつつみケータイでやかましくしゃべっているアタシは、ジュリア・フリア。3ヶ月だけ不動産会社の契約社員やってんのよ。今日は年代物の分譲マンションを若夫婦に案内したんやけれど、その値段の高さに逃げてしまって。でもこのお部屋ってマンションの見かけに比べてとってもよくない? こんな部屋に住めたらええやんなあ。今日一晩だんなと過ごしちゃおうかな。後片づけちゃんとしたら誰にもわからへんて。だんなはまあ愛しているんやけど、ちょっとうだつがあがらない。前の会社をリストラされて今日の電話では酒場の用心棒になるんやって。仕事帰りにだんなが来たんやけれど人の部屋ってので落ち着かへんみたい。気が小さいねんから。アタシは平気やけど。ロマンチックな気分だしてウォーターベットに転がったら上からゴキブリがザー。天上の割れ目から落ちてきたみたい。
次の日上の6階の部屋を消防隊に見てもうたら、ゴミだらけの部屋の中に老人が死んでんの。マンションの管理人はディズニーランドに遊びに行っていてへんっていいながらマンションの住人達が好奇心いっぱいに様子を見ている。なんかあんのかな。遺体を運ぶ途中、老人の財布が落ちてパッパしてんねアタシ。落ちてたもんやねんからえーやんね。財布のお金はもう死んだ人にはいらへんねんからアタシがもらっとくとして、他にジグソー・パズルみたいな紙がはいってんの。なんじゃらほい? 
うとうとTVを見ていたら床磨きのコマーシャルになって、よくみたらチェス盤みたいな床ヤン。あのジグソー・パズルって床を示してるんちゃう!・・・・ 

あわててジュリアが階上の部屋に駆けつけ床をひっぺがえしたら、そこにはビニール袋に入れられた紙幣がザクザク。あれはお宝の地図だったのだ。数えたら3億ペセタあって。ところが、有頂天のジュリアの前に立ちはだかる住民達。20年前に老人があてたスポーツくじの賞金をずっと狙っていたのだ。みんなで見張りながら待っていた。正気やないでー。あの手この手でマンションを抜け出そうとするジュリア。苦戦しているジュリアの前に現れたのは孤立無援の姫を助けるでぶっちょのダースベーダだった。(なんでダースベーダが姫を守るねんっとつっこみ入りますが、ジェダイの騎士よりも魅力的なんですね。顔も隠れるし。)
感想
主人公のジュリア・フリアがあっぱれなぐらいの嘘つきで、笑った。マンションの住民達が「ひとりじめするな。みんなで分けよう。」と言ってもいっさい耳をかさない。何故なら「お前は自分の事しか考えていないだろう。自分さえしあわせならいいんだろう。俺達(マンションの住民)は違う。共同体なんだ。」と言いながらそれぞれが「ひとりじめしてやる」と思っているのがわかっているから。それは自分がそうだから。

イグレシア監督って方は、
「どつかれてアンダルシア(仮)とか「ビースト 獣の日」を撮ってはる人。濃くてはちゃめちゃなお話もいいですが、さぼてんはカメラが好みなんだと思う。映画テクニックの事はからきしわからないですが、シャロウ・フォーカスっていうのかな、注目させたい物だけに焦点をあわせて後はぼやかすの。それありました。「今のわかった?わからなかったって? ほんならもう一度やってみようー」ってな具合に2度も続けて。 他にも欲に駆られた年輩の女性は「マトリックス跳び」なんてやらかすし。屋上のオブジェ、馬の足の間での逃走劇はヒッチコック監督の「逃走迷路」の自由の女神像での格闘シーンなんか思い出した。階段のシーンはオーソン・ウェルズの「恐怖への旅」みたいやし。

監督さん達は「テナント/恐怖を借りた男」の影響を受けたと言われているみたい。住民達に見張られ部屋から出れなくなったロマン・ポランスキー監督が、あの最上階の老人なんだ。オマージュなんだ(と勝手な決めつけ)。
おすすめ度★★★1/2
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スターウォーズ エピソード2−クローンの攻撃−



2002年 米国 142分
メモ 2002.8.13 千日前セントラル
感想−ばればれです。ご注意ください−
ジェダイの危機の前に、あのヨーダがライトセーバーを手に戦うのですよ!。勇姿がみれるのですよ! 本作品中最大の見所。それのみならず「私を前線に」とかっこよく言って最前線で陣頭指揮をする。わぉいさましい。もうひとりの元気なじい様はドゥークー伯爵(クリストファー・リー)。スクーターに乗って空を駆け、フォースで若造ふたりをあしらい、光子帆船というエレガントな宇宙船で逃げる。長生きはしてみるもんだて(と思っているはず)。

