デスクトップパソコン修理
それは2007年7月12日の夜、いつもの様にwindows2000を休止状態から立ち上げ、またいつもの様にインターネットを徘徊いた時の事、最近ハードディスクのアクセスが遅いなと感じていたが、特別大きな不具合が無いと思っていて、さほど気にも留めていなかった。あるサイトをクリックした瞬間、自分のパソコンはピクリとも動かなくなった。電源スイッチを長押して、再度起動させてみたが、BIOS画面以降のOSが立ち上がらなくなった。OSの再インストールとかやっても、どうも不安定な動作である。
とりあえず、外付けハードディスクに自分の重要なデータやメールデータなどをサルベージ(救出)して、最初からハードディスクを初期化から始めてみた。
最初は起動するのだが、動作が安定しない。10回ほど起動し直すと、windows2000はセーフモードでしか起動できなくなる。
ハードディスクが寿命かなと思い、久々にパソコンの中を空けてみた。凄い埃であったが、はけで丁寧に埃を取り去り、静電気に注意しながら埃を吸い取った。部品に取れない汚れがあると思い、よく見たら

電解コンデンサが沢山液漏れしているではないか。
このパソコンは、2000年12月に購入したiwill製MP4S-BSというベアボーンキットで、Pentium4-1.5G/512Mbyteと、当時としては中々よい性能のパソコンであった。
実は、このパソコンは色々な遍歴をもっているのである。
買ったばかりの時、動作が不安定で、何度も店に出向いて不具合を訴えたのだが、店に色々クレームを入れて、本体を丸ごと交換してもう。(配線チェックしたら、IEEE1394が一つずらしで接続されていた。)
2002年は富士通の流体軸受けのハードディスクが、カコーンと音がして二度と起動しなくなり、ネットで調べると、そのハードディスクはシーラス社のチップセットの不具合で、動作不良を起こす事を知り、ハードディスクを交換。
2003年の春はネットを調べていたら偶然このパソコンのコンデンサが、2000年前後の製造された電解コンデンサの成分不良で液漏れが発生する部品が使われているという事を知り、2003年に当時のアイウィルジャパンへ基板交換を依頼した。戻ってきたマザーボードは一部のコンデンサがSanyo製になって戻ってきた。夏ごろは電源が立ち上がらなくなったので、電源を交換。ファンも静音タイプに取り替える。
というわけで、マザーボードは2回も交換されている。
ここの会社はもう既に存在せず、サーバーの会社に吸収された模様。サポートはもう無い。
話を戻そう。
マザーボードが凄く汚れているので、思い切ってシャワーで水洗いをして、十分水を切り、扇風機をボードに当てて、一日かけてボードを乾燥させた。この方法は、掃除機で強烈な静電気でボードを壊すリスクもなく、一番手軽で意外と確実な方法である。(しかし、物によっては出来ないものもあるので、ご注意を)
よく観察すると1000uF/6.3Vだけが、液漏れしていたり、膨らんでいたりしている。

コンデンサの部分を全部マジックでしるしを付けておく。

自宅でコンデンサを外すのは時間が掛かり、また難しいので会社へボードを持っていき、休み時間に半田吸い取り器を拝借して疑わしいコンデンサを外した。


取り外した直後のボード。結構いっぱいある。結局23個外した。

新しいコンデンサを取り付けていく。



1000uF/6.3Vは全部1000uF/10Vの低ESR品にしたので、部品が少々大きくなったが、特に機構的に不具合もなかったので、そのまま取り付けた。そのほかの電解コンデンサでSANYO以外の470uF以上の大容量品もこの際全部交換した。
ちなみに、SANYOは

まったく大丈夫である。
また、よく見るとパターンが焦げている部分があった。ファンが動かなくなった事があり、そのときに12Vラインが逝かれたものと思われる。これは、後で半田を盛ってパターンを補強したあと、レジスト補修液で修正した。

元通りに組み上げ、動作チェック(Memtestなど)を丸一昼夜かけてテストして、問題が無い事を確認して、OSセットアップなどを行い、無事正常に戻った。

正常に使えるようになったのは
7月22日であった。8月5日現在、至って正常である。
買い物
ハードディスク160GB 約7,000円(ブレス)
電解コンデンサ一式東信工業製 約2000円(秋月)
今回外したコンデンサの実測値(SANWAの針式テスターの容量測定レンジで計測)
番号 |
メーカ |
記号 |
容量/耐圧 |
温度 |
実測値 |
容姿 |
1 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
400 |
液漏れ |
2 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
400 |
液漏れ |
3 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
300 |
液漏れ |
4 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
400 |
膨張 |
5 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
500 |
液漏れ |
6 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
800 |
液漏れ |
7 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
600 |
液漏れ |
8 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
500 |
液漏れ |
9 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
1500 |
膨張 |
10 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
400 |
液漏れ |
11 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
700 |
膨張 |
12 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
500 |
液漏れ |
13 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
1300 |
膨張 |
14 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
400 |
液漏れ |
15 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
300 |
液漏れ |
16 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
1200 |
所見無し |
17 |
HERMEI |
LE |
1000uF/6.3V |
105℃ |
1300 |
所見無し |
18 |
HERMEI |
LE |
1000uF/10V |
105℃ |
1100 |
所見無し |
19 |
HERMEI |
LE |
1000uF/10V |
105℃ |
1900 |
所見無し |
20 |
HERMEI |
LE |
470uF/16V |
105℃ |
500 |
所見無し |
21 |
HERMEI |
LE |
1500uF/6.3V |
105℃ |
2000 |
所見無し |
22 |
HERMEI |
LE |
1500uF/6.3V |
105℃ |
1800 |
所見無し |
23 |
HERMEI |
LE |
47uF/50V |
105℃ |
50 |
所見無し |
1000uF/6.3vは軒並み半分以下の容量が目立った。これではまともに動く事はないであろう。
教訓
今回ので色々判明した事
ハードディスクに130GBの壁がある。(このBIOSはそれに対応していない)
WINDOWS2000SP4のレジストリでBIOSが130GB以上認識できなかった残りを使用出来る。→後に色々トラブルがあったので、80GBに交換。古いPCは130GB未満のハードディスクを使ったほうが懸命。
インテル アプリケーションアクセラレータを最新にしてしまうと、このボードでは休止ファイルが壊れるので休止が頻度に失敗する。(最新一つ前のIAAでは問題が起きない)
あせると、2次災害、3次災害と波及する。OSのクリーンインストール時は、バックアップ用の外付けHDDは絶対外しておいたほうがいい。恐ろしいことに、バックアップしているハードディスクのパーティションをうっかり消してしまったという笑えない事をやってしまい、TestDiskとかの御世話になってしまった。
バックアップはこまめに。特に自分のデータ。アプリケーションは何とかなる。
イントール手順書、バックアップリストは作ったほうがよい。
ドライブのイメージを丸ごと保管したほうがよい。
その他今回助けてもらったサイトやツールなど
testdisk http://www.cgsecurity.org/wiki/TestDisk
testdiskの解説 http://lets-go.hp.infoseek.co.jp/testdisk1.html
bootable CD作成 http://www.geocities.co.jp/SiliconValley-Cupertino/3686/bootable_fddemu.html
memtest http://www.memtest86.com/
20070815 若干修正
20070805 初版
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