→
「自然な内積の正値性」に戻る
証明:(自然な)内積の正値性
(舞台設定)
R:実数体R
Rn:実n次元数ベクトル空間
x:実n次元数ベクトル。具体的に書くと、x1, x2, …, xn∈Rとして、x=( x1, x2, …, xn )∈Rn
[性質3:正値性]
任意の実n次元数ベクトルx∈Rnにたいして、x・x≧0 であって、
x・x=0となるのはxが零ベクトルである場合のみに限る。
[
証明:正値性]
・任意の実n次元数ベクトルx=( x1, x2, …, xn )にたいして、
x・x=( x1, x2, …, xn )・( x1, x2, …, xn )
=x1x1+x2x2+…+xnxn ∵数ベクトル空間における自然な内積の定義
・i=1,2,…,n について、
・xi=0 ならば、xixi=0 ∵0との積
・xi>0 または xi<0 ならば、xixi >0 ∵積の正負
・上記2点より、
任意の実n次元数ベクトルx=( x1, x2, …, xn )にたいして、x・x≧0 であって、
x・x=0となるのは、
x1=x2=…=xn=0の場合 、すなわち、xが零ベクトルである場合
のみに限られる
→「自然な内積の正値性」に戻る
(reference)
日本数学会編集『岩波数学辞典(第三版)』 岩波書店、1985年、項目317バナッハ空間(pp.922-):ノルムとノルム空間の解説が含まれている;項目341ヒルベルト空間B.(pp.1006-7):内積の定義が含まれている.
線形代数のテキスト
ホフマン・クンツェ『線形代数学I』培風館、1976年。
永田雅宜『理系のための線形代数の基礎』紀伊国屋書店、1986年、4.1内積(p.114);。
佐武一郎『線形代数学(第44版)』裳華房、1987年、Vベクトル空間§6ベクトル空間の公理化(p.117)。
志賀浩二『数学30講シリーズ:線形代数30講』朝倉書店、1988年。
志賀浩二『数学30講シリーズ:ベクトル解析30講』朝倉書店、1988年、第11講(pp.78-80)。
藤原毅夫『理工系の基礎数学2:線形代数』岩波書店、1996年。
斎藤正彦『線形代数入門』東京大学出版会、1966年、4章§6計量線形空間(p.120)。
砂田利一『現代数学への入門:行列と行列式』2003年、§7.1-(a)内積 (pp.238-9).
解析学のテキスト
杉浦光夫『解析入門I』東京大学出版会、1987年、I章§4(pp.33-38)。
数理経済学のテキスト
神谷和也・浦井憲『経済学のための数学入門』東京大学出版会、1996年、§3.2.3(p.124)。
→
「自然な内積の正値性」に戻る