ドゥークー伯爵(クリストファー・リー)は暗黒卿ダース・シディアスを主としながら、「共和国(元老院)はダース・シディアス(シス)の配下にある」とオビ=ワン(ユアン・マクレガー)にばらすよね。ドゥークー伯爵は暗黒面(ダークサイド)についているフリをしているだけかもしれん。反面、クローン兵士を製造しているカミーノ星の情報を消したジェダイがいるわけで。裏切り者はパドメ・アミダラ(ナタリー・ポートマン)をコルサント(共和国の首都)から遠ざけようとしているジェダイ・メイス・ウィンドゥ(サミュエル・L・ジャクソン)かもしれない。

エピソード2ではオールドファンには嬉しい「運命に導かれ第二部につながる出来事」が多く生まれる。
まず大事な出来事はC−3POとR2−D2が出会う事。凸凹コンビの結成。
次にパドメ・アミダラの戦闘服に注目。白くレーア・オーガナ姫の服装に似ている(なぜかより洗練されている)。
レーア姫の養父ベイル・オーガナ元老院議員(なんとジミー・スミッツ「スウィッチ」「シカゴ・コネクション 夢見て走れ」の)とルーク・スカイウォーカーの叔父叔母が登場。懐かしい砂漠のかまくらも見れた。
クローン兵士のよろいが帝国の突撃隊員と同じだった。クローン兵士だったのかあ。
ドゥークー伯爵がアナキンの手を切り落としアナキンの右手は義手となる。
最終兵器「デス・スター(惑星ごと抹殺する)」の設計図ができている。
「エピソード5−帝国の逆襲」でハン・ソロをジャバ・ザ・ハットに引き渡した賞金稼ぎボバ・フェットが親子で登場。

そしてをまじかに見たパドメ・アミダラとアナキン・スカイウォーカーは「生きている内が華なのよ」と「ジェダイの掟」、「共和国」、「元老院」のしがらみを振り捨てR2−D2とC−3POを立会人に密かに結婚式を挙げるのであった。
おすすめ度★★★★
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怪盗ブラック・タイガー

2000年バンクーバー国際映画祭タイガー&ドラゴン賞受賞

2000年 タイ 114分
監督・脚本 ウィシット・サーサナティヤン
美術 エク・エームチュン
撮影 ナタウット・キッティクン
音楽 アマンポン・メタクナウット
出演 チャッチャイ・ガムーサン(ダム)/ステラ・マールギー(ラムプイ)
メモ 2002.8.10 シネ・リーブル梅田
あらすじ
太平洋戦争末期のタイ、スパンプリ村の区長の家にバンコクの裕福な一家が疎開してくる。都会育ちで気位の高いお嬢様ラムプイに区長の息子ダムは一目惚れしてしまった。内気すぎてお姫様に話しかける事はできないが、どんな無理難題もかなえてやりたいと思う。無償の愛なのだ。姫にせがまれ蓮池に舟遊びにくり出したふたりは、池の中に建つ四阿(あずまや)に立ち寄る。そこでダムは四阿に伝わる「サーラー・ロウ・ナン」伝説を語る。身分違いのために結ばれなかった恋の話に涙する幼いラムプイ。しかし天上にいるようなふたりっきりのひとときは短い。日暮れまでに帰らなくてはといそいで舟をこぐダムの前にちょっかいを出す輩が現れる。姫を守るため果敢に櫂で戦ったダムだったが舟はひっくり返りふたりは川に落ちてしまった。必死でラムプイを捜すダムの額には、天下御免の向こう傷「三日月」が刻まれる。この事件を機にふたりは運命の恋に捕らわれる。
感想
西部劇ファンにこの映画の感想を聞いてみたい。

チラシを見て惹かれ「当たりかはずれか」バクチで見に行ったんやけど、これがたり。活劇はこうでなくっちゃ。メロドラマはこうでなくちゃ。活動写真はこうでなくちゃ。レトロで美しくて古い映画ファンの方が楽しいと思う。まず、あせたような独特の色使いがきれい。紙芝居のような計算され尽くした構図が好み。そしてドンパチも笑える激しさなん。最後に映画「哀戀花火」と同じく身分違いの恋が哀しい。隠しているけれど隠しきれないメロドラマ好き(悲恋は特にベター)なさぼてんはハズカシながらいいと思う。この個性的な映画は、おすすめしません。
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タイムマシン THE TIME MACHINE


