茫漠のヨルダン〜マダバ、ネボ山
 
Madaba/Jabal Nebo
 
 
マダバ、ネボ山
 

 
マダバ市街
 


   
キリスト教異界
マダバは歴史的な経緯からキリスト教徒の比率が高く、歩いて回れるほどの狭いエリアに多くの教会が建てられています。それらの教会にはビザンチン時代やウマイヤ朝時代のモザイクが残されており、貴重な観光資源となっています。街の雰囲気はイスラエルのナザレにちょっと似ています。
   

   
看板
街に入るとカラフルな看板が目に付くようになります。商店の数自体も多いのでしょうが、どの店も宣伝活動に積極的。キリスト教徒が多いことと関係があるのでしょうか。そういえば他のイスラム国では看板の類はあまり記憶になかったぞ。イスラムには何か非資本主義的な要素があるのでしょうか。
   

 
聖ジョージ教会
 


     

モザイク優先主義
モザイクで最も有名なのがここ。床に6世紀のパレスチナ全域の地図が描かれており、当時の色がある程度残っています。採光が良く明るいせいもあって教会内部は意外に広い。床のモザイクを見せるために祭壇正面にベンチがないことも関係しているようです。お祈りは脇でするんですね。
 

 

   
パレスチナ
これが6世紀のパレスチナの地図。死海のすぐ隣にエルサレム旧市街があります。当時の人々にとってエルサレムがいかに大きな存在だったかがわかります。形はデフォルメしてあるものの見てそれとわかるくらいには正確で、測量技術がある程度発達していたことをうかがわせます。
   

   
エジプトは間違い
エジプトも描かれていますが、ナイル川やアレキサンドリアの配置が間違っています。大国だったわりには内実はあまり知られていなかったんですね。きっと作者はエジプトに行ったことがなかったんでしょう。現場第一主義じゃないってことですね。まだまだ甘いな。伊能忠敬を見習わなくちゃ。
   

 
ネボ山
 


     

ネボ山の教会
旧約聖書のヒーローであるモーゼの終焉の地とされるネボ山には教会が建てられており、世界中からキリスト教徒の巡礼者が絶えません。それはともかく、このモニュメントはヨーロッパの信者からの寄進により2000年に建てられたばかり。「ミレニアム記念」だとか。なんのこっちゃ。
 

 

       
 
教会内部
モザイクなどが雑然と置かれていて、教会というより倉庫といった感じでした。天井も体育館みたいだし、見学中はずっとここが倉庫だと思っていたことを告白しておきます。
 
モザイク
床に残るモザイクには多くの珍しい動物とともに黒人が描かれています。4世紀のものだそうですが、当時すでにアフリカと交流があったことを示す貴重な証拠です。
 
礼拝堂
パレスチナ難民向けの学校かと思っていたんですけど、よく見ると正面にはステンドグラスもあり、質素な中にも信仰が息づいているのがわかります。
 

   
モーゼのモニュメント
教会の庭でひときわ目を引くのがこのモニュメント。悪魔の化身であるヘビを、モーゼが雷鳴を呼ぶ杖で打ち破った故事を表現したものだそうです。うーん、そうなのか。理屈はともかく造形的にかなりカッコいいことは確かです。20世紀美術の代表作と言っても通りそうです。
   

   
約束の地
この丘の上からモーゼは「見よ、あれが約束の地カナンだ」と言ったはず。眼下には死海が拡がり、晴れた日にはその向こうにエルサレムの街並を見ることができます。標高差約1000mの絶景。確かに神が約束してくれたかと思うような良い眺めだよなあ。異教徒でも気が晴れ晴れするもんなあ。
   


 
茫漠のヨルダン
 

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