クシナダ

 ディビジョン[「最撃多元燃導艦タケハヤの艦首に搭載された先行偵察艇兼脱出艇。ディビジョンV「百式司令部多次元艦スサノオに搭載されていた「強襲偵察艇ムラクモを発展改良させたもので、単機での大気圏突入能力(専用ブースターを装備することで地球大気圏脱出も可能)や換装無しでの大気圏内外飛行、集中搭載された各種センサー群など、ムラクモ特有の機能を引き継ぐと共に、機動性、運動性、操作追従性などの向上が図られており、ムラクモよりも更に一回り高性能な機体として完成している。また脱出艇としての機能が重視されており、最大23名を乗せて航行することが出来、単座式であったムラクモとの最大の相違点となっている。ただし、あくまで救助に至るまでの短期間の搭乗が想定されているのであり、最大人員での航行は10日余りが限度とされている。
 基本的には偵察艇、および脱出艇として運用されるが、非常時には連絡艇として出動することもある。タケハヤがゴルディオンクラッシャーを構成する際には全乗員を乗せて分離し、ゴルディオンクラッシャー影響圏外への脱出艇となる。付け加えるならば、ムラクモのように強行偵察艇としての運用は殆ど想定されていない。これは、いざというときのための脱出艇を損傷させられないという実務的な要件と共に、木星決戦におけるムラクモの突出が、獅子王麗雄博士の戦死を招いた過去の痛例が大いに影響しているものと思われる。
 ちなみに、パスキューマシンの暴走によって複製された地球圏において、複製地球の引力を離れ漂流をはじめた複製オービットベース(これは太陽や他の惑星がない状態で複製されたために、地球とオービットベースの引力のバランスが崩れてしまったことによるものと思われる)から、レプリジン・パピヨン・ノワールが脱出する際にも、クシナダが使用されている。
 命名の由来は日本神話に登場する女神、奇稲田姫(クシナダヒメ、クシイナダヒメ)。櫛名田比売命(クシナダヒメノミコト、稲田姫命(イナダヒメノミコト)とも言う。手名椎神(テナヅチノカミ)、足名椎神(アシナヅチノカミ)という老神夫婦の間に生まれた8人の女神のうちのひとり(一説には末子)で、八俣大蛇(ヤマタノヲロチ)なる竜蛇に7人の姉妹同様に生贄に奉げられようとしていたところに高天原(タカマガハラ)を放逐された須佐之男尊(スサノオノミコト)が現れ、彼女を娶ることを条件に大蛇退治を買って出て、これを成し遂げた。その後、約定通りに須佐之男尊の妻となっている。その名は霊妙なる稲田の女神を意味し、大蛇に隠喩されている季節的風水害に対する、稲田の人格化であるとも言われている。また櫛の字が髪に櫛さす巫女を表すという説もあり、この場合天候の安寧を祈る巫女であったと解釈できる。

 型式 外部偵察/連絡艇
 搭乗可能人員数 3+20
 全長 96m
 タケハヤ搭載時全幅 82m 
 発進展開時全幅 101m
 全高 51m(搭載時、展開時変わらず)
 乾燥重量 57t
 総重量 78t