舞台という虚構の中に。 本文へジャンプ
HP開設2000.7.24 カウンタ設置2001.9.24 リニュ@2003.7.17 リニュA2007.1.20

文字日記音声週記リンク記録/森の会映画芝居観劇考察中掲示板フォトグラフィ管理人

映画。

『青の炎』


原作/貴志祐介、脚本/蜷川幸雄・宮脇卓也、監督/蜷川幸雄、の各氏の手による作品。作品を見ようと思ったのは、@普通のジャニーズ二宮和也くん主演で、A高校生の殺人を描き、B中村梅雀さんが出演していて、C18日が北見のマ●カルシネマでラストだったから。え?唐沢寿明さんと竹中直人さんが出てる!!

●ストーリー
櫛森秀一(二宮和也)、17歳。母と妹の3人暮らしの家に、義父・曽根が突然居座る。傍若無人な曽根から家族を守るために法的手段に訴えようとするが埒があかない。曽根は挙句に母の体にまで・・・。秀一はついに曽根の殺害を決意する。完全犯罪を企て実行するが・・・。

●さて、徒然に「概・感」。
展開と脚本に物足りなさを覚えたのは僕だけだろうか。映像自体は湘南の高校生をしっかりと映し出していた。しかし、義父を殺害するに至った秀一の心の動きをつまびらかにすることなく「17歳の犯罪」を外側から見せられた、との印象が残った。確かに、秀一に生まれた切ないまでの防衛反応を感じられないわけではないが、もっともっと数多くの事柄があったであろう「17歳」をまるで写真のように切りとって貼りつけたもののようだった。「独りで戦っている」というコンセプトが感じられず、殺す理由も感じられず、殺す展開なんだよね〜って思ってやっちゃったって感じ。う〜ん・・・観客の面前で演じる舞台が大好きなので感覚に違いが出てくるのだろうか・・・。
役者のみなさんはよかったな〜。二宮君ってなんだか普通っぽいジャニーズだな〜って思ってたのが、いままでの感想。いやはや、ステキな役者さんじゃないか!に変わった。他のみなさんも役者はステキっ!あ、それって蜷川演出?などとも考えた。映画としては「う〜ん、不完全燃焼じゃ。」って思ったが、役者はみなさんステキだと感じたのだから、ここは役者と演出の良さが融合したのかな。
山本寛斎さん、すごかった。感電死する場面、すごかった。不気味さ、すごかった。映画初出演だそうだ。いやはや、すごかったよ、ホント。見る価値ありだな。
中村梅雀さん、いいですいいですホントいいです♪なんてったって僕はいいと思うんじゃ〜♪ロードレーサーに乗ってるところとか、秀一を追い詰めていく場面とか。
唐沢寿明さんは唐沢寿明さんとして登場しててリラックスさせてもらった。
竹中直人さん・・・異形の人ですな♪
ラスト、秀一が同級生・福原紀子(松浦亜弥)を学校に呼び出して別れを告げる。ロードレーサーで走る秀一。前からダンプがやってくる。スピードを上げた秀一は突然ダンプの前に。30年後の秀一を描いていた紀子がふとアップで登場。じっと見つめる。じっと見つめ続ける・・・。秀一は死を選んだんだろうな。殺人者として生き延びるよりも殺人者の家族に母と妹がならないことにより家族を守れると言う確信を持って。う〜ん、う〜ん、う〜ん、普通の高校生だけど普通じゃない高校生を僕はどう感じ取ったのだろう。普通じゃないくらい思い巡らせることが彼をこうしたのだろうか。なんだかこうやって書いていても、くらくらと秀一に対する感情と印象と考えと思いが揺れるのである。
この作品には物足りなさをたくさんたくさん感じたのは確かであるが、考えさせられてしまっている自分がここにいる。考える作業を僕はまだまだ続けるだろう。僕も“想像力”という怪物に取りつかれてしまったらしい。


2003/4/19(土)


ほんのちょっとだけ、
映画鑑賞。
2003年
『青の炎』
『13階段』

2002年
『Harry Potter AND CHAMBER OF SECRETS』
『猫の恩返し』
『ギブリーズ episode2』
『タイムマシン』
『ハッシュ!』

2001年の作品より。