Rock Listner's Guide To Jazz Music

ジャズ・クラブ日記 Vol.2 (2008年)


嬉しいことに長期休暇が取れたので、今回はじっくりたぷりとジャズ・クラブを満喫できることに。さすがに疲労が残って時差ボケもハッキリと出ている到着初日は軽く1ステージだけ。


5/6(火)

Dizzy's Club Coka-Cola


ミュージック・チャージ:$30(月曜$20)
ミニマム・チャージ:$10
予約:不要
1st set:19時30分
2nd set:21時30分
3rd set:23時30分
3rd set のあとに After hours というジャム・セッションあり。
ミュージック・チャージ:$30
ミニマム・チャージ:テーブル席$10、カウンター席$5。
予約:電話(今はもちろんWebから可能)

夕方に電話で予約をすると、2nd setしか空きがないとのこと。平日だというのに大盛況らしい。


59st-Columbus Circle駅で下車して階段を上がればコロンバス・サークルというロータリーが目の前に広がっている。そこに面しているタイム・ワーナー・センター内にあるのがこのクラブ。正面入り口からだと入って右奥に、正面右からの入口なら入ってすぐ右手にあるエレベーターで5階に上がり、降りて左手へ。ウィントン・マルサリスがクリエイティヴ・ディレクターを務めるジャズ・アット・リンカーン・センターの本拠地で、このクラブもその施設のひとつ。


会場はマンハッタンのクラブとしては広めでテーブル席200名、カウンター席40名くらいでしかもゆったり。どの席に座っても見やすく、ステージ奥のガラス越しにマンハッタンの夜景(といってもそれほど綺麗ではない)が見えるのもなんとも贅沢な気分にさせてくれます。客の年齢層は少々高めですが堅苦しくない雰囲気。


この日はJoe Lovano & Nonet。テナー・サックスのリーダーの他に、テナー・サックス(時にフルート)、アルト・サックス(時にクラリネット)、バリトン・サックス、トランペット×2、トロンボーンにピアノ、ベース、ドラムという10人編成。アンサンブルを中心としたオーソフォックスなフォービート・ジャズで安心して聴けました。プレイヤーによって若干技量差があったものの総じてハイレベル。尚、ここは1日3セットあり、3rd setは出演者が変わります。また、その後にAfter Hoursというジャム・セッションもあるようです。尚、この2nd setもほぼ満席。ショウは21時50分〜22時55分とスケジュールよりやや遅れ気味でした。




ここは、特に 1st set と 2nd set はネームヴァリューのある、オーソドックスなジャズ・ミュージシャンを中心にブッキング(今後の予定として、ロイ・ヘインズ、シダー・ウォルトン、マーカス・ロバーツ、マッコイ・タイナー&ラヴィ・コルトレーンの名前も)しているので質は保証されているし、クラブの作りもゆったりしていて快適。あと、1日3セットにアフター・アワーズまでとプログラムが充実しているのも美点で、かなりお勧めできます(料理は普通のアメリカン・メニューであまり美味しくない・・・)。


余談ですが、入場時に「Student?」と訊かれたので大声で「No」と言ったのにもかかわらず、会計を見たら学生料金になっていました。BBQ BEEF BRISKET $12 にTAXとチップを加えて$30と安上がりで特した気分。当方、童顔とはいえ白髪交じりの不惑なんですが。



5/7(水)

この日は前回行かなかったイースト・ヴィレッジに。


出発前に TONIC というクラブに行こうと思っていたのにWebサイトを見たら閉店とのこと。いずれ再開すると書いてあったものの今回は無理。そこで1件目は Detour という店をアテにしていたんですが、行ってみたら redhead という店に変わっていて音楽もやっていなさそうな雰囲気。どうりでWebサイトも更新されていなかったわけです。


Jules Bistro

       

ミュージック・チャージ:任意
ミニマム・チャージ:なし
ライヴ時間帯:22時30分〜23時
予約:不要(週末も多分いらない)


