日本の歴史認識 > 南京事件 > 第4章 南京事件のあらまし / 4.7 犠牲者数 / 4.7.2 個別事件の犠牲者数

4.7.2 個別事件の犠牲者数

図表4.18は捕虜や敗残兵殺害の犠牲者数を個別の事件ごとに整理したものである。

図表4.18 捕虜殺害等事件別犠牲者数

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※1 各研究者の事件別犠牲者数の出典は以下による。
偕行社「南京戦史」、P363-P364 秦郁彦「南京事件」、P210(表5) 笠原十九司「南京事件(新版)」,P258-P259   中国(=孫宅巍); 藤原彰編「南京事件をどうみるか」,P78-P81

※2 「論拠史料等」欄のカッコ内は出典文書に記載されている犠牲者数

※3 笠原氏の欄の「数千」は3千として合計値を計算した。

(1) 偕行社(南京戦史)説

ひとつひとつの事件を丹念に精査し、犠牲者数を推定している。あわせて中国軍の兵力とその行方と突き合わせ検証している。偕行社の性格上、公式資料や指揮官クラスの記録などが優先されてしまうのはしかたないか。

出典; 「南京戦史」,P346-P366

(2) 秦説

記録や証言で戦果が増幅されているのを知りつつ、史料通りの数字をそのまま置いている。実態の値を合理的に説明することは困難なので、こうした方が国際的な説得力を持つことは確かである。
犠牲者数が千人未満の事件を別表にあげているが、積算には加えていない。

出典; 秦「南京事件」,P210(表5),他

(3) 笠原説

笠原氏は、中国兵の総数を15万と推定し、このうち戦死者と南京を脱出できた兵士の合計が7万人なので、残り8万人が敗残兵、投降兵、捕虜として虐殺されたことになる、ということを頭において、それとの整合性を確認するために事件別の犠牲者数を推定しているようにみえる。そのせいかわからないが、事件の中味をあまり精査せずに可能性のあるものすべてをリストアップしたのかもしれない。

No.1(長江 渡江中); 佐々木少将私記の"1万数千"は歩38/33連隊戦闘詳報の7~8千と重複しているとみられる。海軍の2万を超える数字は、{ 3千とも1万とも報告されているが誇大にすぎる。陸上部隊による戦果と重複しているのではあるまいか。}(秦:「南京事件」,P116) というのが妥当なセンではないだろうか。

No.2; "数千"は佐々木少将私記の記載だが戦闘詳報には3096人と記されており、中島日記の1300人はその一部であろう。

No.13,14; 佐々木少将私記に城内約2千と城外数千と記載されており、中間派各氏はこれを別々にリストアップしているが、笠原氏の数千がどれを示すのか不明。

出典; 笠原「南京戦史 新版」,P258-P261),他

(4) 中国

中国近代史の研究者である孫宅巍氏が、大量の史料と1000人あまりにわたる生存者・証人への聞き取り調査をもとに、リストアップした事件とその犠牲者数である。犠牲者が千人以上の「集団虐殺」件が10回で死者は19万人、それより少ない「散発的虐殺」による死者が8万4千人だという。上表では一部を除き複数回の事件がひとつにまとめてあるので、件数は半分に減っている。尚、詳細ついては4.7.6項を参照願う。