1.2015年以降の人口推移と都市地域の変容 |
以上の分析の結果を整理してみよう.まず,改めて日本測地系のデータによる1970年から2005年までの人口推移にもとづく都市地域の分類を掲げておく.
1.拡大都市:46
2.持続都市:27
3.停滞転化都市:15
4.縮小転化都市:19
5.縮小都市:11 ※詳しくは,ここを参照.
この分類にもとづき,世界測地系のデータによる1995年から2020年までの人口推移を確認した結果,まず,46の拡大都市については,引き続き拡大を継続していた都市が24であるのにたいして,約半数の22の都市で人口が停滞ないし縮小に転じていた.
次に27存在した持続都市については,引き続き人口規模を維持している都市がやはり約半数の14であり,残りの都市のうち,人口を拡大していたのが5,逆に人口を縮小させていたのが8であった.
15の停滞転化都市については,いずれも人口の停滞ないし減少が確認された.
最後に,縮小転化都市と縮小都市については,いずれもほとんどの都市において引き続き人口の減少が確認されたが,数少ない例外として指摘できるのは,縮小転化都市であった鳥取が人口を維持し始めた点と,縮小都市であった富山が人口を回復している点である.
2.人口推移の新しいパタン |
以上の結果から,人口推移のパタンは次の4つに分けられる.
1.拡大都市:29
2.持続都市:14
3.停滞転化都市:37
4.縮小都市:36
1970年ではなく1995年以降の推移であるから,縮小転化都市を縮小都市に含めたとはいえ,拡大都市と持続都市が減少し,停滞転化都市と縮小都市が増加したことは否めないところである.それぞれの具体的な内訳については,以下の通りである.
1.拡大都市29のうち以前から拡大都市であった24の都市地域は,以下の通り.
札幌,仙台,流山,千葉,桶川,川越,東京,岡崎,安城,豊田,名古屋,大津,岡山,倉敷,広島,松山,福津,福岡,那覇,一宮,姫路,東広島,糸島,草津.
その他,5つの都市地域は持続都市から拡大傾向に転じた,高崎,四日市,久留米,宮崎,沖縄である.
2.持続都市14は,以下の通り.
盛岡,福島,鎌倉,長野,静岡,浜松,豊橋,松阪,京都,大阪神戸,高松,松江,金沢,鹿児島
その他,上記の5つの都市は拡大傾向に転じ,その他8つの都市地域は縮小傾向に転じている.この8つは以下の通り.
山形,新潟,高知,別府,呉,横須賀,宇治,佐賀
3.停滞転化都市は15から37へと倍以上に増えている.従来からの変わらない15の都市は以下の通り.
江別,春日部,岩槻,上尾,鶴ヶ島,坂戸,狭山,飯野,金沢八景,伊勢原,小田原,亀岡,生駒,奈良,大分
その他,停滞転化都市に転じたのは,従前は拡大都市であった次の22の都市地域である.
郡山,つくば,牛久,宇都宮,成田,入間,深谷,青梅,厚木,秦野,平塚,三島,焼津,豊川,半田,橿原,大和高田,米子,福山,熊本,三田,富士
4.36の縮小都市の内訳は,従前からの縮小都市が以下の11.
小樽,八戸,長岡,沼津,高岡,岐阜,下関,北九州,佐世保,長崎
従前の縮小転化都市が以下の18.
釧路,苫小牧,青森,石巻,水戸,松本,甲府,和歌山,旭川,函館,秋田,弘前,会津若松,前橋,清水,周南,福井,徳島
さらに,上記の持続都市から縮小傾向に転じた8つの都市地域である.
山形,新潟,高知,別府,呉,横須賀,宇治,佐賀
以上に当てはまらない例外として,縮小都市から若干人口を回復しつつある富山と,縮小転化都市から若干人口減が収まってきている鳥取がある.
〒261-8586
千葉県千葉市美浜区若葉2-11
放送大学 教養学部
社会と産業コース
玉野和志
tamano@k.email.ne.jp(@は半角にしてください)