(L)ラインの 1st Ave 駅をダウンタン方向に下り、10分弱歩いて 8st を右折すると右手にあります。ここはただのレストランでジャズの生演奏も聴かせるというもの。20時30分に定刻通り開始。出演は Brian Chrnette Trio。オルガン、キーボード(パソコンのキーボードも使う:ヤン・ハマーのようなサウンド)兼アルト・サックス、スネアとバス・ドラだけのドラムというシンプルな構成。演奏レベルは正直なところたいしたことはなかったのですが、ある意味タダでもあるし、リー・モーガンの "ザ・サイドワインダー" やウェイン・ショーターの "ジュ・ジュ" を演奏して楽しませてくれました。


21時30分に終了すると、キーボードの人がバケツを持って回収に来るので任意の金額を入れる。小銭の余りであった$4を入れておきました。ミニマム・チャージはないとはいえ、レストランに入って何もオーダーせずに店を出ることはできないのでチキンの料理を食べましたが味はまあ普通のアメリカのレストランという感じ。


ライヴの時間帯は平日、金土曜日、日曜日によって若干違うのでWebサイトで確認を。


先にも書いた通り、この日はイースト・ビレッジ周辺を散策する予定だったのですが、めぼしい店がなかったのでフィルモア・イーストの跡地を見学してからさっさと退散。余談ですがこの辺りはいかにも地元の店が多く、また寿司、ラーメン、うどんといった日本人を狙った店も目に付きます。



ZINC BAR

       

ミュージック・チャージ:$8
ミニマム・チャージ:なし
1st set:21時00分
2nd set:23時00分
3rd set:0時30分
予約:不要(今はWebでチケット購入可能)


(N)(R)(W)ラインのPrince St駅で下車し、アップタウン方向に歩き West Houston St に出たら左折、そのまま10分くらい歩くと右手にあるのがこの店。遠くからだとわかりにくいです。店は狭く、恐らく30人も入れば一杯という感じでほぼ9割の入り。バーなので飲み物しかありません。


入場時に入口に立っているおじさんに$8払って22時30分ころに店内に入ると、まだ1st setの演奏中で15分ほどで終了。23時15分ころから 2nd set が始まる。気軽なバーなので客の入れ替えは当然なし。


客層は若い人が中心ですが年配の人も。真剣に聴き入るというほどではないものの、みんな音楽を聴きに来て楽しんでいる様子。この日はラテン・ミュージックの日ということで、ギター、バイオリン兼トロンボーン、ピアノ、電気ウッド・ベース、パーカッションという5人組のラテン・ミュージックを堪能。なかなか楽しませる演奏で客も盛り上がっていました。


このクラブ、以前は有名なジャズ・ミュージシャンがよく出演していたようですが、近年はこの日ようようにラテン・ミュージックや、ボサ・ノヴァ、フラメンコなどワールド・ミュージック系クラブとして人気のようです。


週末は各セット、22時、23時30分、1時からと若干時間が異なります。



5/8(木)

この日は有名クラブの多いウェスト・ヴィレッジへ。


Blue Note

       

ミュージック・チャージ:$40
ミニマム・チャージ:$10
1st set:20時00分
2nd set:22時30分
予約:インターネットまたは電話


(A)(C)(E)ライン、(F)(V)ラインのWest 4 St-Washington Square駅を出てすぐにある。(1)ラインのChirstopher Stからでも歩いて5分くらい。ホームページには予約しても開演30分前に来るようにと書いてあり、25分前に行ったら店内はもう満席。危うく予約を取り消される直前だったかもしれません。ここは予約は必須だし、良い席を取りたい場合にはかなり早めに行ったほうがいいでしょう。


さて、ジャズ好きでない人にも名前が通っていて、日本にも支店があることでもよく知られているブルーノートですが、結論を言えば東京の方が断然広く料理もいいです(値段もその分高いけど)。事前に知っていたとはいえ、隣の人と肩が常に触れ合うほどの座席は想像以上にタイトで、席に案内されたときには「えっ?こんな狭いところに座るの?」と思わず絶句。とてもゆっくり食事をしようという雰囲気ではありません。その料理も普通のアメリカ的なもので、Vegetable Spring Roll を食したのですが可もなく不可もなくといったところ。店内も東京の半分程度(でもたぶん人は同じくらい入れている)の広さとこじんまりしている。