2002年 米国 ワーナー・ブラザース
監督 サイモン・ウェルズ
脚本 ジョン・ローガン
撮影 ドナルド・M・マカルピン
出演 ガイ・ピアース(アレクダンダー・ハーデゲン)/サマンサ・マンバ(マーラ)/ジェレミー・アイアンズ(ウーバー・モーロック)/オーランド・ジョーンズ(ボックス「悪いことしましょ」)/フィリーダ・ロウ(ウォチット夫人)
メモ 2002.8. 梅田ブルク7
あらすじ
時は1989年、20世紀も間近なニューヨークの冬に科学者アレクサンダー・ハーデゲンのおつむを占領しているのは科学でもなけりゃ電磁波の研究予算獲得でもなかった。彼は恋をしていたのだ。恋人のエマに結婚を申し込むため誕生石のムーンストーンの指輪も用意した。意を決して申し込むアレクサンダーにエマは喜ぶ。暖かい心の持ち主のエマは、研究に没頭するアレクサンダーのよき理解者だった。デートに遅れても指輪がダイヤでなくても許してくれる。ところが天にも昇る心持ちのふたりの前に強盗が現れるのだ。エマは指にはめて貰ったばかりの指輪を渡すことを拒む内に強盗に撃たれ命を落としてしまう。
失意の4年間アレクサンダーは寝食を忘れ研究に没頭する。彼が意図していたのはタイムマシンで時間を遡りエマを助ける事だった。そしてとうとう完成したマシンは美しく輝いていた。躊躇することなく4年前のあの日に戻り、約束の時間より前にスケートリンクでエマを待ち受けるアレクサンダー。エマを公園から遠ざけ、過去を変えることに成功したかに見えた。後は4年間かけてタイムマシンを完成させるだけだ。エマには「僕の事を信じて待っていてくれ」とすぐには結婚できない事を伝える。せめて花を贈ろうとアレキサンダーが花屋に行っている間にエマは暴走した馬車に轢かれてしまう。花も買えない、自動車にも乗れない、エマも救えなかったアレキサンダーは「過去を変えるには過去に戻るだけではなく、何かが必要なのかもしれない」とその”何か”を探す旅にでる。時間を超えて。
感想
この映画の最大の見所は「崩れかけた月」の影像。あの美しい月がかぐや姫の月が、亀裂が入り崩れかけているのですよ。ショックでした。
次の見所は時が流れていくとタイムマシンの外の風景が次々変わって行くところ。マネキンのファッションはめまぐるしく変わり花が咲き飛行機は飛び、美しい。1959年版へのオマージュです。三番目はタイムマシンの造型。ピカピカでなかなかにきれい。四番目は図書館のコンピュータが具現化したボックス(オーランド・ジョーンズ)。

この映画はまぎれもないリメイク。月の崩壊を除いて1959年版を大いに意識した作品です。(というより、原作に忠実なんかもしれん。読まなくてワ<読んでいないんです。すんません。)
おすすめ度★★★
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タイムマシン/80万年後の世界へ THE TIME MACHINE

1960年 米国 103分 ワーナー・ブラザース
製作・監督 ジョージ・パル(「宇宙戦争」「月世界征服」)
原作 H.G.ウェルズ
脚本 デビッド・ダンカン
出演 ロッド・テイラー(「鳥」)/イヴェット・ミミュー(「ボーイハント」「世にも不思議な世界」))/アラン・ヤング(「ミスター・エド」)
メモ 2002.8.6 レンタルビデオ
あらすじ
1899年の大晦日、友人4人が夕食会に集まった所へジョージ(H.G.ウェルズ)がボロボロの姿で現れる。80万年後の世界からたった今戻って来たという。80万年後の世界では人類は2系統にわかれ、地底人モーロックは地上人イーロイを飼育していた。
(H.G.ウェルズの描くモーロックは炭坑夫などの労働者階級、イーロイは資本家、貴族社会のなれのはてらしい。)
感想
80万年後の未来に行き着くまでが見所。
ズタボロ姿で友人達の前に現れる5日前が事の起こりだった。友人達に4次元の説明をしタイムマシンのミニモデルを見せる所から話は始まる。そのマシンに「これは葉巻ではない。タイムトラベラーだ。」とどーみても葉巻を乗せミニクリスタルのハンドルを倒すとミニタイムマシンは机の上から消えてしまう。トリックだマジックだと騒ぐ友人達に「タイムマシンは100年後のこの空間にあるが、見えないのは君が見ているのが現在の時間だからだ。」と凡人にはちんぷんかんぷんの説明をするねんね。

