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TY-銀ペンホルダー
困った時の解決編


 銀ペンホルダーを使う時に予想される、いくつかの不具合などへの対処法を紹介しますので、参考にしてください。

 紹介画像では、ver.1が使われていますので、ver.2とは形状が少し異なりますが、使用法に変わりはありません。

使い方:準備編 使い方:基本編 使い方:応用編
使い方:カービング編 使い方:自作編 困った時の解決法

【インクが出ない】

 銀ペンを使う時、インクがなかなか出ない事があります。本当によくあります。買ったばかりの新品のインクが出ないということも、普通にありますので、銀ペンを使ったことのない人は、不良品に当たったと思われるかもしれません。でも、銀ペンはそういう製品なのです。

 インクが出ない時、まず最初に試すことは、紙の上で銀ペンを走らせるということです。多くの場合は、そのうちインクが出てきます。


 子供の落書きのようになっていますね。紙は、あまりつるつるしていないほうが良いようです。多少のざらつきというのか、ペン先のボールに紙との摩擦の力がかかって、ちゃんとボールが回るという状態が必要なのです。ボールがスリップすると、なかなかインクが出てきません。ちょっと厚手のボール紙みたいな物も、効果があると感じます。



 意外といいのが、ティッシュペーパーです。腰がないし弱々しい感じがするかもしれませんが、しっかりボールを回しながら、汚れや余分なインクも自然とティッシュに拭き取られるようです。私はペン先のクリーニングと言った感じで、画像のようにティッシュを手に持って指の腹の上で使いますが、もちろん机上で普通の紙と同様に使うこともできると思います。

 インクが出るようになったら、ペン先を下向きか横向きに置くようにして、上に向けないようにして保管しておくと良いかもしれません。フック穴を設けてありますので、壁やネットに掛けて収納するのも一法です。



 冬季など、寒い季節にはインクが出にくいと感じる事が多いのですが、そんな時はドライヤーが効果のあるときもあります。銀ペンのインクは、おそらく油で顔料を練っているようなものなので、気温により硬さが変わるのではないかと想像しています。メーカーによる違いはあるかもしれませんが、夏の暑い時期などには、流動性が増してインクの体積が膨張するのか、ペン先からインクが溢れ出ている時もありますね。

 余談ですが、画像のドライヤーはカールドライヤーの先を切って使っているものです。いつもはぶら下げていて、ぶら下げたまま使うことも多いですし、消費電力が少なめなものが多く必要以上にパワーが無いところも気に入っています。

 使い始めてから時間が経った古い銀ペンは、頑張ってもインクはなかなか出るようにならない事があるかもしれません。古くなったSCHMIDTの銀ペンのペン先をバラしてみたことがありますが、軸からはずしたペン先に針を突っ込んでインクの硬さを確認したところ、私の感覚によるものですがちょっと硬くなっていました。いろいろやってみましたが、普通にインクが出るようにはできませんでした。古くなってインクの劣化などが考えられるときは、新しい銀ペンを買い求めたほうが良いようです。





【足が動きにくい:芯がつぶれた時】
旧型のver.1のみに関係する内容です。ver.2には関係ありません。

 銀ペンホルダーの最初の調整で、銀ペンの芯をホルダーに取り付けるときに発生することが予想される不具合は、芯固定用のネジを締めすぎて芯がつぶれてしまうことです。極端に潰れるわけではありませんが、銀ペンホルダーは芯の太さと足の厚みのごくわずかな差を利用して機能するようになっているので、芯がつぶれると足が動きにくくなる時があります。

 太さ3.2ミリの推奨品の芯を使っているのに、いくら調整しても足が自由に動かないという時には、芯がつぶれてしまったという事を疑ってみてください。

 ネジを締めるときに、力加減に気をつけていただければ問題ないことですし、精密ドライバーを使っていただくと防止できるトラブルなのですが、もしも芯がつぶれてしまった時には、ほとんどの場合は下記の方法で対処できると思います。



 つぶれてしまった芯を、つぶれた向きとは直角の方向からヤットコなどではさみ、軽く力を加えてみます。力を入れ過ぎると、かえってヤットコで芯をつぶしてしまうことになるので、少しずつごく軽く力を入れて様子を見ながら、修正してください。



 わかりやすく、芯のお尻の部分でやってみました。楕円になってしまった断面の、長径方向から力を加えると、正円に近い形に修正されていくということです。





【銀ペンの線を消したい】

 まず、無塗装のヌメ革などに描いた銀ペンの線は、ほぼ消せないと思ってください。革の組織に染みこんでしまうのだと思います。でも、塗装された革に描いた銀ペンの線は、多くの場合は消すことができます。柔らかい布などでこするだけで消えることもあります。



 上の画像では銀ペンのインクが溶けたように消えているのがわかるでしょうか。銀ペン専用のクリーナーもコロンブスから発売されているようですが、私は使ったことがありません。では、何を使っているかというと、皮革用のクリーナーです。乳液状やクリーム状など、いろいろなクリーナーがありますが、何かお手持ちのクリーナーがあるようでしたら、試してみてください。おそらく、効果があると思います。