この日の出演は、Armad Jamal で、マイルスに影響を与えたことで有名なピアニストだけど聴くのは初めて。ベテランがオーソドックスなジャズをする程度だろうと思っていたのですが、多彩なリズムを駆使するパーカッション+ピアノ・トリオの編成で、十分現代でも通じる音で楽しませてくれたのは嬉しい誤算。ピアノは和音の使い方に特徴のあるパーカッシヴなフレーズを織り交ぜたプレイで、いいものを見せてもらったと満足できるものでした。20時5分演奏開始で21時10分に終了。


ニューヨークに来たら話のネタとして一度は足を運びたくなる Blue Note ですが、出演者の質はともかくクラブとしては決していいところではないと思う。実際、ネット上のジャズ・ファンの書き込みを見ても好意的な意見はほとんど見られません。



Smalls

 


ミュージック・チャージ:$20
ミニマム・チャージ:なし
1st set:19時30分
2nd set:21時30分
3rd set:23時00分
4th set:0時00分
5th set:1時30分
(以上、この日の場合)

予約:不要(今はWebで予約可能)


(1) ラインのChirstopher St駅を出てすぐ近くにある。入口が小さいけれど煉瓦色の壁が目立つのでわかりやすい。階段を下りていくと人がいるのでそこで$20を払うと、カジノのルーレットで使うようなチップを1枚くれる。これをカウンターで渡して飲み物をオーダーできる(飲み物によっては追加料金があるかも)。


目いっぱい入れても50人というところで狭くこじんまりしたクラブ。21時30分からのセットを観るつもりで Blue Note から慌てて走って来たものの、演奏が始まったのは22時ちょうど。時間はかなりルーズな感じ。


出演は、Vocalist Deborah Davis Group w/Orrin Evans, Essiet。黒人女性ヴォーカル、ピアノ、ベース、ドラムという編成。さすがに一流のパフォーマンスというわけには行かないものの、なかなか楽しめる内容。ヴォーカルの女性は声量が非常に豊かでいかにも黒人という太い声でしたが、ジャズ・ヴォーカルらしい繊細な表現は若干苦手なようで、R&Bやソウルの方が合う感じ。実際、そのような曲も歌っていてハマっていました。


始まるのが遅かったため、次のVillage Vanguardの時間が迫ってしまい22時40分に退場。


以前は、ジョシュア・レッドマンやサム・ヤエルが良く出ていたそうですが、出演者のリストを見ても知らない人ばかり。最近は、あまり大物が出ないのかも?



Village Vanguard

       

ミュージック・チャージ:$30
ミニマム・チャージ:$10
1st set:21時
2nd set:23時
3rd set:0時30分 (土曜のみ)
予約:インターネットまたは電話。


Smalls からアップタウン方向に3分ほど歩けば到着。


出演は、The Bad Plus のピアニスト、イーサン・アイヴァーソン(上の写真で電話している)にポール・モチアンという組み合わせのチャーリー・ヘイデン・トリオ。ヴィレッジ・ヴァンガードでポール・モチアンを観れるというのも何やら感慨深い。


15分前に到着したときには既に7割の入り(最終的にはほぼ満席に)。去年来たときはガラガラだったのにこの違いは出演者のネームヴァリューのせいか。その分、通常の月〜木だとミニマム・チャージ込みの$30なのにこの日は$40。


演奏には、時々フリーっぽくなることがときどきあったものの決してフリー・ジャズではない。反面、通常のピアノ・トリオのオーソドックスなジャズとも違って個人の自由度が高い演奏。ベース・ソロ、ドラム・ソロもたっぷりフィーチャーされ、左手であまりリズムを取らないアイヴァーソンの独特のピアノを中心に掴みどころがない演奏でした。観客は熱心に聴いていたし、正直なところかなり期待していたんですが眠くなってしまった。演奏は23時5分〜0時15分まで。