友人のドクターに「我が国は今ボーア戦争の真っ最中だ。発明品は軍で使えるもんにしろ。」と言われ、「自分の生まれた時代が私は好きではない。科学に要求されるのはより能率的な殺人兵器だ(がっかり)」と未来に希望をたくしひとり完成されていたタイムマシンに乗って旅にでる。どっかに行ってしまうんではと心配する友人のデヴィッド・フィルビーには家から出ないと約束して(時間移動するだけで空間移動はしないねんからと心の中で言い訳して)。これがタイムマシンを作った理由なん。自分の能力を平和的に活かせる世界を探している。

このタイムマシンは高級そうな赤いソファで全体にエレガント。2002年版はステップも付いていて馬車仕様。タイムマシンに乗って外界の時の流れを見ていると蝸牛は走りさり、つぼみはふくらみ花が咲き閉じて実がなっていく。ジョージは世俗に疎い科学者とはいえ男なもんで、一番興味深いのはショーウィンドウのマネキン。ファッションがめまぐるしく変わり夢中になっている内に家に板が打ち付けられ真っ暗になってしまう。

なんだなんだと1917年の世界でいったん降りる。友人フィルビーだと思って声をかけると息子のジェームズだという。今は独逸と戦争していて父は一年前に戦死したと告げられ「戦争しているのか。まだ自分の世界ではない。」とタイムマシンに戻るねんね。そして1940年になると空には飛行機が飛びかい(飛行機見たことあるんかい)爆撃の振動でタイムマシンが激しく揺れる。ロンドン大空襲らしい。

家が焼け周囲が明るくなったので1966年の世界に降りてみると第三次世界大戦が勃発していた。核攻撃をうけ放射能をたっぷり浴びるジョージ。母なる地球が怒り爆発し火山が噴火して溶岩でタイムマシンは塞がれる。岩が風化する間じっと旅していて辿り着いたのは80万年後の世界だった。後は西洋世界の論理「パックス・アメリカーナ」のお話になるので省略。見るべき所は金髪のイヴェット・ミミューの美しさと、歴史を記憶しているリングのみ。

洋品屋の店主フィルビー役のアラン・ヤングは2002年版「タイムマシン」では花屋さんだったらしい。
おすすめ度SFファンは押さえておきましょ★★★1/2
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寒い国から帰ったスパイ THE SPY WHO CAME IN FORM THE COLD

1965年 米国 111分
監督・製作 マーティン・リット(「ノーマ・レイ」「アイリスへの手紙」)
原作 ジョン・ル・カレ
脚本 ポール・デーン/ガイ・トロスパー
撮影 オズワルド・モリス
音楽 ソル・カプラン 
出演 リチャード・バートン(リーマス)/クレア・ブルーム(「ライムライト」)/オスカー・ウェルナー
メモ 2002.8.6 レンタルビデオ
あらすじ
英国情報部の連中はベルリン国境で東ドイツから逃げてくる仲間をまっていた。東ドイツ諜報機関のムントにことごとく裏をかかれ、今や諜報網はずたずた組織は壊滅寸前だ。
感想
ル・カレの同名小説の映画化
ル・カレは最初に挑戦した「リトル・ドラマー・ガール」で挫折しました。最初で最後それっきりサヨナラです。これでも本を途中下車ってのは珍しいんですが、内容うんぬんよりも文体があいませんでした。でもってル・カレは一冊も読んでおりませんです。
本題の映画といえば一言「陰鬱」。もう二言三言「非情」「むなしい」。これでアンハッピーエンドなのはもろばれです。二転三転する展開は見て損するって事はないです。しかしリーマス(リチャード・バートン)はなんでスパイになりはったんでしょ。天下国家を憂えている頃がおありだったのでしょか。最後は年とって騙しあいに疲れ果ててしまったんだな。消費されてしまった。そう「消費」といえば最近の日本国は人間を消費しています。アメリカ式、株主が大事とか言って「企業」というカオナシの化け物が好き勝手リストラして。人を大事にしないと国が滅ぶぞ。
脱線してますね。話元にもどして、英国の諜報部員リーマス役がリチャード・バートン。昔淀川長治さんが「エリザベス・テーラー(リズ)はお金持ちのお嬢ちゃん。リチャード・バートンは英国の炭坑夫の子沢山の息子のひとり。生まれも育ちも全く違うんですね。どうでしょ。そこが引き合う所であって反撥しあう所なんですね。」と言われ、リズと2回結婚したただひとりのお人で黒髪でセクシーな方です。
おすすめ度★★★1/2
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恐怖への旅  JOURNEY INTO FEAR