 もちろん、革に何らかの悪い影響が出ないか、事前に試してください。



 今度の画像は、乳化性のクリーナーの白さがありませんね。何を使ったかというと、革用のオイルです。乳化させていない、生のオイルです。液体のオイルも、練状のオイルも、どちらも効果があります。一番の問題は、やはり、革に悪影響がないかです。



 クリーナーでもオイルでも、しっかり塗装された革だと、ご覧のように銀ペンの色はきれいに消すことができることが多いようです。専用の銀ペンクリーナーはもっと良いのかもしれませんが、とりあえず私は革用のクリーナーで間に合っています。色は消せますが、凹みが消えるわけではないので、あまり力を入れて銀ペンで線を描くのは、避けたほうが良さそうです。

 メーカーによってインクに違いがあるので、ここに書いたことが全ての銀ペンに対して同様とは言い切れません。あくまでも私が試した範囲の話ですので、その点はご承知おきください。

 それから、時間が経つと色が消えにくくなるという事もあるかもしれません。作業を進めるうちに、銀ペンの線は気にならなくなっていることも多いですが、必要ない線は早めに消したほうが無難そうです。





【足の固定力が今ひとつと感じた時】

 銀ペンホルダーには、高さがあり径も大きめの手で回しやすい新型のつまみネジを採用していますので、作業に必要な十分な足の固定力が得られるはずです。でも、もしかしたら、つまみネジを締めても足の固定力が足りないと感じる場合があるかもしれません。その時に最初に確認していただきたいのは、芯固定用の外側のネジを締めすぎていないかということです。外側のネジをほんの少し強く締めることによって、銀ペンホルダーの足は自由に動くのですが、締めすぎてしまうと足の固定の邪魔をする時があるのです。

 ネジの締め方のバランスに問題のないときには、つまみネジに1滴のミシン油を差してみましょう。ネジを締めたりゆるめたり、数回操作してから、余分な油をティッシュで拭き取ります。ほんの1滴油を差すだけで、つまみネジの回転が軽くなります。すると、同じ力で締め付けても、油を差す前よりもほんの少し余計にネジが回るのです。それだけで、足の固定力は強くなります。



 油を差すときに、本体と足の間にも油が入ってしまう時がありますので、気をつけてください。私の経験上は、少しの油は問題無い時もあるのですが、油が入ってあきらかに固定力が落ちる時もありますので、やはり油を差すときには注意が必要です。余計なところに油が入らないように、つまみネジをはずしてから、ネジ先に一滴油を差す方法もあります。余分な油をティッシュで軽く拭きとってから、ネジを元に戻してください。

 もしも、余計なところに油が付いてしまった時、特に本体と足の間に油が入ってしまった時は、本体と足の油をよく拭き取ってください。ウエス・綿棒・アルコールなどを使うと、しっかりと拭き取ることができます。



 ミシン油は、何でも良いというわけではありません。信頼性の低い油を使ってはいけません。レザークラフトの業者でも扱っているこのミシン油は、縫製用資材の有名メーカーの製品なので、安心して使うことができると思います。油はとにかく信頼できる物を使いましょう。

 ネジに油を差すことによって固定力を増すという小技は、ミシンのステッチ定規のネジなどにも使うことができます。何だか固定力が弱いなと感じた時に、ちょっと油を差すだけで、操作性が明らかに良くなることがあります。試してみてください。くれぐれも、余計なところに油を差さないように、ご注意ください。


 もうひとつ、足の固定力を増す方法は、本体と足の摩擦を大きくすることです。具体的には、荒い耐水ペーパーで傷を付けます。上の画像は、#120の耐水ペーパーで本体の内側と足の両面を荒らしたものですが、この程度に軽く荒らすだけで足の固定力は高くなります。

 他に考えられるのは、つまみネジの部分を他のネジに交換することです。六角レンチやドライバーなどの道具を使って締めるネジや、ドライバー代わりにコインを使うコインスクリューなどを使うと、手回しのつまみネジよりも高い固定力が得られると思います。ただし、銀ペンホルダー本来の手軽な操作感は損なわれるので、よほどの固定力が必要にならない限りは、あまりおすすめはできません。銀ペンホルダーの用途では、それほど大きな荷重がかかるということは無いはずなので、ほとんどの場合は標準仕様のつまみネジの固定力で十分だと思います。






【銀ペンホルダーを色分け】

 一人で複数の銀ペンホルダーをお使いになる人は多くはないかもしれませんが、もしも芯や足先を用途別に使い分けるために複数の銀ペンホルダーを使う場合は、一目で用途がわかるといいですね。色を塗ったり、何かを付けたり、いろいろな方法が考えられますが、最も簡単なのは、銀ペンの芯に色を塗ってしまうことです。シリコンチューブを装着すると、色も剥げにくくなりおすすめです。

 私の場合は、黒は中身の無い空芯です。赤は、足がコンパス用になっています。上の画像、左端はコンパス用の足が付いたインクの出るホルダー。中央は空芯でコンパス用の足の付いたホルダー。右端は標準の足が付いた空芯のホルダーです。

 こんなことまで書く必要は無いかもしれませんが、意外とこの色分けを思いつくまでに時間がかかったので、念のために書いておきます。




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