5/9(金)

Birdland

       


ミュージック・チャージ:$20
ミニマム・チャージ:$10
1st set:17時30分
2nd set:20時30分(ここからメインの出演者)
3rd set:23時
予約:インターネットまたは電話。


ここでは日によって、通常セットの前にさまざまなライヴが組まれており他のクラブより早い時間から楽しむことができる。毎週金曜日は17時15分〜19時にかけて THE BIRDLAND BIG BAND directed by TOMMY IGOEが出演中。


定刻通りスタート。ホーン13人にピアノ、エレキ・ベース、ドラムの編成で、ドラマーがリーダーのTOMMY IGOE。陽気でパワフルなビッグ・バンド・サウンドは、バディ・リッチの路線そのもので、その迫力と勢いが実に楽しい。週末(こちらでは金曜日は早めに仕事を切り上げしまうようだ)とはいえ早い時間からとあって予約せずに15分くらい前に行ったら既に客は9割の入りで演奏が始まってからも大いに盛り上がっていました。リーダーのドラムはキレと迫力があって実に巧く、この人あってのバンドであることがよくわかる。


始まって30分で早くも休憩。テーブルの上には休憩後に演奏してほしい曲のリストが50曲分書いてある紙が置いてあり「リクエストがある人は1曲選んで」と書いてある。この休憩中に客がリーダーや店員にこの紙を渡している。30分経過後の18時15分に再開。いきなり、リターン・トゥ・フォーエバーの La Fiesta を大迫力で熱演。その後も Mercy, Mercy, Mercy や Round About Midnight などのリクエストに応えて19時に終了。賑やかなビッグ・バンドが嫌いでなければ誰でも楽しめる素晴らしいライヴでした。スケジュール通り19時に終了。


料金は Webサイトには$15とありましたが上記の通り、テーブル席でミュージック・チャージが$20、ミニマムチャージが$10。


SMOKE

       

ミュージック・チャージ:$28
ミニマム・チャージ:$10。
1st set:20時00分
2nd set:22時00分
3rd set:23時30分
予約:電話。(今はWebで予約可能)


このクラブは平日(日〜木)と週末(金、土)で料金体系が違っていて、前者はミニマム・チャージのみで後者は上記のような料金になります。5分前に行ったら席はほぼ埋まっていたもののなんとか座れました。


この日の出演は、Grant Stewart Quintet。Grant Stewart(ts)、Ryan Kisor(tp)、David Hazeltine(p)、Joel Forbes(b)、Joe Farnsworth(ds) というオーソドックスなクインテット。実は現代のニューヨークではこのようなオーソドックスな編成でオーソドックスなフォービート・ジャズというのは意外と聴けない。実際、2回の滞在で遭遇したのはこの日だけ。


見たことのある名前がいくつかあるだけあって、演奏はさすがに一流。特にライアン・カイザーとジョー・ファーンズワースのプレイは本当に見事だった。ファーンズワースはこのクラブの常連らしいんですが、タイミングの合う人にはぜひ見に行ってもらいたいところ。演奏は22時〜23時5分まで。


ちなみにここはセットごとの客の入れ替えが特にあるわけではなく、出る時間は自由なようです。気に入ったグループならずっと居座って見るのもアリかも。


このセカンド・セットが終わって外に出ると、雨で寒い中、外でボーっと、どこかから買ってきたソフトドリンクを飲んでいるライアン・カイザーが。きっとマンハッタンではそれが日常の光景。




Cleopatra's Needle

       


ミュージック・チャージ:なし
ミニマム・チャージ:$10
ライヴ時間帯:20時〜0時、0時〜3時
予約:不要(週末も多分いらない)