1942年 米国 68分 モノクロ RKO
製作・脚本 オーソン・ウェルズ
監督 ノーマン・フォスター
原作 エリック・アンブラー
脚本 ジョゼフ・コットン
撮影 カール・ストラス
音楽 ロイ・ウェッブ
出演 ジョゼフ・コットン(ハワード・グレアム)/ドロレス・デル・リオ/オーソン・ウェルズ(ハキ大佐)
メモ 2002.8.5 レンタルビデオ
あらすじ
米国の兵器製造会社の技術者ハワード・グレアムはトルコでの仕事を終え列車で母国に帰る予定だった。イスタンブールでの最後の夜、妻をホテルに残し現地社員コペイキンの接待でクラブのショーを見ていた。豹の衣装を着たダンサージョゼット(ドロレス・デル・リオ)と知り合い妻に言い訳の手紙なんぞを書かなくてはならないハメになったのだが。いやこれは浮気心の話ではなく命を狙われる話だった。そのクラブでのアンビリーバブルなマジックショーの最中、グレアムの身代わりに魔術師が撃ち殺される。トルコ秘密警察の長官ハキ大佐(オーソン・ウェルズ)は、グレアムを無事故国に送り届けるため列車の旅ではなく、貨物船での旅を命令する。ここでグレアムに何かあれば、トルコ海軍が兵器を運べない内に、独逸と戦っているロシアから冬将軍が去り春になってしまう。そうなると戦局は大変な事になるのだ。そんな訳でグレアムのおつむを撃たれる訳にはいかない。ところがグレアムは半信半疑。自分が狙われているとは信じられない。何しろ参戦前の米国からきたもんで緊張感が足らない。ハキ大佐はそんなグレアムをせかして船にほおりこむ。現地社員のコペイキンは拳銃をグレアムに渡す。あれよあれよと大変な事になっていく。船旅の乗客は、ダンサーのジョゼットとゴーゴー、フランス人の夫婦者、ドイツ人の考古学者ハラー博士、トルコ人の煙草商クヴェトリ。みんなヨーロッパ人で一筋縄ではいかないような気がする。次の寄港地で乗船した客を見ると、ハキ大佐に注意されていた殺し屋ベーナトだった。ここで突如「恐怖」は現実のモノとなる。
エリック・アンブラー「恐怖への旅」の映画化。
感想
初めて見たときはちょっとイメージしていたのと違ってがっかりしたのですが、返した後も気になって再度レンタル。
じっくり何度も見た。うーん、好きかも。マジックショーとか、ラストの豪雨の中テラスでの追跡とか、逃げ場のない船の中での恐怖がいい。原作も読み返してみたんやけれど、コンパクトに映画化されている。船のタラップの有名シーンはやっぱいいよ。ただ、この影像のような不条理モノめいたところがもっと強かったらなあ。残念。
本作撮影当時「偉大なるアンバーソン家の人々」と「イッツ・オール・トゥルー」の撮影中で超多忙だったオーソン・ウェルズが製作・脚本。映画中ハキ大佐の言葉「ひどい頭痛で・・・。仕事は山積み、心配の種にも事欠かない。」がお芝居ではないような。不遇な天才だったんだな。。。。。

<おまけ>フランス人夫婦者の奥さんでよくしゃべる小言いいのアグネス・ムーアヘッドって役者さん、「ごく普通のふたりはごく普通の恋をし、ごく普通に結婚しました。でもただひとつ違っていたのは、奥様は魔女だったのです」のTVドラマ「奥様は魔女」でサマンサのママ・エンドラ役の方だそうです。ダーリンの事を「ダグット」とか「エテ公」とか「下等動物」とか言ってイジワルするけばい人。この人とサマンサのいとこのセリーナ(エリザベス・モンゴメリーの二役)が好きやったなあ。
おすすめ度★★★1/2
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