3.停滞転化都市の変容 |
停滞転化都市とは,日本測地系データによる1970年から2005年にかけての分析によって,1995年以降,人口の増加が停滞もしくは減少していく都市地域である.いずれも関東や関西などの大都市圏周辺に位置する都市であり,バブル崩壊以降に大都市地域の成長力が鈍ったことを示すのではないか,という点で興味深い知見であった.
今回,世界測地系による2015年と2020年のデータを加えた,1995年から2020年の人口推移にもとづく分析の結果,いずれの都市地域においても,1995年以降の人口の停滞ないし減少が確認された.典型的には札幌近郊の江別,東京近郊の春日部,同じく狭山の場合はかなりの人口減少が確認された.
4.縮小転化都市の変容 |
次に,縮小転化都市については,1980年まで人口が増加していたのが減少に転じた都市とそれまで人口を維持していたのが減少に転じた都市の2種類が存在した.今回世界測地系で1995年以降の推移を確認した結果,ほとんどの都市が引き続き人口を減少させていた.
いずれも地方中核都市とはなり得ない地方都市が多く,ここでは例として青森,甲府,福井をあげておく.
その中で,唯一の例外が鳥取で,2010年以降,人口が増加しないまでも,減少を食い止めている状況である.
5.縮小都市の変容 |
最後に,日本測地系のデータによって1970年以降,人口が減少し続けてきた縮小都市について,世界測地系による1995年から2020年までの推移を確認してみた.縮小都市に分類されたのは,小樽,沼津,下関など11の都市地域であったが,そのほとんどは引き続き人口を減少させていた.
唯一の例外が,富山であった.富山だけが,2015年から2020年にかけて人口を増加させていた.
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放送大学 教養学部
社会と産業コース
玉野和志
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