(1)ライン 96st 駅でダウンタウン側改札を出て右側階段を上がりまっすぐ歩くと1分で到着。


店は普通のレストラン&バー。70人くらい座れそうな感じで店はまずまず広い。


Mamiko Watanabe Trio という日本人ピアニストのトリオが出演。ピアノの線が細くてさすがに一流とは言えませんが、キース・ジャレットも演奏していた Wrap Your Trouble In Dreams、ジョー・ヘンダーソンの Recorda Me など聴き覚えのあるスタンダードを演奏していて楽しめました。3曲を演奏したところで最寄りのテーブルに座っていた黒人がドラマーに話しかけ、握手したかと思うと交代。そのまま演奏を継続。なんというイージーさ。


ここは演奏時間が決まっているわけではなく、上記時間帯の中で何度か休憩を挟みながら50分ずつくらい演奏しているようです。また、基本的にはレストランなので演奏にかじりついて聴いているような人は少なく食事の贅沢なBGMとなっていました。


本格的なクラブではないものの、安く気軽に楽しめるという点でなかなかお勧め。



5/10(土)

Birdland



ミュージック・チャージ:$30
ミニマム・チャージ:$10
1st set:20時30分
3rd set:23時
予約:インターネットまたは電話。


この日は土曜日ということもあってか1st setの15分前に着いたときには既にほぼ満席。


出演はRegina Carter Quintet。リーダーである黒人のバイオリン奏者に、エレキorアコースティック・ギター、アコーディオン、5弦エレキ・ベース、ドラムという編成。20時05分にスタートし、アンコールにも応えて21時20分終了。前年との経験だけでの話ですが、バードランドは1回のセットの時間が少し長いような気がします。


ぶっちゃけた話、ジャズじゃなかったんですが、アフリカ音楽を根底に持ち適度に洗練されたエキゾチックな音楽。それでも演奏の質はなかなか高かった。このクラブは、ストレート・アヘッドなジャズだけでなく、このようなワールド・ミュージック系をブッキングするなどのアーティストの幅が広いです。


(追記)

日本でこの種の音楽を観れる機会はないだろうなと思っていたらこの年(2008年)の7月に来日、ブルーノート東京で公演していたのでちょっとビックリ。日本人ってホントいろんな音楽を聴く人がいるんだなあと感心してしまいました。



Iridium


ミュージック・チャージ:$35
ミニマム・チャージ:$15
1st set:20時30分
2nd set:22時30分
3rd set: 深夜 (金土曜のみ)
予約:電話(今はWebで可能)

(現在はブルース、ロック系がメインになっています)


バードランドでアンコールがあり、混雑で終演後の会計にも時間がかかったおかげで慌てて小走りで直行。タイムズ・スクエア周辺は土曜日ということもあって大混雑していてなかなか思うように歩けない。


22時15分に着くと、前のセットの客が出てきている最中で、次のセット待ちでちょっとした行列が。出演者のネームヴァリューが高いからでしょうか。


その出演は Jimmy Cobb So What Band。Wallace Roney(tp)、Eric Alexander(ts)、Sonny Fortune(as)、Larry Willis(p)、Ray Drummond(b)、Jimmy Cobb(ds) という豪華メンバー。メンバーの豪華さに応じてか通常$10のミニマム・チャージが$15になっていました。


入場が遅れたせいか、スタートは23時。席は満席。周囲の会話を聴いていると、マイルスが好きで来ている感じの人が多くいる。前回に来たときも含めて、ここの聴き手は音楽を聴くことに集中している感じ。それでいて適度にリラックスした雰囲気なのがいい。


いきなり20分に及ぶ So What で幕開け。ドラム以外の5人が延々とソロを回すので全体に演奏が長め。演奏のレベルはさすがに貫録を感じさせるもの。個人的には昔のロン・カーターばりの電気系ウッド・ベースの音があまり好きではなかったことを除けば、ウォレス・ルーニーと唯一の白人エリック・アレキサンダーを中心に十分楽しめました。他にも、Bye Bye Blackbird、Walkin' なども演奏。 70分で5曲という内容でした。



写真の通り、一番前に近いところの席はPAが頭上に来て音が聞こえず、マイクを通していない生音の方が直接音として聞こえるというあまり良い音響環境ではないので後ろの席の方がお勧めです。



