リフレクタービーム

 百式司令部多次元艦スサノオに搭載された大口径ビーム砲と、これと対になる、ミラー粒子を安定蒸着させた小型浮遊反射板群F・Fミラーからなる攻撃システムの通称。ビーム砲発射口はスサノオの艦体上部にあり、それ単体でも極めて高出力のビームを発振する強力な攻撃兵装であるが、放出、展開されたF・Fミラーに発振したビームを反射させることで、艦船の永遠の死角といわれる艦底部も含め、事実上一切の死角なしに砲撃を行う事が出来るようになるのである。個々のF・Fミラーは多次元コンピュータボルフォッグによってコントロールされており、極めて迅速な展開、連結を可能にしている。それぞれが独立してビームを偏向させる事でビームの軌道予測は極めて困難なものとなり、ZX−10瞳原種遠距離探知及び未来予測能力をも上回る。ミラーの配置次第でビームを更に集束させる事も、拡散させて広域攻撃を行う事も可能であり、最大出力で照射すれば直径1km未満の隕石程度ならば複数をまとめて破壊できるだけの威力がある。またミラー粒子が蒸着したF・Fミラーは優れた耐弾性も有するために、艦隊前面に展開して防御的に運用する事もできる、正しく攻防一体の武装と言えるだろう。
 専守防衛という理念と、アメリカ合衆国をはじめとする国連加盟国の軍事的緊張感を煽らぬため、GGGが擁するディビジョンフリートでさえも、その武装は極めて限定的なものとならざるを得ない。高速転槽射出母艦イザナギミラー粒子砲も、本来はミラーカタパルトの「裏技」的運用の結果であって、公式に記載されている兵装ではない。その中にあってスサノオに搭載された、ディビジョンフリート中殆ど唯一の兵装であるリフレクタービームは、「限定的な」武装を補って余りある打撃力と防御力を有しているのである。
 しかし、F・Fミラー自体は大量生産におけるコスト低減の目的で、空間移動用推進器に無重量状態における必要最低限度の推力を有するものしか搭載していない。それゆえF・Fミラーの展開は事実上宇宙空間に限定され、ビーム発射口も天頂方向から殆ど稼動しないことから、リフレクタービーム・システムを地球の大気圏内や、高重力圏内で使用することはできない。これは設計戦略上のミスとも言われているが、ビーム砲が余りに高出力なために地上への影響被害を考慮したためとも言われている。またミラーの耐久性は決して高いものとは言えず、実質上「使い捨て」にされるため無制限な発振は出来ず、ビーム砲の高出力に排熱、冷却機構が追いつかないことから、連続照射ができないという欠点もある。
 大きな有用性と共に浮上したこれらの欠点を克服する形で、改良・発展を経たリフレクタービームU最撃多元燃導艦タケハヤに搭載されている。