5/11(日)

JAZZ STANDARD

       

URL: http://www.jazzstandard.com(2020年12月で閉店)
ミュージック・チャージ:$25
ミニマム・チャージ:なし
1st set:19時30分
2nd set:21時30分
3rd set:23時30分 (金土曜のみ)
予約:電話。


出演は、Marty Ehtich Sextet。ハッキリ言って知らない。ステージに出てきた人たちの見た目も普通のおじさんという感じ。いざ、演奏が始まると少しチャールズ・ミンガスの影響も感じる、ややトリッキーなアンサンブルと熱いソロのパフォーマンスでこれがなかなかいい。こういうレベルの高い、そして日本では無名なミュージシャンと出会えるのも、マンハッタンでの楽しみ。演奏は19時30分〜20時30分まで。


今回もここで Blue Smoke Burger を食べましたが、やっぱり美味しかった。ちなみにオーダーすると焼き方のほかにトッピングするものも訊いてきて、チーズの種類まで訊いてくるので適当に頼んでみましたが当然それらは別料金。


前年に来たときには一番客が入っていたのに、この日は6割くらいの入り。日曜日の夜にジャズ・クラブに行くという人は少ないのかもしれない。


尚、翌月はテレンス・ブランチャードやエリック・アレキサンダーがブッキングされているなど、ここはオーソドックスなジャズが好みならお勧めできます。



SMOKE



ミュージック・チャージ:なし
ミニマム・チャージ:$15(テーブルは$20)
1st set:20時00分
2nd set:22時00分
3rd set:23時30分
予約:電話(今はWebで可能)


締めはもう一度お気に入りの SMOKE。ここは日曜日は平日と同じ扱いでミニマム・チャージだけで観れるところが嬉しい(ただし出演者のレベルによって違うし、週末の方がレベルは高い)。


この日はアフロ・キューバン/ラテン・ナイトということでその種のジャズを演奏する Chris Washburne & S.Y.O.T.O.S. というグループ。コルトレーンの Sheeda's Song Flute や、マイルスの Seven Steps For Heaven をアフロなアレンジで、しかも熱く聴かせてくれる。ラテン系の若い女性客たちが踊りだしていました。


このクラブは平日でも出演者のレベルがなかなかで、しかもこの安さだから本当にいい。隣に座っていた人が日本人で、この近くに住んでいるとのことでしたが、その人もここが一番気に入っているとのこと。ちなみに、ここから15分くらい北に歩くと黒人が増えて行くらしく、そのあたりにあるクラブは客がほとんど黒人で、安くていいらしい。昨年同様、これまで回ってきたクラブに黒人の客をほとんど見かけなかったのは、やはり裕福でないからという読みは恐らく当たっていて、黒人はそういうリーズナブルな地元のクラブ楽しんでいるということのようです。



以上、2回目は6泊で11件(のべ13件)とたっぷり堪能。おかげで満腹になりました。行ったところが前回とかなり重複しているのは、どちらかと言えばオーソドックスなジャズを観ること、そしてできるだけハシゴをすることを主眼に置いたから。Knitting factory (http://www.knittingfactory.com/index.php) や The Stone (http://www.thestonenyc.com/) といったところも興味があったのですが、ブッキングされていたアーティストや、場所の都合などで見送りました。


これまで行った中では、SMOKE、JAZZ STANDARD、Dizzy's Club、少々高めですが Iridium がお勧め。これらのクラブは観光客でも気兼ねなく行けます。Blue Note はよほどお気に入りのミュージシャンが出ていなければ行かなくてもいいと思います。


今回、目立ったのは観客の多さ。前年にマンハッタンに来たときにはどのクラブに行っても空席が目立ったのに、今回はどこに行ってもほとんど満席に近い大盛況という理由がよくわかりませんでした。ドルが安くなって観光客が増えたんでしょうか。週末(金土)は特に多いし、客の出足も早いので、余裕を持ってスケジュールを組むことをお勧めします。